渋川駅から歩いて行けるフランス!心に響く歌声に出会う「日本シャンソン館」【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
シャンソンって何?日本唯一のシャンソン専門ミュージアムへ
<ルーヴル美術館の「ガラスのピラミッド」が10分の1の大きさで再現されています>
シャンソンとは、フランスの大衆歌謡のこと。19世紀後半にパリのキャバレーやカフェで歌われ始めました。
日本シャンソン館は、シャンソン歌手の芦野宏氏が「もっと身近にシャンソンを感じてもらいたい」との想いで開設した、世界初のシャンソンのミュージアムです。
展示室では、シャンソンの歴史や代表的な楽曲、歌手たちの資料が丁寧に展示されています。「自分たちがこの世を去ったあとに、大切な衣装や楽譜の行方がわからなくなるのは寂しい」そんな想いから、多くのシャンソン歌手が国内外から私物を寄贈してくれるのだそうです。

美川憲一さんや山本リンダさんなど、私も知っているシャンソンを愛する著名な歌手の衣装も展示されています。

<1968年から2011年12月まで東京・赤坂で営業したシャンソニエ「ブン」の看板>
展示室の一角には、閉店したシャンソニエ(シャンソンを聞かせるライヴハウス)で使われていた看板やピアノなども飾られ、当時そこを訪れていた方が昔を懐かしんでいるのだとか。貴重な品が失われずに一箇所に集められているのは、日本シャンソン館がシャンソン愛好家にとって特別な場所だからでしょう。
土日祝日開催の「シャンソンライヴ」でプロの歌声に酔いしれて
<シャンソン歌手のあみさん(左)とギター・クラリネット奏者の下梶谷雅人さん(右)>
日本シャンソン館の魅力の一つが、シャンソニエ「ヴェルメイユ」で土日祝日に開催されるシャンソンライヴです。国内外で活躍するプロのシャンソン歌手が、フランス語の美しい響きと共に心に響く歌声を披露してくれます。
ライヴ会場は館内の専用スペースで、観客席からステージまでの距離が近く、歌手の表情や息遣いまで感じられる臨場感が魅力です。生演奏の音楽に包まれながら、まるでパリの小さなライヴハウスにいるかのような特別な時間を過ごせます。
普段なかなか触れる機会のないフランス文化を、こんなに身近に感じられる場所は貴重ですね。

<フランスから仕入れたというバーカウンターが気分を盛り立てる(シャンソニエ内では飲食はできません)>
出演者と観客が一体になるライヴ空間
この日の出演は、シャンソン歌手のあみさんと、ギターとクラリネットの両方を担当する下梶谷雅人さん。シャンソンに詳しくない私でもよく知っている「オー・シャンゼリゼ」をはじめ、創設者・芦野宏氏が作詞・作曲した曲や、ブラジルのナンバーなど、全7曲を演奏してくださいました。
言語がわからない曲もありましたが、メロディーや歌手の表現力から伝わってくる情熱や哀愁に心を動かされます。また、曲間にはお二人が対話しながら曲の解説をしてくれるので、シャンソンへの理解を少しずつ深めながら楽めました。
最後はもう一度「オー・シャンゼリゼ」を会場全員で一緒に歌って、拍手をして閉演となりました。
毎週来館されているという前橋市の女性にお話を聞くと、「プロの歌声を聞いて、テラスでは素敵な風景を眺めながら美味しい食事をいただく。すべてにおいて満ち足りた時間を過ごせるこの場所は、第二のわが家みたいなものですね」とのこと。
シャンソンという共通言語があるからか、来館者同士であいさつをしたり、少し言葉を交わしたり、初めての来館でも心地よく過ごせる温かな空間です。
クロード・モネが愛した庭園をイメージして造られた「ル・ジャルダン」で季節のうつろいを感じる
<5月頃の藤棚 画像提供:日本シャンソン館>
館外に広がる美しい庭園「ル・ジャルダン」は、印象派の巨匠クロード・モネがフランス・ジヴェルニーに造った庭園をイメージしたもの。四季折々の花々が咲き誇り、特に3月はミモザ、5月の連休の頃には藤、秋には紅葉で庭園が彩られるそうです。

