「鬼も内」!豆はまかない?!鬼押出し園で迎える新たな節分【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
鬼は味方?!これを知っていればあなたも鬼に金棒!
冒頭でも触れた通り、節分には「悪いもの」を追い出す、といった風習がありますが、昔は鬼は災いの元と考えられていたため、魔除けや邪気払いの意味がある「豆まき」によって、鬼を追い払おうとしていました。
しかしながら、こちらの鬼押出し園では鬼は悪者を防ぐ門番であり、門番である鬼を退治するわけにはいかないと考えられており、「鬼大師(おにだいし)」として尊敬されているのです。起点となる惣門(そうもん)には二天尊像(にてんそんぞう)が祀られ、ガードマンの役割をしてくれています。このような事から、同園の鬼は悪者ではなく、むしろ我々を守ってくれる強い味方なのです。
惣門(そうもん)の左側に増長天(ぞうじょうてん)、右側に持国天(じこくてん)が祀られています。
東叡山 寛永寺別院(とうえいざん かんえいじべついん)、浅間獄観音堂 惣門(あさまごくかんのんどう そうもん)の正面です。表参道の入口になります。
「福は内、鬼も内」浅間山観音堂の舞台から新年の息災を願う
鬼は味方なので、豆まきをしないのかといったら、そうではありません。「福は内」ですが、「鬼も内」なのです。非常に珍しいかけ声ですね。そして、珍しいのはかけ声だけでなく、まく「豆」にも実は秘密があります。同園に入って渡されたのは炒った豆ではなく、なんと「落花生」でした!その理由は、まれに炒り損ないの豆がまかれて発芽してしまわないようにするためです。同園は「上信越高原国立公園」でもあるため、指定の植物を保護するための気遣いだったんですね。5月~11月にかけては、様々な園内の高山植物が見られますので、それもまた見所の1つですね。
眺めのよい浅間山観音堂から願いを込めて落花生をまきました。かるたの絵札をイメージしたかのようなショットです。
落花生をまく節分も非常に珍しいですね。
イワカガミやハクサンシャクナゲなど、園内にはたくさんの高山植物がそれぞれの時期を迎えると見ることが出来ます。
上記写真は5月下旬頃の園内の様子です。鮮やかなヤマツツジが映え、園内の雰囲気もまたガラリと変わります。
自然の創作、澄み切った空の下に広がる壮大な景観
今回の取材は節分がテーマですが、園内に広がる壮大な景色もまた見所のひとつです。豆まきの後は、今年4年ぶりの冬季営業再開となった園内の絶景も撮影しました。
目の前に広がる壮大な真っ黒い岩々と、真っ白な雪のコントラストは、この時期にしか見ることができない、まさに絶景!自然が作り出す芸術は、写真に収めると黒と白だけのモノクロに写るかと思いきや、真っ白な雪のキャンバスに晴れ渡ったスカイブルーが反映し、青みがかるのも素敵です。
またワンちゃんの入園も可能なので、季節の花々を楽しみながらお散歩するのもおすすめです。浅間山の麓の澄んだ空気の中を散策するのは、とっても気持ちがいいですよ。浅間山観音堂では節分のイベントはもちろん、元旦にもイベントも行っており、四季折々の行事が体験できるのも魅力ですね!
雪が青みがかって見える、神秘的で壮大な景色が広がる鬼押出し園
誰のいたずら?自然が残した奇観
壮大な景色を作り上げている黒い岩々は、そもそもどのようにしてできたのでしょうか。それは遡ること約240年前、天明3年に起きた浅間山の大噴火によって溶岩が押し出され、時速130kmの速さで集落まで流れ込んできたことが原因です。最後に流出した鬼押出溶岩流が、長い時間をかけて風雨にさらされ、冷えて固まってできたのがこの鬼押出し園です。「鬼押出し」という名前の由来は、昔、浅間山には「鬼」が住んでいるといわれており、その鬼が噴火に関わっている、と考えられたようです。
なるほど。上毛かるたでも「浅間のいたずら 鬼の押出し」とありますね。今でも時折、園から浅間山の煙があがっているのを確認できます。
全国でもまれな、東叡山 寛永寺(とうえいざんかんえいじ)の別院
集落にまで溶岩が流れ込んでしまった浅間山の大噴火。噴火当時、天台宗関東総本山 寛永寺の住職が亡くなった人々を弔い、浅間山が二度と噴火しないように慰霊と復興を祈願するよう命じたことがご縁となり、昭和33(1958)年に鬼押出し園内に浅間山観音堂が創建されました。
標高1,300mの観音堂から見渡す景色はまさに別世界のようで、「百聞は一見に如かず」というように、訪れた人だけが味わえる壮大な景色が広がっています。
4月~11月の毎月18日には、観音堂の中の扉が開き、秘仏である御本山様を拝見することができます。また、近くの鐘楼堂(しょうろうどう)では、雄大な浅間山に向かって鐘撞(かねつ)きもできます。
観音堂でいただける御朱印です。
鐘楼堂(しょうろうどう)。実際に鐘撞きをしてみると、標高1300mに位置しているため摩擦で音を遮るものもなく、それによって振動数が少ないため、音がしばらくの間鳴り響きます。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。浅間山の歴史から現在に至るまで、そして鬼押出しの由来から節分にまつわるあれこれなど、節分だけに「豆知識」として、皆様に文化やその風習を共有させていただきました。本記事を通して皆様に良い年が訪れますよう、また同園の魅力を一人でも多くの方知っていただけますよう私なりの視点からご紹介させていただきました。節分に限らず、一年中楽しめる「鬼押出し園」に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
インフォメーション
鬼押出し園
住所:群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原1053
電話:0279-86-4141
営業期間:通年営業※2024年3月31日(日)までは冬期営業期間
営業時間:AM8:00~PM5:00(最終入園PM4:30)※天候により変更する場合あり
園内施設:レストラン(冬期営業期間中は営業なし)、売店(AM9:00~PM4:00)※御朱印、お守りは浅間山観音堂授与所
入園料:大人(中学生以上)¥700/人(税込み)、こども(小学生)¥500/人(税込み) 他団体料金等
無料駐車場あり
その他サービス:車椅子、ベビーカー貸し出し無料
やきまん十太郎