群馬で音と炎の衝撃を体感!「館林手筒花火大会」【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

館林手筒花火大会

更新日: 2026年09月03日

目の前で炸裂する火柱と爆音!館林の夏を彩る「館林手筒花火大会」を現地レポート!勇壮な放揚の迫力だけでなく、衣装や技に込められたこだわり、大会を支える方々へのインタビューまで、歴史と情熱が詰まった一夜の魅力を深掘りします。

歴史と名物の街・館林の夏祭り

館林城ゆめひろば

<夏の夜に熱気と興奮が集まる館林手筒花火大会>

 

つつじの名所「つつじが岡公園」や分福茶釜の茂林寺、名物の「館林のうどん」などで知られる館林市。この街では毎年7月下旬、夏の風物詩となるお祭りが開催されます。

 

会場は、館林駅から歩いて行ける「館林城ゆめひろば」です。当日は夕方頃から屋台が並び、家族連れや浴衣姿の人々で賑わいをみせます。あたりが暗くなり始める頃に夏のメインイベント「館林手筒花火大会」が始まります。

迫力の「放揚」と「跳ね」

放揚の様子

<放揚の様子。写真提供:館林市つつじのまち観光課>

 

手筒花火は空へ打ち上げる一般的な花火とは違い、揚げ手が火薬の詰まった筒を持ち、吹き上がる炎と火の粉を浴びながら揚げる「放揚(ほうよう)」が最大の特徴です。

 

<観客の目の前で噴き上がる火柱。 写真提供:館林市つつじのまち観光課>

 

使用される手筒には1斤、3斤、5斤の3種類があり、中でも最大の5斤は長さ約1メートル、直径約20センチにもなります。縄をしっかりと巻き付けた筒に点火すると、「シュッー!」と激しい音を立てて高さ10メートルもの巨大な火柱が真上に吹き上がります。

 

そして、クライマックスは「跳ね(ハネ)」です。点火から約40秒後、「ドカン!」というお腹の底まで直接響く爆音とともに筒の底が抜け、足元へ炎が一気に吹き抜けます。この一瞬の爆発と地響きのような衝撃こそが、手筒花火の醍醐味です。

 

<爆音とともに足元へ炎が吹き抜ける「跳ね(ハネ)」の様子。写真提供:館林市つつじのまち観光課>

館林煙硝会が語る舞台裏

林煙硝会会の小林会長

<「人間と花火の一体感が一番の魅力」と語る小林会長>

 

館林藩の初代藩主・榊原康政が三河(愛知県豊田市)生まれだった縁から、本場・豊橋の伝承者から直接技術を学んで立ち上げられたのが「館林煙硝会」です。今回は安全管理の工夫や揚げ手の心境、そして未来への想いについて、事務長の小島さんと小林会長にお話を伺いました。

 

筆者:三河伝統の手筒花火を、館林で受け継ぎ守り続けてこられた歴史について教えてください

 

小島さん:1999年4月に開催された「つつじまつり」のオープニングで手筒花火を実施したのが始まりです。その後、7月の「館林まつり」に合わせて開催するようになり、今年で27回目を迎えました。

 

筆者:手筒花火の仕組みについては?

 

小島さん:本場の豊橋では竹を使いますが、館林では安全性を最優先に考慮して既製品の紙パルプ筒を使用しています。火薬も安全基準に達したものを定量で納品してもらっているため、どの筒も安全に均一な燃え方や吹き出し方をします。

 

ここからは小林会長にお話を伺いました。

 

筆者:点火から最後の「跳ね」まで、具体的にどのように揚げるのでしょうか?

 

小林会長:まず地面に寝かせた状態で点火用の火薬に火をつけ、そこから垂直に抱え起こします。約40秒間火柱が上がったあと、火薬が切り替わって下から「ドカン!」と抜けるのが「跳ね」です。

 

筆者:三河の伝統を館林の地で次世代へ継承していくうえでの想いをお聞かせください

 

小林会長:私達も気持ちとしては「神事」としてこの地に根付かせて実施しています。未来ある子どもたちに故郷を思い出してもらえるよう、無事故で長く続けていきたいですね

 

筆者:数ある花火の中で、手筒花火にしかない一番の見どころや魅力とは何でしょうか?

