私が沼田で食べてもらいたいスイーツ3選 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
天皇陛下も召し上がった「栗ようかん」:荒木屋本店
荒木屋本店は1899年に創業したお菓子屋で、その栗ようかんは1934年に昭和天皇陛下が、2010年には当時の皇太子殿下(現天皇陛下)がお買い上げになっています。さらに、日本最大の菓子業界の展示会である全国菓子大博覧会で、1984年に全菓博会長賞を受賞するなど、多くの賞を受けた実績を持っています。
店内は明るく和の雰囲気が伝統を感じさせ、皇室へのお買い上げなどの際にいただいた品々が所狭しと並んでいます。

<伝統を感じさせる明るい店内>

<天皇陛下がお買い上げになった際の木箱(中央)>
人気の商品は「栗ようかん」(下の画像の左下)で、皇室の方々のお茶請けに利用されたなど多くの実績を持っています。栗ようかんを作るようになったきっかけは、沼田市北西部の佐山地区で栗の栽培が盛んであったこと。今ではリンゴの産地として知られる佐山地区ですが、栗の木が鉄道の枕木のために伐採されてしまったこと、さらに、国内での栗の生産量の低下もあり、現在ではやむなく輸入品を使っているとのことです。しかし、その品質には細心の注意を払い、栗ようかんの品質は高く維持できているそうです。小豆は北海道産を使っています。地産地消の観点から県内産の小豆の使用を試みましたが、ようかんと相性の良い小豆を見つけることが難しく、残念ながら使用を断念したそうです。
栗ようかんの他に、「栗蒸しようかん」もラインナップされています。私は、それらの違いを知らなかったのですが、ようかんは寒天で固めている一方、蒸しようかんは小麦粉をこねたグルテンにより固めているために、蒸し羊羹は弾力があるのだそうです。
さらに、川場村のリンゴを使った創作ようかん(下の画像の左上)や、その他に「栗きんとん」(下の画像の中央)も人気とのこと。以前テレビ番組で取り上げられたことがある「カリカリシュークリーム」は、カリッとしたほんのりと甘い生地にコクがある甘さを抑えたクリームと組み合わされ、とても美味しいです。残念なことに不定期販売なので、店頭にあったらラッキーです(下の画像の右)。

<人気商品の数々>
荒木屋本店は、創業当時からの製法で味を守ってきました。海外などへの販路拡大の誘いもあるそうですが、そのためには相手国に合わせて製造の条件や規模を見直すことも必要になるかもしれません。仮にそうなった時に昔からの味を守り切れるのだろうか?そう自問すると、自ずと答えは、良い意味での現状維持となったそうです。闇雲な拡大よりも堅実な維持を選び、味を守り続けたいという結論でした。

<創業当時の味を守り続けたい>
また、2025年からは、アウトレット店を始めています。手作りであり、ようかんという商品の性質上からもどうしても規格外品が出てしまう。それらを無駄にしない方法として、アウトレット店は、不定期の営業にはなってしまいますが、今後も続けていきたいとのことです。

<荒木屋 スマイルアウトレット店>
(画像提供:荒木屋本店)
吉本ばななが高く評価した「バウムクーヘン」:洋菓子工房 樫の木
4代目店主の鈴木博之さんは「バウムクーヘンで人を喜ばせたい」と考え、日々バウムクーヘンを焼いています。以前は、生ケーキなどの製造をメインとしていましたが、サブで焼いていたバウムクーヘンの評判がよく、現在ではバウムクーヘンが主役の店舗になっています。
最高の素材を使い、昔ながらの製法で最高のバウムクーヘンを作っています。卵は群馬県産の新鮮なものを使うなど可能な限り良い材料を選んでいます。使っているオーブンは同時に2本を焼くタイプです。しっとり、どっしり、そしてフワフワ感を出すために、生地を丁寧に上からかけているので、同時に3本以上を焼くことが出来ないのだそうです。そして、1本作るのに3日間かけて焼いています。1日で仕上げると崩れてしまうのだそうです。何度も何度も丁寧に生地を重ねて、3日間愛情を注いだバウムクーヘンは、手間暇かけた自慢の逸品です。

