前橋の教会通りを歩く ステンドグラスが美しいカトリック前橋教会と前橋聖マッテア教会【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
カトリック前橋教会 前橋空襲を潜り抜けたゴシック様式の建物で、国の有形文化財
<ゴシック様式のカトリック前橋教会>
前橋駅から徒歩15分程度のところにあるカトリック前橋教会。ゴシック様式のこの教会は、1913年にフランス人宣教師により建てられました。第二次世界大戦で前橋が空襲を受けた際に、奇跡的に残った建物で、現在では国の有形文化財となっています。ちなみに『警視庁捜査一課』や『臨場』など、ドラマや映画の撮影にも使われている教会なので、見たことがあるかもしれません。
お話を聞かせて下さったのは、司祭である土屋和彦さん。司祭と牧師の違いは、ざっくりいうとカトリックかプロテスタントかの違いだそうです。
下の写真は聖堂の入り口に置いてある聖水。この聖水で十字を切って身を清めるとのこと、十字の切り方を教えてくださいました。カトリックの場合は、人差し指と中指の先を聖水に浸し、額→胸→左→右と十字を切るそうです。

<貝殻の器に入った聖水>
聖堂の中 ステンドグラスや最後の晩餐の彫刻、マリア像
<聖堂のステンドグラスと祭壇>
取材に伺った日はとても天気が良く、差し込んだ光が反射してきらきらしていました。このステンドグラスは、フランスから取り寄せたガラスを使用しているそうです。半透明のガラスで、光源がなくても反射光で色を見ることができるとのこと、すごい工夫がされているんですね。また季節や天気、時間帯によってステンドグラスがひときわ美しく見える時があるそうで「もしその時間に当たったとしたら、神の祝福」と土屋さん。
穏やかな気持ちになりながら、建物の中を回ってみました。静かな、穏やかな気持ちになっていきます。正面にある祭壇の下には、最後の晩餐の様子が彫刻されていました。どうやって掘ったのかと驚くほど、精巧に彫られています。

<最後の晩餐の様子>

<カルメル山のマリア像>
祭壇の向かって右側にマリア像があります。マリア像は青か白のイメージですが、こちらのマリア像はブラウンの衣服をまとっていました。これはカルメル修道会がまとっている衣服がブラウンだからだとか。
キリストの受難 聖地巡礼の旅と歌の癒し
<キリストの受難を描いた彫刻 全部で14枚>
こちらの聖堂の壁に、彫刻が14枚かけてありました。彫刻の上部は十字架になっていて、番号が振られています。キリストが裁判を受けてから墓に入るまでを描いており、祭壇向かって左から番号順に見ることでストーリーができあがるとのこと。また、こちらの14枚を巡ることで、聖地巡礼の意味を持つと教えていただきました。「お遍路ってあるでしょう。四国の霊場を八十八か所巡る。でも年齢的だったり日程的な問題で現地まで行けない人のために、一つの場所にすべての霊場を集めて、簡易的にお遍路を体験するのと似ている」と土屋さん。教会の彫刻に、そんな重要な意味が込められているとは知りませんでした。

<パイプオルガン>
土屋さんいわく、「教会は祈るところでもあり、歌を歌うところでもある」そうです。教会の天井がアーチ状になっているのは「マイクがない時代に、声が響くように」設計されているためだとか。そしてこちらの教会にはパイプオルガンがあります。風を送って音を出すパイプオルガン、今も礼拝の時には活躍しているそうです。
「教会は、キリスト教徒でなくても、誰でも入ることができます。忙しい日常を忘れて、静かな時間を過ごしていただきたい」と土屋さん。こちらの教会は10時から20時まで開館しているのですが、早ければ8時ごろから入館できるとのこと。ステンドグラスやマリア像、ミニ巡礼の旅に寄ってみてはいかがでしょうか。
また教会からお願いがあります。
・ミサの間(平日9;30~、日曜10:00~)は撮影をご遠慮いただきたいです。
・結婚式などの祈りの際にも、撮影はご遠慮いただきたいです。
上記2点、守っていただきたいとのこと。
前橋聖マッテア教会 丸窓のステンドグラスが印象的
<前橋聖マッテア教会>
続いて紹介するのは、前橋聖マッテア教会。こちらは英国国教会の流れをくむ教会で、カトリック前橋教会から500mほど離れたところにあります。こちらの教会も『ALWAYS三丁目の夕日』や『トットの欠落青春期』などドラマや映画で使われているため見たことがあるかもしれません。
お話を聞かせて下さったのは司祭である大山洋平さん。
「聖堂は、上から見ると十字架に見立てて作られています。祭壇を正面にしてまっすぐ(赤いカーペット)、そして左と右左右対称に小部屋があり、それを線で結ぶと十字に見える。上から見ることができなくて残念ですが」と教えていただきました。

<聖堂 上から見ると十字架に見えるよう設計されている>
美しいステンドグラス 受胎から復活まで
<ステンドグラス 祝福する復活のキリスト>
こちらの教会は正面にある丸窓のステンドグラスが特徴的です。伺ったのが昼過ぎだったのですが、ちょうど光が差し込んでいて、祭壇の上に太陽が輝いているようにも見えました。
「キリストの右手を見てください。黒く穴が開いているでしょう?あれは、キリストが処刑された時に手に釘を刺された跡です。復活したキリストが人々を祝福しているところ描かれています」と大山さん。
また教会後方にある3枚のステンドグラスもぜひ見ていただきたい。こちらは右から天使ガブリエルからマリア様への受胎告知、中央がキリストの降誕、左が大人になったキリストが洗礼を受けている場面が描かれています。

<教会後方のステンドグラス 右から受胎告知・降誕・洗礼>
壁にかけてある14枚の絵
<14枚の絵 裁判からゴルゴダで処刑されるまでを描く>
こちらの教会の壁に14枚の絵がかけられています。祭壇向かって左から順番に、キリストが裁判にかけられてからゴルゴダの丘で磔にされるまでが描かれています。言葉がわからない人やキリスト教の歴史を知らない人であっても、この絵を順番に見ることでキリストの受難や奇跡、例えば十字架の重みに耐えかねて3回も倒れていることや、ヴェロニカがキリストに向けて自身のヴェールを差し出したこと、またそのヴェールにキリストの顔が写し取られた奇跡などがわかるように描かれているのです。
その他にも、御影石でつくられた重厚な洗礼盤、入り口にあるマリア像など歴史を感じるものがあります。
「教会にあるすべてのものを通して神を見ることができます。ゆっくり見ていただきたい」と大山さん。
また、第二次大戦下、こちらの教会の前には防空壕があり、前橋空襲で亡くなられた方もいるという悲しい歴史を教えてくださいました。毎年8月5日は、前橋空襲の慰霊のための鐘が鳴るとのこと。

<洗礼盤 御影石でつくられている>

<入り口にあるマリア像>
お話を聞かせて下さった司祭の方が、お二方とも「教会に来られたらゆっくりしていただきたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。静かな教会の中で、美しいステンドグラスを見ながら、何もしないという贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
インフォーメーション
カトリック前橋教会
住所:群馬県前橋市大手町2-14-6
電話:027-221-2746
開閉時間:10:00~20:00
前橋聖マッテア教会
住所:群馬県前橋市大手町3-10-6
電話:027-232-7185
開閉時間:日曜日10:00~(それ以外は電話で問い合わせをお願いいたします)
内藤由美