 

小林会長:現代の花火はスイッチ一つの制御が多いですが、人が点火し、人の手で最初から最後まで揚げ切る「人間と花火の一体感」が一番の魅力です。点火から最後の「跳ね」まで、音・炎・火の粉を五感で感じてほしいですね。

 

筆者:間近で火の粉を浴びるわけですが、正直やっぱり熱いんでしょうか?火傷などは大丈夫ですか?

 

小林会長:男の痩せ我慢じゃないですけど、心意気ですね。実際は唸るほど熱いですし、もう右手とか火傷だらけです。

 

筆者:初めて手筒花火を見る方に向けて、観賞のコツや楽しみ方はありますか?

 

小林会長:初めての方は特に驚くと思いますが、点火の瞬間から跳ねる最後までの約40秒間、どう持ち上げ、どう耐えているか。音と炎、そして火の粉を被る男の勇姿を感じながら、その瞬間を待っていただければと思います。

 

筆者:観客の皆様へメッセージをお願いします。

 

小林会長:館林の手筒花火は東日本最大級の規模を誇りますので、ぜひ会場に足を運んでご覧ください。一本一本、揚げ手の真剣な姿を感じていただけますので、最後のハネる瞬間を楽しみにしていてください!

手筒花火と刺し子の重厚感を体験

筒の内部の様子

<筒の内部の様子。一つひとつに職人のこだわりが見えます>

 

インタビュー終了後、館林煙硝会のご厚意で、本番で使用する「手筒花火の筒」と、揚げ手が着用する伝統の「刺し子(装束)」を特別に見せていただく貴重な機会を得ました!

 

<竹筒に縄をきつく巻き上げた伝統の構造>

 

最初にみせていただいたのは、実際に使われる手筒花火です。小林会長にお聞きしたところ、最も大きい「5斤」の筒は火薬だけで4kgもあり、全体では約12kgもの重さになるのだそうです。

 

手筒花火には「斤(きん)」という単位が使われており、以下の3つのサイズが使われています。

 

・1斤:総重量 約2kg(火薬 約800g/空筒 1kg)

・3斤:総重量 約9kg(火薬 約3kg/空筒 6kg)

5斤:総重量 12kg(火薬 4kg/空筒 8kg

 

1斤の手筒花火を手に、構造や魅力を解説してくださった小林会長>

 

筆者も火薬が入っていない空の筒を持たせていただきました。「筒を垂直にして、胸を張るように」と教えていただき、両足を前後に開き、筒を身体に沿わせるように片腕で上側を持ち、もう一方の腕で下側を支える基本の構えに挑戦。火柱を真上に吹き上げるための独特な姿勢です。

 

5斤の構え方を実演する小林会長>

 

<小林会長(左)に教わりながら、構えを体験する筆者(右)>

 

空筒なら難なく持ち上げられますが、約12kgもの火薬が詰まるとその重みは一変します。この重さを抱えて立ち上がり、40秒間も炎の前に立ち続ける揚げ手の凄みが、実感として伝わってきました。

 

さらに見せていただいたのが、激しい火の粉から全身を守る「刺し子(装束)」です。こちらも持たせてもらいましたが、生地の堅牢さはもちろん、内側の作りにまでこだわりが詰まった重みのある半纏でした。

 

<火の粉から身を守る刺し子半纏。内側の作りにもこだわりが詰まっています>

 

重みのある筒と、命を守る重厚な刺し子。これらを間近で拝見したことで、観賞する際にもその重量感や覚悟を感じられるような、真剣勝負の舞台裏を深く実感させられました。

手筒花火の幕開け

夜空を鮮やかに彩る打上花火のスターマイン

あたりがすっかり暗くなり、会場全体が高揚感に包まれる中、いよいよ花火大会がスタート。まずは夜空を鮮やかに彩る打上花火のスターマインで、観客の熱気は一気に高まります。

