館林市の「製粉ミュージアム」で製粉の最新技術や歴史について楽しく学ぶ【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

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更新日: 2024年04月10日

群馬県の魅力をぐんま観光県民ライター(ぐん記者)がお伝えします!

館林市の「製粉ミュージアム」は世界的にも珍しい製粉をテーマにしたミュージアムです。製粉の最新技術や歴史について楽しく、わかりやすく学べるとのことですので、見学に行ってきました。

正田貞一郎が館林市に日清製粉の前身となる館林製粉を設立

そもそも、館林市は日清製粉グループの創業の地であることをご存知ですか?群馬県は乾燥した気候で水はけのいい土壌に恵まれており、昔から小麦作りが盛んでした。1900年、そんな群馬県の館林市に正田貞一郎が日清製粉の前身である館林製粉を設立。その後、横浜の旧日清製粉を吸収合併し、社名を日清製粉に改めました。吸収された側の社名を採用するというのは極めて異例なことでしたが、これには「館林」よりも「日清」という名称のほうが普遍性があるという貞一郎の考えがあったようです。
「製粉ミュージアム」は日清製粉が館林市で創業当時に工場事務所として使用していた建物をシンボルとして2012年にオープンしました。

<日清製粉グループの製品も展示しています>

最新の製粉技術について学べる新館から見学スタート

エントランスロビーで音声ガイド機を無料で貸してもらえます。使い方はとても簡単。館内を進んでいくと番号が割り振られた音声ガイドマークがありますので、音声ガイド機でその番号を押すとそこの展示物の解説を聞くことができます。
新館から見学スタートです。ここでは最新の製粉技術について学ぶことができます。入ってすぐのところには新旧2台のロール機が展示されていました。さっそく、音声ガイド機で解説を聞いてみます。それによると、このロール機で製粉の最初の工程である小麦を砕く作業が行われるとのこと。スピードの異なる2本のロールが回転し、遅いほうで小麦を押さえ、速いほうで砕くそうです。

<この音声ガイド機で詳しい解説を聞くことができます>

<新旧の2台のロール機。手前が旧型です>

<このロール機で小麦を砕いていきます>

パノラマシアターは小さな子どもも楽しめそう

ロール機の隣にはシフターが展示されています。こちらも新旧のものが2台。箱の中に目の粗さの異なる網が何枚も入っていて、これでロール機で砕いた小麦を粒度別にふるい分けていきます。
この新館には製粉の各工程を詳しく見られる「製粉工場パノラマシアター」というのもあります。各工程で使用される機械などのミニチュア模型が入ったカプセルを定位値に置くことで、その工程の解説の映像と音声が流れる仕組みになっています。これは小さな子どもも楽しめそうですね。
さらには、「小麦の生産量がもっとも多い国は?」等の小麦に関するさまざまなクイズを楽しめるモニターも。ちなみに、このクイズの答えはちょっと意外なあの国でした。

<新旧の2台のシフターも。手前が旧型です>

工場事務所だった本館で日清製粉のあゆみを学ぶ

新館の次は本館へと移ります。この本館は明治の創業期から1970年まで工場の事務所として使われていた建物で、日清製粉のあゆみについて学ぶことができます。
1階には創業期の写真や資料が展示されており、その中央に日清製粉で創業期に使われたロール機が置かれています。
創業者の正田貞一郎が、日本より遥かに製粉技術が進んでいたアメリカから最初に輸入したロール機が届いたときは、部品が組み立てられていない状態だったとか。そのため、貞一郎が自ら英語の辞書を引いて自力で組み立てなくてはならなかったのですが、その完成と稼働にはなんと約半年もかかったそうです。そのときに使われた英語の辞書も、この本館に展示されています。
2階には父の貞一郎の跡を継いで社長や会長を歴任した正田英三郎のギャラリーや、現在まで伝承されている経営哲学に触れることができる部屋もあります。

<創業期のロール機>

約50種もの植物が植えられた日本庭園も魅力

本館を出ると、美しい日本庭園が広がっています。約50種もの植物が植えられていて、四季折々の花々を愛でることができます。桜の時期にはソメイヨシノが咲き誇るそう。そのときに、またぜひ訪れてみたいですね。
池には色とりどりの錦鯉がたくさん泳いでいます。その中央に4個の丸い石が配置されていますが、実はこれ、石臼です。その内の2個は1870年にフランスで造られた瑪瑙(めのう)製の石臼で、北海道のトラピスト修道院でトラピスト(修士)の自活のために長年使用されていました。その後、1961年に修道院のご好意により日清製粉に寄贈されたそうです。

<本館2階のエレベーターホールからも日本庭園を見渡せます>

<池の中の大きな石臼が瑪瑙製です>

<池の錦鯉は40匹以上もいるそう>

歴史好きの方必見!榊原康政が整備した旧館林城下町の堀跡

日本庭園をちょっと奥に入ったところには、長方形の堀があります。一見なんの変哲もない堀ですが、これは徳川四天王の1人である榊原康政が、館林城下町を囲う堀として整備したものなのです。歴史好きの方は要チェックです。
というわけで、製粉の最新技術と歴史を学び、日本庭園も堪能して大満足で見学を終えました。最後にアンケートに答えると記念品をもらえますので、お忘れなく。
また、この製粉ミュージアムではミニチュア製粉機を使って製粉工程を体験できるワークショップも開催しています。ただし、開催は不定期で、当日、来てみないと開催されているかどうかわからないそう。ですので、もし訪れたときに開催されていたらラッキーです。ぜひ参加してみてください。

<榊原康政が整備した旧館林城下町の堀跡>

<アンケートに答えてもらった記念品のお好み焼粉>

まとめ

製粉ミュージアムは製粉の歴史と技術を学び、さらに日本庭園でのんびり寛げるスポットでした。館林駅西口から直結とアクセスの良さも抜群なので、館林市を訪れた際にはぜひ気軽に立ち寄ってみてください。

インフォーメーション

製粉ミュージアム

住所:群馬県館林市栄町6-1

電話:0276-71-2000

営業時間:10時〜16時30分(入館は16時まで)

定休日:電話またはホームページにてご確認ください

HP:https://www.nisshin.com/museum/

料金:大人200円/小人100円(小・中学生)
   障がい者割引あり。受付で障がい者手帳をご提示ください。本人含む2名分が無料になります。

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小林ていじ

群馬県館林市出身のフリーライター。海外をふらふらと放浪するのが好きで、旅の記事をもっとも得意とする。現在は日本にいるが、また海外に出てずっと旅して暮らしたい。