【群馬の秘湯】下仁田の最奥に佇む「八千代温泉 芹の湯」【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

八千代温泉 芹の湯

更新日: 2026年09月02日

甘楽郡下仁田町の山奥、かつて旅人が行き交った姫街道沿いにひっそりと佇む「八千代温泉 芹の湯(せりのゆ)」。こちらの温泉は、肌にまとわりつくような独特のぬるぬる感が特徴で、湯上りは驚くほどツルツルしっとり。温泉大好きな筆者が、心も体も芯から癒される一日を体験してきました。

下仁田町の秘湯へ!

下仁田町の秘湯

世界遺産「荒船風穴」からもほど近い下仁田の最奥に、目指す秘湯はあります。下仁田ICから車を走らせること約40分。国道254号から県道43号線へと入ると、辺りはだんだんと緑豊かな景色へと変わっていきます。

 

<県道43号線沿いにある看板を目印に、ここを曲がります>

 

曲がった先は、一気に秘境感が増すルート。対向車に気をつけながら、ゆっくりとハンドルを握ります。

 

<豊かな自然に囲まれた細い路地を進んでいきます>

 

「本当にこの先に温泉があるのかな?」と少しドキドキし始めた頃、目の前が一気に開けました!

 

<左手に「芹の湯」の駐車場が見えてきました>

 

実は温泉大好きな筆者が「一度行ってみたい!」とずっと楽しみにしていたのが、この「八千代温泉 芹の湯」です。ここは、周囲を豊かな自然と静寂に囲まれた、まさに秘湯そのものといった日帰り温泉施設。山あいののどかなロケーションの中にぽつんと佇むその姿は、訪れる人をどこかホッとさせる温かな雰囲気に包まれています。

 

<ついに到着!念願の秘湯「芹の湯」>

 

温泉に入る前に出迎えてくれたのは、こちらの看板犬「コロちゃん」。人懐っこい可愛い姿に、道中の運転の緊張も一気にほぐれて癒されました。

 

<愛嬌たっぷりの看板犬「コロちゃん」>

 

また、取材で訪れた際には、野生の鹿がおとなしくこちらを見つめているというサプライズもありました。3月~11月頃まではよく見られるそうで、タイミングが合えば、お出迎えに立ち会えるかもしれません。

 

<運が良ければ出会えるかも?こちらを見つめる野生の鹿>

秘湯の魅力に迫る!館主インタビュー

「芹の湯」の館主の柳澤さん

<「芹の湯」の歴史を語ってくださった館主の柳澤さん>

 

「八千代温泉 芹の湯」の心地よい空気感を作っているのが、今回お話を伺った館主の柳澤さんです。温かく迎えてくれた柳澤さんに、まずはこの隠れ湯の始まりについて伺いました。

 

筆者:「芹の湯」はいつ頃から営業されてますか?

 

柳澤さん:平成7年(1995年)頃から営業しています。実はここ、私の父が始めた温泉なんです。父はもともと富岡市で寿司屋を営んでいたのですが、脳梗塞を患ってお店を閉めることになってしまって。その後、リハビリも兼ねて、大工さんに手伝ってもらいながら自分たちの手で少しずつこの建物を建てていったのが始まりなんですよ。

 

筆者:長年続けてこられた中で、守り続けているこだわりは?

 

柳澤さん:実家に帰ってきたときのような、アットホームでのんびりとした雰囲気ですね。我が家のように過ごせる空気感を大切にしています。

 

筆者:芹の湯の自慢のポイントは?

 

柳澤さん:濃厚な泉質ですね。なかなか珍しい成分のようです。
筆者:こちらは「冷鉱泉」ですが、具体的な源泉の温度や特徴は?

 

柳澤さん:温度は大体、水と同じくらいです。そのため、季節や時期によっても多少温度が変わります。お湯の特徴としては、塩分が含まれているため肌にまとわりつくような独特のぬるぬる感があります。あとは二酸化炭素が豊富に含まれている「炭酸泉」であることも大きな特徴です。

 

筆者:こちらの施設で一番満喫できる過ごし方はありますか?