 

<夜空を彩るオープニングのスターマイン>

 

この華やかなオープニングに続いて、いよいよメインである手筒花火の放揚が始まります。幕開けを飾るのは、最も巨大な「5斤」を使った迫力満点のお披露目で観客の度肝を抜きます。

 

<横に寝かせた状態で点火し、炎が噴き出す>

 

会場の静寂を切り裂くように、まずは筒に火をつける役割の「振込み者(点火者)」が、地に寝かせた状態の筒へ点火。次の瞬間、実際に手筒花火を抱える「揚げ手」が、約12kgもの手筒を徐々に垂直にしていきます!

 

<斜め上へと徐々に手筒を持ち上げていく>

 

<火柱の勢いが増し、ほぼ真上を向く>

 

「シュッー!!」という燃焼音とともに、直前まで目の前にあった筒から巨大な火柱が夜空へと吹き上がりました。それと同時に、会場には「ワッショイ!ワッショイ!」と威勢の良い掛け声が響き渡り、熱気が一気に高まります。

 

<夜空へ向けて完全に垂直に構える圧巻の姿>

 

顔にまで直接届く圧倒的な熱気に、初めて手筒花火を見た筆者も度肝を抜かれます。遠くから見上げる打上花火とはまた違う、目の前で繰り広げられるダイレクトな魅力を肌で実感しました。

 

また、火の粉がバチバチと全身に降り注ぐ中、微動だにせず背筋を伸ばして筒を抱え続ける揚げ手の姿には、インタビューで伺った「男気」という言葉がそのまま重なるような、惚れ惚れする格好よさがありました。

 

<衝撃の「跳ね」の瞬間。下からの衝撃で手筒が横になります>

 

筆者は、その圧倒的な迫力に無我夢中で連写でシャッターを切りましたが、クライマックスである「跳ね」の瞬間はタイミングが合わず。悔しさを残しつつも、続くプログラムで再挑戦をすることにしました。

爆音とともに弾ける「跳ね」

爆音とともに弾ける「跳ね」

お披露目でタイミングを逃した「跳ね(ハネ)」の撮影に、続く演目でいよいよ再挑戦です。この「跳ね」は、1斤で約15〜20秒、3斤や5斤で約27〜30秒ほど火柱を吹き上げた後、消火寸前のタイミングで突然やってきます。

 

「ドカン!!!」

 

<爆音とともに足元へ炎が吹き抜ける「跳ね」の瞬間>

 

お腹の底まで直接響くような爆音。それと同時に筒の底が抜け、揚げ手の足元へ向けて炎が吹き抜けました!その迫力に、筆者を含め初めて見る観客からは思わず驚きの声が上がります。

 

続いて披露されたのは、会場を広く使った「扇形歩行放揚」です。15名の揚げ手が一斉に手筒花火を揚げ、歩を進めながら扇形に広がっていく様子は圧巻の一言。15本の火柱がずらりと並ぶ光景は、1本立ち揚げとはまた違う迫力がありました。

 

15名の揚げ手が扇形に広がっていく歩行放揚>

 

<立ち上る火柱と舞い散る火の粉>

 

<激しい火の粉にも微動だにしない揚げ手の姿>

 

さらにその後の3斤の撮影では、高く伸び上がる火柱を捉えようと、手筒花火全体のショットにも挑戦。最後には再び「跳ね」の瞬間も収めることができましたが、足元から吹き出す炎の迫力に、揚げ手の姿が一瞬火の中に隠れてしまうほどでした。

 

<高く伸び上がる火柱を捉えた手筒花火の全体ショット>

 

<「跳ね」の炎に包まれ、揚げ手の姿が一瞬見えなくなる瞬間>

各方向への一斉放揚と、圧巻のフィナーレ

迫力の1斤片手手筒

<会場の各方向へ向けて放たれる迫力の1斤片手手筒>

 

