高崎の隠れ名所「小串カタクリの里」5万株が織りなす春限定の紫絨毯【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
高崎市の隠れ名所!小串カタクリの里の紹介
高崎市の吉井町小串地区を走る国道254号沿いに、ひっそりと広がる「小串カタクリの里」。
一見すると普通の里山ですが、春になると国道脇の斜面が淡い紫色に染まり、訪れる人を驚かせます。かつてこの場所のカタクリは盗掘の危機にさらされていましたが、地元の小学生や住民が熱心に保護活動を続けたおかげで、今では約5万株もの立派な群生地に育ちました。現在は観察路が整備され、子どもからお年寄りまで安心して楽しめる里山の隠れスポットになっています。
アクセスは上信越自動車道吉井ICから車で約10分。駐車場は約20台(無料)で、早めの到着がおすすめです。国道沿いとは思えない静けさと自然の美しさが、訪れた人を魅了する隠れた名所です。
春の妖精「カタクリ」とは?
カタクリの開花期間はわずか1〜2週間ほどしかなく、「春の妖精」とも呼ばれています。種から発芽して花を咲かせるまでに、約7〜10年という長い年月がかかります。その間、最初は1枚の葉だけで光合成をして栄養を蓄え、成熟すると2枚の葉を出して、ようやく春(3〜4月)に薄紫色の花を咲かせます。
その可憐な花は下向きに咲き、晴れた日の昼間(お昼頃)にきれいに花びらが反り返って開きます。曇りの日や朝・夕方は花が閉じてしまうため、晴れたお昼頃が一番美しいタイミングです。

<入口左手にカタクリの生態が詳しく掲載されているので、こちらで予習してから撮影するのも良いと思います>
カタクリ咲いたまつり実行委員長の長谷川さんにお話を伺ったところ、カタクリに特別な種類の違いはほとんどなく、基本的に同じ種類だそうです。ただし、突然変異で白いカタクリが数株咲くことがあり、小串のカタクリの里でも今年も1~4箇所程度で確認できたと仰っていました。白い株は毎年同じ場所に咲く傾向があるとのことで、見つけたときの喜びはひとしおです。

<白いカタクリ(左上)の写真。写真提供:吉井支所地域振興課>
こうした可憐で繊細なカタクリは、長年にわたり地元の方々に大切に守られてきました。現在も地域の役員が月1回程度、観察路の清掃などのボランティア活動を続けています。

<キツネノカミソリの写真。 写真提供:吉井支所地域振興課>
また、近隣の小学生も狐の剃刀(キツネノカミソリ)の駆除活動に参加するなど、地域全体で継続的な取り組みが行われています。狐の剃刀はきれいな花ですが、増えすぎてしまうとカタクリの生育を妨げてしまうため、毎年場所を決めて駆除しているそうです。
筆者も実際にカタクリを撮影してきました。
<小串カタクリの里の駐車場。ここから散策スタート!>
筆者は連休中に訪れ、駐車場に車を停めて早速観察路の入口へ向かいました。

<左手が入口。観察路が整備されているので歩きやすい>
木製の階段を上ると、里山らしい静かな参道のような道が続きます。観察路は傾斜地の真ん中を東西に通っており、駐車場から降りてすぐ目の前で群生を鑑賞できるアクセスの良さが大きな特徴です。足元が安定していて歩きやすいのも嬉しいポイントで、緩やかな斜面をゆっくり上りながら周囲を見渡せます。

<こちらの看板で全体図を把握できます。また、カタクリは「堅香子(かたかご)」と呼ばれ、万葉集で大伴家持おおとものやかもち)が「物部の 八十少女らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花」と詠んだことで知られています>
残念ながら、この日は曇天だったため、完全に開いている花こそ少なかったものの、光が柔らかく、カタクリの薄紫色がより優しく感じられました。風が少し吹くと花がそよそよと揺れ、静かな里山の空気の中で心が落ち着くのを実感しました。

<曇天で開いている株が少ない印象>
カタクリは下向きに咲いているので、最初はなかなか花の全体像が見えにくいのですが、観察路を進むにつれて徐々にその可憐な姿が現れてきます。天候によって異なる表情を見せるのも、カタクリの魅力の一つかもしれません。

<それでも筆者は開いているカタクリを見つけて激写。曇天に映える、優しく可憐な薄紫色でした>
一面の紫絨毯! 群生地での感動と撮影テクニック
後日、筆者は改めて晴天のお昼時に訪れてみました。すると、曇りの日とは一変。観察路の斜面には、太陽の光を浴びて元気に花びらを広げたカタクリたちが、見事な薄紫の絨毯を作っていました。

<写真では伝わりにくいのですが、一面にカタクリが咲いています>

<少しアップで撮影。ようやくその可憐な姿を捉えました>
約5万株ものカタクリが斜面を埋め尽くし、密集して咲き誇る様子はまさに圧巻の一言。これほどまでの大群生を目の当たりにしたのは初めてのことなので、新鮮な感動を覚えました。

<よく見ると蜂の姿も。春の訪れを告げる賑やかな光景>
長谷川さんのお話では、小串のカタクリは比較的大ぶりなのが特徴だそうです。ただ、その年の気象条件に左右されやすく、雨が少ない年は少し小ぶりになったり、暖かさによって満開の時期が前後したりすることもあるようです。
そんなカタクリを美しく撮るポイントは、『低いアングルからズームで狙うこと』。そうすることで、約5万株が咲き誇るダイナミックな景色の迫力が、より一層引き立ちます。

<ベストショットは「低いアングル」から>
最後に、この素晴らしい景色を次世代へつなぐために、訪れる際はぜひマナーを守って楽しみましょう。カタクリは根が非常に深く、一度持ち帰ってしまうと自宅で育てるのはまず不可能だそうです。

<みんなで守るカタクリの里>
観察路から外れて足を踏み入れないこと、そして決して持ち帰らないこと。地域の方々が大切に育ててきたこの『春の妖精』たちを、これからも温かく見守っていきたいです。
高崎の隠れ名所「小串カタクリの里」は、5万株のカタクリが織りなす春限定の紫絨毯が圧巻のスポットです。観察路を歩きながら可憐な春の妖精に出会い、晴れたお昼頃に花が開く様子をぜひ堪能してください。短い開花期間だけ現れる群馬の春の宝石、ぜひ訪れてみてください。
インフォメーション
小串カタクリの里
住所:高崎市吉井町小串274番地1
問い合わせ:027-387-3113(高崎市吉井支所地域振興課)
見頃時期:例年3月中旬~3月下旬
駐車場:無料(約20台)
高崎市吉井支所 地域振興課
HP:https://www.city.takasaki.gunma.jp/page/4348.html
高崎観光協会
タマル