グンマーの秘境へ行こう!絶景の毛無峠と破風岳を歩く稜線ウォーク! 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
駐車場から20秒?グンマーの秘境「毛無峠」の看板で最果ての雰囲気を味わう
<一目見たい秘境感ばつぐんの看板>
「この先危険につき関係者以外立ち入り禁止」「遭難多発地域」「群馬県」の看板が並ぶ毛無峠。まるで「群馬県に入ると危険!?」と思わせるような印象がネットで話題となり、群馬県は“秘境の地”として注目を集めました。
2025年6月にリニューアルされた看板も、古びた秘境の雰囲気はそのまま。SNS映えスポットとしても人気があり、静けさと山が広がる絶景、むき出しの鉄塔が非日常感を演出しています。
毛無峠は群馬県出身のバンドback numberの楽曲「ベルベットの詩」のロケ地にもなっている場所です。MVと同じ場所に立っていると思うと感慨深いものがあります。
ツーリングやドライブ、グライダー愛好家にも人気ですが、実はハイキングの出発点としても魅力的な場所です。
<ポツンとそびえ立つ鉄塔>
破風岳まで花咲く細道を歩く!稜線トレイルを手軽に体験しよう
<破風岳への登山口>
毛無峠から破風岳(標高1,999m)へは、30分〜1時間ほどの稜線ハイキングが楽しめます。標高2,000m近い高地の爽快感を手軽に体験できるコースで、夏から秋がベストシーズンです。
群馬県側からのアクセスは草津温泉経由の志賀草津高原ルート※か、万座ハイウェーを利用します。駐車場までは車が1台しか通れないような細道もあるため、対向車に注意しながら進みましょう。
毛無峠には約20台の駐車スペースがあります。ただしトイレはないため、事前に済ませておくことをおすすめします。取材日は7月中旬で真夏日の予報でしたが、峠は涼しく、朝は肌寒く感じるほどでした。
駐車場に降り立ったとき、目の前にそびえる鉄塔の迫力を感じつつも、周りを見渡せば遥か遠くまで絶景が広がります。雲もまるで目線と同じ高さにあり、空の近さを実感できます。
※志賀草津高原ルート(例年11月〜4月)および毛無峠(例年11月中旬〜5月下旬)は冬季期間中道路が閉鎖されるため、詳しい内容は最新情報をご確認ください。
<駐車場から広がる県境>
登るほどに広がる絶景!標高1,999mの高地から見渡すと、世界の静けさを知る
<天空の登山道を歩こう>
山肌を登る毛無峠から破風岳への登山道は、笹の中を通る1人幅の細道です。すれ違う際は譲り合い、足元に気をつけながら登りましょう。初心者向けのコースとはいえ、サンダルなどの滑りやすい靴は避け、足元を守る装備をおすすめします。笹の中を歩くため、肌の露出を控えるとより安心です。登山道は森林もなく直射日光が当たるため、帽子も必須アイテムです。
<県道や駐車場が遠くに見える>
登りが続いて疲れたときこそチャンス!見上げれば手が届きそうな空の高さが広がり、振り返れば絶景が目に飛び込んできます。
山肌を登りきると「ぐんま県境稜線トレイル」の分岐点に出ます。正面に赤いテープが見え、その右手側が破風岳の頂上です。
<破風岳の山頂から。どこを見ても絶景が広がっている>
破風岳からの眺めは、両手を広げて世界を感じられる絶景とホトトギスの鳴き声が響く静けさに満ちていました。この場所に立てたことが、少し誇らしく思えます。
下山中も足元には気をつけて進みたいところ。遥か遠くに見えていた駐車場に近づくと、ほっと安心感が込み上げてきます。
<7月でも雪が積もるアルプスの山頂>
立ち入り禁止看板の先にあるものとは?歴史が語る鉱山の名残
<登山中は立ち入り禁止先の道がよく見える。鉱山跡は今も草木がない>
毛無峠の地名の由来は、冬の北西季節風が強く、峠付近に高い木や草木が育ちにくいことから名付けられたとされています。ここにはかつて、全国の硫黄生産高が2位を誇った小串(おぐし)鉱山がありました。破風岳への道中では、立ち入り禁止看板の先の鉱山跡を見下ろせ、当時の名残を見られます。
小串鉱山は大正5年に高井鉱山として創業し、昭和46年7月に閉山するまで55年間稼働しました。最盛期には約2,000人が生活し、学校や病院、商店もある一つの生活圏を形成していました。やがて石油の需要が増え硫黄の需要が減少したことにともない、小串鉱山も閉鎖されることになります。
毛無峠にある鉄塔は、当時硫黄鉱山で利用していた設備の一部だそうです。鉄塔の先は御飯岳(おめしだけ)の登山口になっており、毛無山や御飯岳への稜線トレイルも楽しめます。
<御飯岳への入口>
<トンボもよく飛ぶ夏の毛無峠>
群馬の最果てと呼ばれる毛無峠から破風岳へは、初心者にもやさしい一方で本格的な稜線の空気を味わえるコースです。寒さや風への対策は必要ですが、装備を整えれば登るほどに絶景を楽しめます。
ちょっと冒険してみたい休日に、毛無峠で非日常体験をしてみてはいかがでしょうか?
インフォメーション
毛無峠
住所:群馬県吾妻郡嬬恋村 毛無峠
※毛無峠までの道路は、例年11月中旬〜5月下旬まで通行止めとなります。

杜澤こさゆ