『イニD』の聖地巡礼 前編(榛名山・赤城山) – 『頭文字D』の世界をのぞいてみる −【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

『イニD』の聖地巡礼

更新日: 2025年12月17日

『頭文字D(通称、イニD)』は、1995年から2013年まで連載された、走り屋の世界を描いた漫画です。その設定は、渋川市在住の主人公が、群馬県をはじめ関東地方の峠道でライバルとその速さを競い合うというものです。『イニD』は連載終了から10年以上が経っていますが、今なお多くの愛好者が漫画にでてくる場所を訪れています。

 

今回は、漫画内にでてくる榛名山(漫画内では秋名山)と赤城山の主だった聖地を巡ってみました。

走り屋はクルマで挑戦されたら受けて立たなきゃいけないんだろ⁉︎(第2巻218ページ)) − 榛名山 –

伊香保温泉の石段

<伊香保温泉のだんだん石段>

 

今回の聖地巡礼では1日目に榛名山と赤城山を、2日目に妙義山と碓氷峠を巡ろうと思います。榛名山、特に伊香保の温泉街は混雑しそうなので、朝早めに温泉の石段下のだんだん広場から巡礼をスタートすることにしました。

 

だんだん広場には渋川市が設置した7枚の『イニD』のマンホールのうち1枚があります。伊香保温泉街には、「イニDマンホール」があと4枚置かれているので、興味がある方は残りを周ってみるのも面白いと思います。

 

<だんだん広場に敷設されたマンホール>

 

だんだん広場は、主人公である藤原拓海が友人などと度々訪れている場所です。今回、クルマを、広場から徒歩で5分弱の距離にある、渋川市の市営徳富徳冨蘆花記念文学館駐車場にとめました。ここは漫画内の秋名山のコースの下りのゴール付近でもあり、巡礼ではオススメです。

 

『イニD』では、主人公の拓海とその友人が伊香保神社の石段で湯の花饅頭を食べているので(第2135ページ)、巡礼では石段で湯の花饅頭を食べるのは外せないところです。今回は伊香保神社そばの勝月堂で、購入した蒸し立ての湯の花饅頭を食べました。

 

<伊香保神社の石段で湯の花饅頭を食べる>

 

榛名山でのダウンヒルのゴール地点とされる富徳冨蘆花記念文学館駐車場(第1212ページ)の周囲を散策する際には、県道33号の路側帯は広くないので、交通には十分気を配る必要があります。また今回の巡礼では、途中の聖地が上る際に左側となるので、上りながら巡礼し、帰りは榛名山の下りを楽しむことにしました。

 

<榛名山のダウンヒルのゴール付近>

 

富徳冨蘆花記念文学館駐車場から登って3番目のカーブは、この『イニD』では拓海とライバル達との勝負のクライマックスが描かれていますが(第5巻116ページ、第9巻102ページ)、周囲に車をとめるスペースがないので車窓から眺めるにとどめました。次に向かったのは高根展望台です。ここからヘアピンカーブを見下ろした絵が、記念すべきコミックの第1巻の5ページにあります。ぜひ、見てみたかったのですが、残念ながら木が茂っていて、ヘアピンカーブは拝めませんでした。

 

高根展望台のすぐ上にはスケートセンターの入口(第434ページ)があるので、伊香保森林自然公園前のバス停付近にバスの運行の妨げにならないようにクルマをとめて巡礼しました。バス停の半径10m以内は駐停車禁止です。

 

<伊香保森林自然公園前のバス停付近>

 

下りのスタート地点はヤセオネ峠の旧料金所前付近にあり、『イニD』でもいろいろな角度から描かれています(第55ページ等)。現在では給水塔だけが残され、その給水塔も樹々に隠れていて、漫画の絵の再現はできません。

 

<スタート付近の給水塔前>

 

また、ここには渋川市が置いた「イニDマンホール」が設置され、マンホールを入れて愛車を撮っている方も多くいらっしゃいました。

 

<「イニDマンホール」を入れて愛車を撮影しているファンも多い>

 

スタート地点からクルマで5分ほど走った榛名公園ビジターセンター駐車場(第4154ページ)に駐車して、漫画で頻繁に描かれているボート乗り場(第4148ページ等)や拓海がガールフレンドとデートした湖畔の遊歩道(第3107ページ)などを巡ってみました。

 

<榛名公園ビジターセンター駐車場>

 

<ボート乗り場>

 

<湖畔の遊歩道>

 

他にも色々な場所が漫画内に出てきますが、漫画で描かれている絵は現地とは微妙に異なり、絶対にここ!と断定できない場所もあります。諸説あり!という感じで大らかに聖地巡礼を楽しみました。一通り巡礼を楽しんだ後に榛名山を楽しみながらのんびり下りました。

レースの世界ならエンジンブローは負けなんだがな・・(第10巻166ページ)) − 赤城山 –

姫百合駐車場

<姫百合駐車場>

 

高橋兄弟が率いるレッドサンズがホームコースとする赤城山は『イニD』の聖地巡礼でもはずせない場所です。

下りのコースのゴール地点となる姫百合駐車場は、主人公である拓海が尊敬する高橋兄弟の兄涼介がライバルに勝利した際に描かれています(第7巻6ページ)。

 

標高1200m付近の駐車スペースでは、拓海が愛車のハチロク(トヨタ スプリンタートレノAE86型)のエンジンをブローさせた場所です(第10巻171ページ)。

 

なお、赤城山のコースでも、この駐車スペースが上る際に左側となるので、上りながら巡礼し、帰りに下りを楽しむことにしました。また、このスペースは、路面が非常に荒れています。クルマによっては下回りを擦るかもしれないので要注意です。

