旅行前の健康チェックと、旅先で判断する気を付けたい些細な症状

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更新日: 2026年04月30日

愛犬と一緒に旅行を計画するとき、事前の健康チェックは欠かせない大切なステップです。

慣れない移動や新しい環境、今まで経験したことのない体験は、犬にとって人が考える以上に体力を消耗します。

家に帰りつくまで旅を安心して楽しむためにも、出発前には体調や予防接種、必要な書類、緊急時の備えなど、細かな点まで確認しておきましょう。

1)動物病院での健康診断とワクチン接種の確認 

まず出発前には、かかりつけの動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。

そもそも、獣医師による定期的な診断は、目に見えない小さな体調不良や病気の兆候を早期に発見し、早期治療に役立ちます。

特に高齢犬や持病がある場合は、旅行先での注意点や万が一の対処方法、必要な薬の用意など、いつもより詳しく相談しておきましょう。

また、歯や耳、皮膚の状態なども日常とは違う環境で悪化しやすいので、念入りにチェックしておくと安心です。

 

さらに、犬の健康を守るためには、ワクチン接種や各種予防対策が不可欠です。狂犬病や混合ワクチンの接種状況はもちろん、ノミ・ダニ予防、フィラリア予防薬の投与も忘れずに行いましょう。

特に自然豊かな場所や他の動物と接する機会が多い旅行先では、感染症へのリスクが高まります。

なお、ワクチンを接種してから体の中で抗体がつくられるまで約2週間程度かかると考えられています。そのため、旅行の直前にワクチンを接種しても、抗体がうまく機能しない可能性があるため、旅行予定日から逆算して打つことも必要です。

また、どのようなワクチン接種が求められているのか、事前に自治体や宿泊施設、交通機関などへ問い合わせて確認しておくとよいでしょう。

 

2)ワクチン証明書等の準備

宿泊施設や公共交通機関によっては、ワクチン証明書やワクチンの猶予証明などの提示を求められるケースがあります。獣医師に書類を発行してもらい、原本だけでなくコピーも用意しておきましょう。

万が一の逃走に備えて、マイクロチップの番号などが分かる書類も用意しておくとより安心です。

これらは一つにまとめてクリアファイルなどで持ち歩くようにすると書類の紛失も防げるでしょう。

 

3)日常の健康状態のチェック

旅行前は特に、愛犬の日常の健康状態に注意を払う必要があります。      

テーブルの上に座っている犬

AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

食欲の有無、尿や便の状態、元気の有無、被毛や皮膚のコンディションなど、普段と違う様子がないか観察してください。

万が一、体調が普段と違うと感じた場合は、まずはかかりつけの獣医師に相談することです。出発は遅れてしまうかもしれませんが、安心して旅行を楽しむための時間だと思ってください。

 

4)必要な処方食や薬などの準備

持病がある場合や、日常的に服用している薬、サプリメントがある場合は、旅行期間中に十分な量を持っていくことが重要です。

不測の事態で旅程が伸びる可能性や、紛失、破損に備えて予備も用意し、服用のタイミングや方法を記したメモも作っておくと安心でしょう。

 

決められた処方食を食べている子も同様です。それでなくても旅行というのは環境が変わり、移動などの負荷もあり、体調を崩しやすいと言えます。その時に、いつも食べているごはんが足りなくなったからといって同じものがすぐに手に入るとも言えず、かといって別のごはんを与えてさらに体調を崩すわけにもいきません。荷物は増えてしまいますが、そこを踏まえた上で十分な量を用意しましょう。

 

また、ごはんや薬の保管には湿度や温度にも注意し、必要な場合は保冷バッグなども活用しましょう。

 

5)緊急時の備え

初めて訪れる土地では、万が一の体調不良やケガに備えて、事前に旅行先周辺の動物病院を調べておきましょう。住所・電話番号・診察時間などを控えておけば、緊急時にも落ち着いて対処できます。

また、ペット保険に加入している場合は、保険証や連絡先、利用方法も確認しておくとより安心です。

 

6)見逃したくない些細な症状

旅先では、愛犬が普段とは違う環境に置かれるため、些細な症状も見逃さないことがとても重要になります。多くの場合、小さな違和感や変化が、大きな健康トラブルの前兆となることがあるからです。

ここからは、旅行中に特に気を付けたい細やかな症状について確認してきましょう。

 

    食欲の低下

まず、「食欲の低下」は代表的なサインです。普段はしっかり食べているのに、旅行先で急に食べる量が減る、フードやおやつを残す、口元に持っていっても興味を示さないなどの変化が見られた場合は、ストレスや体調不良、あるいは移動による疲れが原因かもしれません。