<3月頃のミモザ 画像提供:日本シャンソン館>

<秋は紅葉が美しい 画像提供:日本シャンソン館>
池には睡蓮が浮かび、小さな橋が架かる風景は、まさにモネの絵画の世界そのものですね。散策しているだけで、フランスの田舎の風景の中を歩いているような気分になれます。

<画像提供:日本シャンソン館>
季節ごとに表情を変える庭園は、何度訪れても新しい発見がありそうです。ベンチもいくつか設置されているので、ゆっくりと庭園を眺めながら過ごすのもおすすめです。
Café de Roseau (カフェ・ロゾー)で一息ついたらLa Famille(ラ・ファミーユ)でお土産探しも
<パリの街角にあるカフェを再現したのだそう>
音楽と庭園を楽しんだあとは、館内のCafé de Roseau (カフェ・ロゾー)で一息つきませんか?こちらではオリジナルドリンクや焼き菓子、ランチセットなどをカジュアルに楽しめます。

<ほろほろのお肉と、自家製の焼きたてパンで幸せな気分になりました>
私はビーフシチューのランチタイム限定の「フォン・ド・ボー仕立てのビーフシチュー」と、シャンソンの曲名がついたオリジナルのハーブティー「バラ色の人生」をいただきました。

<隣の大きな木は樹齢300年以上の「夫婦欅(めおとけやき)」>
テラスからは先ほどライヴを楽しんだシャンソニエと展示室のあるミュージアムが見えます。ミュージアムのA棟(左)はゴッホも描いたフランスのオーヴェル=シュル=オワーズにある村役場を、B棟(右)はフランス革命期のジャコバン派の本部、ジャコバン修道院をモデルに造られたそう。まさにフランスの風景です。

併設のミュージアムショップ「La Famille(ラ・ファミーユ)」では、シャンソンのCDはもちろん、フランス雑貨や書籍など、フランスから仕入れたここでしか手に入らない品々が並んでいます。シャンソン館オリジナルグッズも充実しているので、訪問の記念にお気に入りのアイテムを見つけてみてください。

日本にいながらフランスの文化と音楽に深く触れられる、「日本シャンソン館」。シャンソンライヴの美しい歌声、モネの庭園の四季の美しさ、心休まるカフェでの時間…すべてが特別な体験です。
伊香保温泉への入口となっているJR渋川駅からのアクセスも良く、旅の途中に、ゆったり過ごしたい休日に、さまざまなタイミングで楽しめます。日常から少し離れて、芸術と文化に浸る贅沢な時間を過ごしてみませんか。
インフォメーション
日本シャンソン館
住所:群馬県渋川市渋川1277-1
電話:0279-24-8686
営業時間:9:30~17:00 (最終入館 16:30)
定休日:水曜日(祝日は開館)
料金:
大人(高校生以上)¥1,000
小人(小・中学生)¥500
未就学児 無料
※現金のみの取り扱い
※団体割引(15名様以上)で100円引き
※障がい者手帳のご提示により、ご本人様と付添1名様 半額
※補助犬の同伴可
※カフェ・ショップのみのご利用でも要入館料
シャンソンライヴ料金 ¥1,000 (特別公演の場合、料金が異なります)
※現金のみの取り扱いとなります
※1日1公演 14:00~(約30分間)
※土・日・祝のみ開催
※事前予約制(当日空席がある場合、予約なしでも可)
HP:https://www.chanson-museum.com/
SNS:https://x.com/musee_chanson
Café de Roseau (カフェ・ロゾー)
営業時間:9:30~17:00 (L.O. 16:30)
(ランチタイムは11:00~14:00)
望月優衣