熱気が冷めやらぬまま迎えた後半戦では、会場の各方向へ向けて放たれる「片手手筒(1斤)」がスタート。南(大会本部側)、西(市役所側)、北(女子高側)へと順番に、それぞれ7本の一斉放揚が行われ、会場のどこからでも間近に迫力を感じられる豪華な演出が繰り広げられます。

 

<「跳ね」の決定的瞬間!観客もスマートフォンを向け撮影しています>

 

<炎の中に浮かび上がる揚げ手のシルエット>

 

<足元で次々と爆発する「跳ね」>

 

<破裂した底の破片が飛んでいるのがわかります>

 

そして、いよいよ迎えた本当のフィナーレ。最後を飾るのは、1斤12本、5斤2本による計14本の一斉放揚です!

 

火がつけられ、14本の手筒から凄まじい火柱が一放ちに吹き上がると、暗闇に包まれていた会場全体が一気に眩い炎で明るく照らし出されました。

 

<合図とともに、振込み者(点火者)が火種を上へと掲げる>

 

<一斉に手筒花火へと火がつけられる導火の瞬間>

 

<筒口から激しい火花が吹き出し、火柱が上がり始めます>

 

<勢いを増した炎が一気に夜空へ向かって噴き上がります>

 

<勢いよく伸びる火柱が会場全体を染め上げていきます>

 

<最高潮を迎えた一斉放揚!限界まで高くなった火柱たちが印象的でした>

 

最後は夜空を締めくくる打上花火が打ち上がり、集まった観客からは「終わってしまうのが惜しい」と感じさせるような、余韻と惜しみない拍手が会場全体を包み込み、大盛況のうちに幕を閉じました。

本物の迫力をぜひ現地で!

手筒花火大会04.jpg

<圧倒的な迫力の手筒花火の様子 写真提供:館林市つつじのまち観光課>

 

最後に、大会を支える「つつじのまち観光課」の金井さんにお話を伺いました。

 

25年以上受け継がれてきた本大会について、金井さんは「本場の勇壮な文化を館林でも味わっていただき、郷土愛を深めるイベントとして根付かせたい。この本場との繋がりを、今後も市の誇りとして継承していきたいです」と熱い思いを語ります。

 

さらに、これから訪れる観光客の皆さんに向けてメッセージもいただきました。

 

「手筒花火には、映像や写真では伝わりきらない音の迫力、火薬の匂い、肌で感じる熱気があります。ぜひ実際に現地へお越しいただき、全身でその大迫力を味わって、特別な夏の思い出を作っていただければ幸いです」

 

館林手筒花火大会は、三河の伝統を受け継ぎつつ、夜空を彩るスターマインと競演する大迫力のエンターテインメント。目の前で噴き上がる火柱と「跳ね」の瞬間は、まさに五感で体感する夏の特別な夜です。歴史ロマンと熱気あふれる会場の雰囲気を、ぜひ一度味わってみてください。来年の開催もお見逃しなく!

 

この取材は2026725日に行いました。

インフォメーション

館林手筒花火大会

 

住所:館林市城町2(館林城ゆめひろば敷地内)

電話:0276-74-5233(館林市つつじのまち観光課)

開催:例年7月下旬

料金:観覧無料

アクセス:東武伊勢崎線「館林駅」から徒歩約15〜20分/東北自動車道「館林IC」から車で約10分

 

HPhttps://www.city.tatebayashi.gunma.jp/s059/kanko/020/20210506113415.html

タマル様

タマル

ぐんまの魅力を発信する「タマルのぐん旅」を運営。温泉巡りとローカルフードの食べ歩きをライフワークとし、県内の秘境から隠れた名店まで、自ら足を運んで取材を重ねています。榛名山や碓氷峠のヒルクライムに挑むサイクリストでもあり、大自然が織りなす一瞬の美しさをファインダーに捉えるのが得意。最近は、季節の花スポットや隠れた絶景の執筆を中心に活動しています。