 

柳澤さん:ここのお湯は「高張性」といって、人間の体液よりも成分が濃いのが特徴なんです。温泉成分が体にどんどん浸透していくので、一気に長湯すると湯あたりを起こしやすいんです。だからこそ、まずは1回「軽め」に浸かる。それからお食事処でゆっくり休憩して、帰り際にもう1回入るのがベストです。2回目のほうが、1回目よりも格段に体が芯から温まりますよ。

独特のヌルヌル感が魅力

独特のヌルヌル感が魅力

筆者はお話を伺った後、いよいよ念願のお風呂へと向かいます。男女のお風呂場の前には貴重品ロッカーが設置されており、入浴前に手荷物や貴重品を預けられるので安心です。

 

<入浴前に手荷物を預けられる、安心の貴重品用ロッカー>

 

「芹の湯」のお風呂は風情あふれる内湯のみ。温かみのある「木の浴室」と、野趣あふれる「石の浴室」の2種類が用意されています。こちらは、男女の浴室が1日ごとに切り替わる「日替わり入れ替え制」となっており、どちらの浴室に出会えるかは訪れてみてのお楽しみです。

 

<心までじんわり癒される「木の浴室」>

 

<秘湯気分を盛り上げる「石の浴室」>

 

筆者はさっそく掛け湯をして湯船に身を沈めた瞬間、思わず「おぉ〜」と声が漏れてしまいました。今までにない独特の肌触りに、一瞬で緊張がほぐれていくような感覚です。


とにかく、お湯の肌触りが素晴らしいのです。肌に触れた瞬間にわかる、まるで美容液のような圧倒的なヌルヌル感。お湯の中で身体をなでると、吸い付くようにツルツルと滑り、温泉成分がじんわりと肌に染み込んでいくのが実感できました。

 

なお、お湯のヌルヌル感が強い(温泉成分が濃い)ため、浴室の床や足元は滑りやすくなっています。移動する際は、温泉の余韻に浸りつつも、足元には十分気を付けて歩いてくださいね。

お風呂の後は絶品グルメを満喫

秘伝のタレとサクサクの衣が絶妙な「ます重」

<秘伝のタレとサクサクの衣が絶妙な「ます重」>

 

温泉を存分に堪能した後は、お腹を満たすお食事タイムです。まずは気になっていた名物「ます重」を注文。こちらは、秘伝のタレとサクサクの衣をまとったマスがご飯の上に美しく並ぶ一品です。川魚のクセもなく、あっさりと箸が進む美味しさです。

 

<熱々のモチモチ麺が楽しめる釜揚げうどん>

 

そして、もう一つの名物が「釜揚げうどん」。なんと客席のテーブルに釜とコンロが用意され、自分で麺を鍋に入れて茹で上げる本格派。

 

<これから鍋に投入する、茹でる前の美しい生麺。ここから15分じっくり湯がいていきます>

 

お湯が沸騰してから15分ほどじっくりと湯がき、いい頃合いを見計らって引き揚げます。茹でたて熱々の麺をツユに絡めて口に運べば、モチモチの食感と出汁の香りが広がり、美味しさもひとしおです。

 

<お湯が沸騰してから15分>

 

<一口ごとに弾力のある食感が広がる、本格的な手打ちうどん>

 

「芹の湯」では他にも、香ばしい自家製ホルモン、とろける源泉豆腐、そして卵でとじない下仁田名物のカツ重などが人気を集めています。

 

柳澤さんによると、近年はインターネットや動画メディアなどで紹介されたことをきっかけに訪れる観光客が増えているそうです。「メディアで取り上げていただいた直後は、名物の釜揚げうどんの注文が一気に増えて大忙しだった」と話してくださいました。

 

最後に、これから初めて「芹の湯」を訪れる方に向けて、アドバイスとメッセージをいただきました。


「ぜひ観光や登山の後にでも、お気軽に芹の湯にお寄りください。ただ、ここへ来るまでの道は少し狭いところもあります。少し怖く感じるかもしれませんが、車のすれ違いはちゃんとできますので、事前に『道が細いんだな』と認識した上で、気をつけて来てもらえれば大丈夫です!」

 

のどかな山道を安全運転で進んだ先にある、素朴な雰囲気が魅力の秘湯。下仁田ドライブの道中に、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか!

あわせて立ち寄りたい!周辺観光スポット

下仁田の旨みが凝縮!おすすめの地元名物

<下仁田の旨みが凝縮!おすすめの地元名物 

写真提供:(一社)下仁田町観光協会様>

 

芹の湯で温泉とグルメを堪能した後は、帰り道に立ち寄れる地元のおすすめスポットへ足を延ばしてみませんか?