<丁寧に自慢の逸品を焼き上げる4代目>
(画像提供:洋菓子工房 樫の木)
興味深いことに、バウムクーヘンには焼く人の個性が現れるそうです。親子でも出来が異なります。父が焼くと生地の層が繊細で細く、4代目である息子のものは層が大胆で粗い。そして、それが食感の違いになるのだそうです。親子の違いを食べ比べるのも面白そうです。

<自分で焼いたバウムクーヘンで人を喜ばせたい>
(画像提供:洋菓子工房 樫の木)
樫の木のバウムクーヘンは香り付けのためにラム酒を使っています。使うのは定評があるダークラムです。ラム酒を使っているが故に好き嫌いが分かれてしまいますが、ラム酒を使うことでバウムクーヘンの旨みを引き立てくれるのだそうです。そして、このラム酒が樫の木のバウムクーヘンの強い個性となっています。

<様々なバウムクーヘンが鎮座するショーケース>
「キッチン」などで知られる小説家である吉本ばななさんが不意に樫の木を訪れ、食べたバウムクーヘンを彼女は世界一美味しいと評したそうです。そして、今、「樫の木のバウムクーヘンは世界一美味しいです」という彼女の一筆が、ショーケースでバウムクーヘンの横に置かれています。

<世界一おいしいですby吉本ばなな>
樫の木のバウムクーヘンは5サイズ。また、食べ歩きなどのために1/4にカットされたバウムクーヘンもあります。そして、樫の木のバウムクーヘンはチョコがけが基本です(下の画像の右)。チョコレートにはテンパリングという温度によって管理作業が必要で、毎日、その時の季節や気温によって硬さの違う何種類ものチョコレートを混ぜ合わせて、硬めにしたり緩くしたり地道な調整をしています。同業の方は扱いが難しいのであまりやりたがらないそうですが、生地本来の素材の味を楽しむためにチョコがけをしていないプレーンタイプも用意されています。
季節の味覚を取り入れた限定バームクヘーンもあります。夏には宇治抹茶を使った「抹茶クーヘン」(下の画像の中央上)があります。抹茶をバウムクーヘンに使うというのは、今となっては新しさはありません。しかし、そこは材料にこだわる樫の木です。抹茶は宇治のものを100%使用しています。そして、ショーケースでは、抹茶クーヘンは遮光フィルムに入れられ、異彩を放っています。抹茶は光を受けると、抹茶のグリーン、さらには抹茶独特の旨味が失われてしまうのだそうです。それは、バウムクーヘンになっても同様で、樫の木では美味しさを保つために最大限の注意を払っています。バウムクーヘンの旨みと抹茶の渋みが絶妙なハーモニーを奏でていて、絶品のバウムクーヘンです。また、樫の木のアイデンディティであるラム酒ですが、ラム酒に代わり、隣町の川場村にある「永井酒造」の日本酒「水芭蕉」を使った「水芭蕉クーヘン」(下の画像の左)も、秋冬の寒い時期限定で販売されています。日本酒を使うことで、蒸留酒であるラム酒とは異なるバウムクーヘンの旨味が引き出され、すっきりとした味わいが印象的な逸品です。樫の木のバウムクーヘンの異なる表情を見ることができます。

<季節限定品も多く販売>
現在、4代目店主のご夫婦を中心に少人数でバウムクーヘンをお届けしていますが、最近、公式キャラクターである「樫之木れみ」さんが、樫の木の広報を担当するようになりました。彼女が自身のことを含め樫の木の情報をfacebookで提供しているそうです。

<公式キャラクターである樫之木れみさんもハチロク乗り⁉︎>
(画像提供:洋菓子工房 樫の木)
「焼きまんじゅう」の伝統×進化:ほたかや
「ほたかや」の2代目代表の阿部学さんは「伝統を守りながらも、新しいことに挑戦し、焼きまんじゅうを県外にも知らしめたい」と言います。ほたかやは、1980年に創業した製造・卸の焼きまんじゅう屋で、2022年に現在の場所に小売店兼工場をひらきました。現在、ほたかやは、群馬県だけでなく、埼玉県や東京都などのイベントに参加する機会が多く、年に260日はイベントに出店しているそうです。
食品製造の際には厳密な衛生管理が求められていますが、2022年に建設した工場では、徹底した衛生管理の下で焼きまんじゅうを製造しているそうです。「安全でなければ、それを広めることはできませんから」とのこと。