このような場合は少し休むと食欲が戻る可能性がありますから、様子を見守りましょう。

他にも考えられる事例として、何かを誤飲・誤食してしまい具合が悪くなっている可能性もあります。

食欲不振が続く場合は、消化器系のトラブルや感染症の可能性を疑いましょう。

 

    排泄物の状態

「尿や便の状態の変化」も見逃せません。普段通りの硬さや色であれば問題ありませんが、軟便や下痢、便がゆるくなる、色が極端に変わる(黒っぽい、赤みがあるなど)、尿の匂い、便の匂いがきつくなる場合は、食事や水の変化、環境ストレス、細菌感染などが考えられます。

さらに、「嘔吐」も同時に見られる場合には、すぐにでも動物病院での診察が必要です。

また、便秘気味になることもあり、これは水分摂取量が減っている場合や、移動によるストレス、運動不足が原因となることがあります。お腹を軽くマッサージしてみたり、水分を取りやすいように液状おやつやスープ仕立てのごはんを用意するなど工夫してみましょう。

 

    元気の有無 

「元気の有無」も重要な観察ポイントです。

いつもは活発に動き回るのに、珍しく静かにしている、散歩を嫌がる、遊びに誘っても反応が鈍い、寝てばかりいるなどの場合、疲れや脱水、体の痛み、発熱などの症状が隠れていることがあります。

逆に、落ち着きがなくなり、吠えたり、ソワソワしたりするのも、環境の変化による不安やストレスが原因の可能性があります。

  

④皮膚や被毛の状態

「皮膚や被毛の状態」も旅先では崩れやすいポイントです。

急な抜け毛やフケの増加、痒みや赤み、湿疹、虫刺されの跡などは、気候や水質、慣れないシャンプー、外部の刺激によるものかもしれません。

痒みが強い場合は、アレルギーや感染症の疑いも念頭に置きましょう。

顔や四肢先が腫れている場合には、虫に刺されたかアレルギーの可能性がありますし、薬を飲んだ後にそうした腫れが現れた場合には、副作用の可能性もあります。

ただちに動物病院へ連絡し、指示を仰いてください。

 

⑤眼の状態

「目やにや涙の増加」、「くしゃみや咳」も軽視できません。

移動中のほこりや花粉、環境の変化によるアレルギー、あるいは感染症が原因でこうした症状が増えることがあります。

目やにが黄色や緑色など普段と違う色の場合は、目の炎症や感染も考えられるので、悪化しないよう注意深く観察しましょう。

 

⑥口腔内の状態

「口臭や歯ぐきの変化」も、見過ごしがちな症状です。急に口臭が強くなったり、歯ぐきが赤く腫れる、出血するなどの場合は、口腔内の炎症や感染、消化器系の不調の可能性があります。

 

⑦呼吸の状態

「呼吸の様子」にも気を配ってください。

普段より呼吸が速い、浅い、苦しそうにしている場合は、暑さによる熱中症や、長時間の移動による疲労、心臓や呼吸器系のトラブルの兆候かもしれません。

 

これらの症状が一時的であれば、旅の疲れや環境変化によるものと考えられますが、長引く場合や、複数の症状が重なる場合は、すぐに近くの動物病院を受診することが大切です。

まず、宿泊施設等についたら近隣の動物病院を調べるとともに、夜間や休日にも対応しているか確認しておくとよいでしょう。こうした情報は宿泊施設等でご案内している可能性もありますから、チェックインの時に聞いてみるといいかもしれません。

そして、いざ何かの症状が現れ、動物病院へ行ったほうがよいのか迷ったときには、まず連絡をしてみることです。どういう症状が、いつ頃から見られているのか、可能な限りの詳細を伝え指示を仰ぎましょう。

 

また、実際に動物病院へ行くことになった際には、ワクチン証明書、既往歴があればその記録、今飲んでいる薬があればその薬、処方食を食べているのであればそのご飯など、可能な限りのものと情報を忘れずに持参しましょう。

なお、下痢や嘔吐で受診する際には、嘔吐物や排泄物も一緒にもっていきましょう。

 

些細な変化も見逃さず、愛犬の様子を丁寧に観察することが、安心して旅を楽しむための最大のポイントです。

 

●著者プロフィール

佐藤 麻衣

・一般社団法人 全日本動物専門教育協会

・家庭犬訓練士 教師

・動物介在福祉士 教師

長年動物の専門学校で教鞭をとり、犬のトレーニングや動物介在福祉活動などに従事。

現在は全国の専門学校や大学、国内初の官民協働PFI刑務所の職業訓練プログラムに於いてトレーニング技術を教え、一般の飼い主に向けても資格取得に向けた講座やペット防災など様々なセミナーで活躍。