絹のミュージアムで楽しく学ぶ!「日本絹の里」 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
繭から生糸、そして絹製品へ
<蚕糸業から絹製品を紹介する常設展示>
「繭と生糸は日本一」。上毛かるたでも読まれているように、群馬は古くから蚕糸業の盛んな地であり、現在も産業は続いています。私が幼いころ、祖父母も蚕を飼育しており、無数の蚕が桑を食べる様子が記憶に根強く残ります。
常設展示では、そんな飼育のプロセスや蚕の一生を詳しく紹介。当時は知らなかった飼育の難しさや桑くれの大変さ…。展示資料やゲーム機のバーチャル体験を通して学ぶことができました。養蚕に携わっていた人には懐かしい道具の展示もあります。
<群馬をはじめ、日本各地の織物を展示>
ユネスコ世界文化遺産に登録された「富岡製糸場と絹産業遺産群」は、群馬の蚕糸業の発展に欠かせない存在です。各遺産の模型とパネル展示があり、良質な繭と生糸を作るための技術革新の場であったことが分かります。
日本各地の織物の展示もあり、繭から生糸へ、生糸から絹製品へと繋がる一連の流れを見届けることができます。
実際に観察!桑を食べる蚕
<約20頭の蚕を展示するコーナー>
常設展示では生きている蚕の展示もあります。苦手な人はぎょっとしてしまうかもしれませんが、子供に人気のコーナーです。常時20頭ほどを年間通して展示していて、夏休み期間中は特別展のコーナーで1000頭に拡大!この期間は手に持って観察することもできますよ。
<繭から糸を取る座繰りを体験>
繭から糸を取るための座繰り器には、繭玉がセットされており実際に「手回し」をすることも可能です。複数の繭から出ている繊細な糸が合わさり生糸になる様子に、子供も大人も夢中になります。
初心者から上級者まで。体験教室いろいろ
<繭で作ったストラップ>
繭クラフト、手織り、染色など、同館では繭や生糸に関わる体験教室を開催しています。私が参加した繭クラフトの体験では、繭を切って貼り合わせ、お花の形のストラップを作りました。作業は簡単でしたが、触れることで繭玉の強さや糸の細さを体感することができました。
手織り体験は絹糸を使い、自分だけのコースターやマフラーを制作。染色体験では草木染、型染、絞り染、ろうけつ染の4種類の技法から選べます。
<機織り体験 画像提供:日本絹の里>
絹製品をそろえたミュージアムショップ
<絹製品が並ぶミュージアムショップ>
展示室を回り、絹の優れた特徴を知れば知るほど絹製品が欲しくなります。ミュージアムショップではネクタイ、バッグなど、絹を使った製品を取り揃えています。一番人気は、保温性と通気性を持つ靴下とのこと。また、絹を使ったローションや石鹸も並び、絹の持つポテンシャルを感じました。
ショップの奥はカフェコーナー。窓の外には桑園が広がり、春から夏は緑色の畑を見ながら一休みできます。
蚕が作り出す糸が様々な工程と技術を経て絹製品になる。展示室を回って目の当たりにしました。また展示を見るだけでなく、体験教室に参加して実際に繭や生糸に触れてみるのもおすすめです。蚕ががんばって作ったのかぁと、繭玉ひとつも愛おしく見えてきます。
蚕糸や絹に関する企画展、特別展も定期的に開催しているので、ぜひ足を運んでみてください。
インフォメーション
群馬県立日本絹の里
住所:群馬県高崎市金古町888-1
電話:027-360-6300
営業時間:9:30~17:00
定休日:火曜(祝日の場合は翌日)、特別展・企画展の入れ替え時
料金:大人200円(企画展期間中400円)、大学生・高校生100円(同250円)、中学生以下無料

関口美智子