<安全であることが最重要な製造現場>
ほたかやは、イメージカラーを従来の紺色から黒色に一新しています。工場に併設した店舗でも、黒色をベースに赤色のアクセントを入れたシックな装いとなっています。これは、2代目代表の発案だそうで力強さが感じられ、カッコいいです。

<黒と赤でまとめられた店内>
群馬では小麦と味噌の食文化が盛んであり、焼きまんじゅうはその2つの素材が融合した群馬が誇るソウルフードです。焼きまんじゅうは、発祥とされる沼田から各地に広まったとされていますが、地域性が非常に高く、まんじゅうの硬さ、味噌だれの味などがそれぞれ異なっています。ほたかやの焼きまんじゅうは、まんじゅうの硬さは中程度であり、味噌だれは辛めだそうです。
焼きまんじゅうは「あん無し」が一般的ですが、沼田では「あん入り」もよく食べられています。ほたかやでは、あん無しの場合がまんじゅう4個、あん入りが3個、1串に刺されています。ほたかやのあん入りの焼きまんじゅうは、あんの甘さを味噌だれの辛さが引き立てていて、非常に美味しいです。焼きまんじゅうは、食べる際に味噌だれが口の周りに付いてしまうことがあリます。そこで「カップdeミニ焼きまんじゅう」では、一つひとつを小さくすることで、お子さんや女性でも食べやすいサイズに工夫。気軽に食べられることから、幅広い世代に親しまれています。また焼きまんじゅうの進化系とも呼べる「焼きまんじゅうパフェ」と「焼きまんじゅうクレープ」。焼きまんじゅうパフェは、2014年から販売され、現在では2組に1組は購入される人気商品で、2024年にからは、さらに進化した「焼きまんじゅうパフェ ~きわみ~」も1日10食限定で登場しています。焼きまんじゅうクレープは週末限定ですが、人気が急上昇とのことです。

<人気の焼きまんじゅうパフェとその進化形 〜きわみ 〜>
(画像提供:ほたかや本舗)
スタッフは20~40代を中心とした22名。若い世代の力で、焼きまんじゅうの魅力をさらにアピールしていきたいとのことです。

<若者中心で焼きまんじゅうを推し、魅力を広めていきます>
また、イベントに出店するだけでなく、年に1、2回のペースで自身が開催するイベント「ほたかやマルシェ」は多くの来場者で賑わっています。

<多くの来場者で賑わうほたかやマルシェ>
(画像提供:ほたかや本舗)
現在の来店客の多くは、関越道を利用していると思われるので、交通の利便性を考え、関越道の昭和IC近くの道の駅「あぐりーむ昭和」に2号店の開業を6月に予定しています。初号店と同様に黒を基調として、赤のアクセントを入れたシックな装いです。また、イベントへの出店に対する強化策に余念がありません。6月にキッチンカーを増車し、2台体制となり、今まで以上にほたかやの黒いキッチンカーを目にする機会が多くなりそうです。

<焼きまんじゅうを広めるために ほたかや2号(イメージ)>
(画像提供:ほたかや本舗)
沼田には、素晴らしいお菓子を作り続ける名店があります。どのお店も、自慢の味に誇りを持ち、さらに磨き続けようと努力していました。ぜひ沼田を訪れた際には、これらの店舗に立ち寄り、その逸品を味わってみてください。きっと、沼田の新たな魅力に出会えたような、少し得をした気分になれるはずです。
インフォメーション
荒木屋 本店
住所:群馬県沼田市上之町840
電話:0278-24-4545
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
Instagram:@ararakiya07
洋菓子工房 樫の木
住所:群馬県沼田市中町1122-4
電話:0 278-22-2777
営業時間:10:00~19:00
定休日:元日、不定水曜
HP:https://kashinoki-numata.com
ほたかや本舗
住所:群馬県沼田市上久屋町1212-1
電話:0278-25-3910
営業時間:110:00~18:00(12~2月:11:00〜17:00)
定休日:火曜日
Instagram:@hotakaya_1980
Facebook:https://www.facebook.com/hotakaya
福田 靖