 

<エンジンルームをのぞく>

 

このコースのスタート地点は赤城山総合観光案内所(第9123ページ)の付近にあります。総合観光案内所は混雑している時もあるので、撮影の際に他の人や車両の写り込みを避けたい場合には訪れる時間や撮影する角度などを工夫した方が良さそうです。

 

<左奥に赤城山総合観光案内所があります>

 

伊香保のだんだん石段にあるIKAHOと同様なAKAGIのオブジェが赤城大沼にあるのでそちらにも行ってみました。こちらもかなり賑わっていました。オブジェの近くまでクルマで行けるので、愛車を入れてオブジェを撮影する方も多くみられました。

 

AKAGIオブジェとともに>

今回の立ち寄ったグルメスポット

「勝月堂」の湯の花饅頭

<「勝月堂」の湯の花饅頭、画像提供:勝月堂>

 

聖地巡礼となると、食事をコンビニなどで簡単に済ませてしまう方も多いようですが、せっかくなので地元のモノを食べてみました。

 

2135ページでは伊香保神社の石段で湯の花饅頭を食べる絵があるので、伊香保の巡礼では湯の花饅頭は外せません。「勝月堂」は湯の花饅頭などの温泉饅頭の発祥とされていて、1910年の創業当時の方法で1日に数千個を手作りしているそうです。営業は9時からですが、蒸したての饅頭を求めて8時半ごろから並ぶ方もいるとのことです。蒸したての饅頭を食べましたが、懐かしい味わいで美味しかったです。あとで食べようと思い、さらに6個ほど買ってしまいました。

 

1日に数千個が手作りされる湯の花饅頭、画像提供:勝月堂>

 

榛名山での巡礼を終え、赤城山に向かう前に「鹿火屋」に寄っていも串を食べました。いも串は、蒸した里芋を串に刺して、自家製味噌ダレをつけて炭火で焼き、最後に山椒を振っています。山椒の香りが病みつきになる一品です。いも串は冷凍の芋を使っていないので夏には食べられません。その時には焼きトウモロコシやトコロテンを楽しんでください。私はここのトコロテンが大好きです。

 

<一目でわかる「鹿火屋」の佇まい>

 

<山椒の香りが後をひくいも串>

 

赤城山での巡礼が終わり、遅い昼食に訪れたのが「とんとん広場」です。ここでは群馬県でも有数の養豚場である林牧場の福豚の豚肉を使って、豚肉料理を提供しています。おすすめは、1頭から10食分程度しか取れない希少部位を使った数量限定の厚切りトロカツセットやトロステーキセットです。特に、トロステーキセットではソースを、ガーリックなど3種類から選ぶことができるそうです。今回、これらは売り切れていたので、ポークステーキセットをガーリックソースでいただきました。ニンニクの風味がステーキにマッチしていて、すごく美味しかったので、次はトロステーキセットを、やはりガーリックソースで試してみたいと思いました。今回は味噌汁を豚汁(小)に変更していますが、ショウガが入っているのだろうか?今日のような雨の日には身体が温まります。

 

<豚のオブジェが内外に置かれる店舗>

 

<ガーリックソースでいただいたポークステーキ>

今回の巡礼は『イニD』の熱烈なファンに手伝ってもらいました。

愛車

<藤原文太と同タイプの愛車>

 

『イニD』の素人である私が聖地巡礼をするにあたり、知識が無かったので、イニDのファンである高橋悠太さんにアドバイスをもらいました。彼は主人公の父親である藤原文太が乗っている同型車であるスバル インプレッサWRXタイプR(GC8型)に、10年以上乗っています。そして、そのリヤウインドウには、走破した『イニD』に登場した峠のステッカーが撃墜マークのように貼られています。高橋さんにとって『イニD』の魅力はオンタイムで経験できなかった国産のスポーツカーが多く登場すること、そして、これらを取り巻く人間模様に魅力を感じるそうです。

 

記事内では、多くの場面で彼と彼の愛車に被写体となってもらっています。ありがとうございました。

 

<『イニD』の舞台となった峠を走破>

 

漫画家さんは聖地巡礼のために漫画を描いている訳ではないので、漫画と現地が微妙に異なる場面も多いようです。聖地巡礼ではあまり厳密に考えずに雰囲気を楽しむのが良いように思いました。また、『頭文字D』は走り屋をテーマにしていますが、聖地では交通ルールを守り、安全に巡礼を楽しんでください。

インフォメーション

勝月堂

 

住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保591-7

電話:0279-72-2121

営業時間:9:00~18:00(売り切れ次第終了)

定休日:元日、その他不定休

 

HP:https://www.shougetsudo.net

 

 

鹿火屋

 

住所:群馬県北群馬郡吉岡町上野田1329-127

電話:0279-54-3920

営業時間:9:30~16:00、日祝日10:00〜16:30

定休日:不定休

 

 

とんとん広場

 

住所:群馬県前橋市三夜沢町534

電話:027-283-2983

営業時間:平日10:00~15:00、土日祝日10:00〜16:00

 

HP:https://tonton.akagi-venture.jp

SNS:https://www.instagram.com/tontonhiroba/

 

 

参考文献

 

頭文字D 1~48巻、1995116~2013116日、しげの秀一、講談社、ヤングマガジン講談社コミックス

 

ぐんま観光県民ライター ぐん記者

福田靖

沼田市でぶどうを栽培しています。昔、冬にニッサン フェアレディZ(CZ32型)で赤城大沼へ行こうとした時、姫百合駐車場を過ぎたあたりで路肩の雪を見て、ビビって引き返してしまいました。冬季にはスタッドレスタイヤの装着が転ばぬ先の杖!