 

道の駅しもにた

<お土産選びの定番スポット「道の駅しもにた」>

 

筆者はこちらで、下仁田名物の「刺身こんにゃく」をお土産に購入しましたが、本場ならではの豊かな風味と驚くほどの弾力で大満足でした。

 

<筆者が購入した弾力のある「刺身こんにゃく」>

 

敷地内では地元グルメも豊富です。暑い季節には「神津牧場ミルクバー」の濃厚ソフトがぴったり。一方、寒い季節(11月~1月頃)には旬の「下仁田ネギ」が店頭に並び、加熱するととろける甘さはすき焼きに最高です。

 

<【道の駅しもにた名物】

(左)濃厚なコク!神津牧場のソフトクリーム 

(右)加熱すると甘みが際立つ!11月〜1月限定の『下仁田ネギ』

 写真提供:(一社)下仁田町観光協会様>

 

さらに、特産品が詰まった「下仁田コロッケ」や、ねぎがある時期限定の「下仁田ねぎ唐揚げ」など、サクッと味わえるテイクアウトメニューも充実しています。

 

<【道の駅しもにた軽食】

(左)ねぎの在庫がある時期限定!『下仁田ねぎ唐揚げ』

(右)こんにゃく・しいたけ・ねぎ入りの『下仁田コロッケ』 

写真提供:(一社)下仁田町観光協会様>

 

下仁田こんにゃく観光センター

<芹の湯からのドライブにもぴったり!「下仁田こんにゃく観光センター」>

 

こちらは、芹の湯に近い国道254号沿いにある広々としたスポットで、お土産選びにも最適です。筆者はつるんとした喉越しの「湯葉」を選び、温泉の余韻を感じながら美味しくいただきました。

 

<筆者がお土産に選んだこだわりの「湯葉」。ワサビ醤油で風味を堪能しました>

 

他にも現地で食べるなら、こんにゃくペースト入りのモチッとした食感が面白い「こんにゃくソフトクリーム」が注目です(味も3種類)。そして、サクサクの衣とプルンとした歯ごたえがクセになる「蒟カツ(こんにゃくのカツ)」もここでしか味わえない逸品です。

 

<【こんにゃくグルメ】

(左)モチッとした食感が面白い!3種の『こんにゃくソフト』

(右)サクサク&プルンとしている『蒟カツ』

写真提供:(一社)下仁田町観光協会様>

 

甘楽郡下仁田町の山奥に佇む「八千代温泉 芹の湯」は、独特のぬるぬるしたお湯と温かな雰囲気が魅力の秘湯です。心地よい温泉はもちろん、名物のマス料理や釜揚げうどん、周辺のグルメやお土産選びまで、下仁田の魅力を一日を通してたっぷりと満喫できます。次の休日は、少し足を延ばしてこの静かな秘湯を訪れてみてはいかがでしょうか。

 

本文中の料金・営業時間などの情報は、20266月の取材時点のものです。最新の情報は各施設・店舗の公式サイト等をご確認ください。

インフォメーション

八千代温泉 芹の湯

 

住所:甘楽郡下仁田町西野牧12809-1

電話:0274-84-3812

営業時間:11:00~20:00

※お食事の営業時間:

【平日】11:00~14:00/17:00~20:00

【土日祝】11:00~20:00通し営業

定休日:木曜日・第2金曜日

(※大型連休時は営業する場合もありますので、事前にHPをご確認ください)

料金:大人800円(中学生以上)/子供500円/小学生未満無料)

 

HP:https://www.serinoyu.com/

 

<温泉データ>

<泉質>

含二酸化炭素泉-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(高張性中性冷鉱泉)

<効能>

神経痛、筋肉疲労、やけど、すり傷、冷え性、軽症高血圧、疲労回復、健康増進、慢性皮膚炎、皮膚乾燥症、自律神経不安定症

 

 

道の駅しもにた

 

住所: 甘楽郡下仁田町大字馬山3766-11

電話番号: 0274-82-5858

 

HP: https://michinoeki-shimonita.com/

 

・物産販売館 営業時間:8:30〜18:00

定休日:第2火曜日

※トイレ・駐車場は年中無休でご利用いただけます。

 

・下仁田町観光案内所

営業時間:9:00 〜 16:00

定休日:年末年始のみ

電話番号:0274-67-7500

 

HP:https://www.shimonita.jp/

 

 

下仁田こんにゃく観光センター

 

住所: 甘楽郡下仁田町大字東野牧224-5

電話番号: 0274-82-5411

営業時間: 9:00〜17:00

定休日:水曜日(変更あり)

 

HPhttps://www.shimonita.jp/cuisine/jp/1

タマル様

タマル

ぐんまの魅力を発信する「タマルのぐん旅」を運営。温泉巡りとローカルフードの食べ歩きをライフワークとし、県内の秘境から隠れた名店まで、自ら足を運んで取材を重ねています。榛名山や碓氷峠のヒルクライムに挑むサイクリストでもあり、大自然が織りなす一瞬の美しさをファインダーに捉えるのが得意。最近は、季節の花スポットや隠れた絶景の執筆を中心に活動しています。