愛犬にとって危険な食べ物と植物

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更新日: 2026年04月30日

 犬と暮らしていると、日々の生活の中で「これは食べさせても大丈夫だろうか」「散歩中に触れても平気だろうか」と不安になる場面が少なくありません。

特に、食べ物や植物に関しては、人間にとっては何でもないものが犬にとっては強い毒性を持つことがあり、誤食すると命に関わるケースもあります。

さらに、アウトドアを楽しむ際には、自然の中に潜む危険な植物やキノコにも注意が必要となります。

ここでは、犬にとって危険な食べ物、身近な植物、そしてアウトドアで気をつけたい自然の毒について、確認していきましょう。

 

1)愛犬にとって危険な食べ物 

まず、犬にとって特に危険性が高い食べ物としてよく知られているのが、ネギ類やチョコレートでしょう。

ネギ類は犬にとって危険な食べ物の代表格です。玉ねぎ、長ねぎ、にら、にんにくなどに含まれる成分が赤血球を壊し、溶血性貧血を引き起こすと言われています。

症状は摂取してから数日後に現れることがあり、元気がない、尿が赤くなる、呼吸が荒くなるなどが見られます。

この成分は加熱しても毒性は消えないため、人間の料理に含まれる「少しの玉ねぎ」でも危険です。

 

チョコレートも犬にとっては代表的な危険な食べ物でしょう。

チョコレートの主成分であるカカオに含まれるテオブロミンという成分が、中枢神経や心臓に悪影響を与え、興奮、震え、不整脈、けいれんなどを引き起こすと考えられています。

特にビターチョコレートや製菓用チョコレートはカカオの含有量が高く、それに比例してテオブロミンの成分も多くなるため、少量でも危険性が高くなります。

 

果物などを好む犬は意外と多いですが、ぶどうやレーズンは犬にとって危険な食べ物です。ぶどうはごく少量でも急性腎障害を引き起こす可能性があり、嘔吐、下痢、食欲不振、無気力などの症状が確認されています。

ただ、個体差が大きく、同じ量を食べても症状が出る犬と出ない犬がいるため、「少しなら大丈夫」という考える飼い主もいますが、そのような考えは非常に危険といえます。

 

また、レーズンは乾燥されている分、毒性が濃縮されており、さらに危険性が高いと考えられているため、レーズンを含んだパンやお菓子の保管には注意してほしいと思います。

 

特に気をつけたいのは、キシリトール入りの製品です。

ガムやキャンディだけでなく、パンやヨーグルトに使われていることもあり、思っている以上に身近にあるキシリトール。

実は、犬がキシリトールを摂取すると急激に血糖値が下がり、摂取後30分から1時間でふらつきやけいれん、昏睡などの症状が出ることがあり死亡することがあります。

重症化すると肝障害を引き起こす可能性もあるため、絶対に与えてはいけませんし、誤食などに注意しなくてはいけません。

 

果物に関しては、果肉は安全でも、種や皮に毒性があるものが多くあります。例えばりんごの種や芯にはアミグダリンが含まれ、体内で有害物質に変化する可能性がありますので、注意してください。

柑橘類を好む犬は少数派かもしれませんが、我が家の犬はミカンが大好きでした。しかし、柑橘類の皮や白い筋には精油成分が含まれ、胃腸に負担をかけますし、果肉は消化しにくいのか、便にそのまま出てくることがほとんどでした。そのため、果肉だけをほんの少量あげるにとどまっていました。

 

次に、梨の芯や種、スイカの種や皮も消化不良や中毒の原因になるため、果物を与える際は必ず種や皮を取り除くことが必要です。

 

果物類には犬にとっても有益な栄養素をもつものが少なくないのですが、その分、与えない方がよい部分も多いです。与える際には、果肉を、食べやすい大きさにカットしたのち、ほんの少量から与えることで、お腹の調子を崩さずに楽しむことができるでしょう。

 

 2)愛犬にとって危険な植物

次に、犬にとって危険な植物について見ていきましょう。植物は散歩中や庭、家の中など、犬が触れる機会が多いため、特に注意が必要となります。

まずユリですが、ユリ科の植物は犬にとって非常に危険な植物として知られています。特に猫に対する毒性が有名ですが、犬にとっても安全とは言えず、嘔吐、下痢、痙攣、腎不全などの症状を引き起こす可能性があり、場合によっては命を落とす危険性すらあります。

ユリ科の植物は花弁、茎の他、花粉や花瓶の水にも毒性があるため、室内にユリ科の植物を飾るのは避けたほうがよいでしょう。

 

特に春先、チューリップとともに写真に写る犬たちの画像がSNSで溢れますが、チューリップもユリ科の植物。

においを嗅いだ際に鼻先に花粉が付着したり、あまりに近くに寄ったことで体に花粉が付着、自分でグルーミングをして舐めとることで体内に摂取してしまうことが考えられますから、チューリップとの距離感には気をつけたいところです。

 

見た目は可憐なスズランも、強い毒性を持つ植物です。

心臓に作用する成分が含まれており、スズランを活けていた水にもこの成分は溶け出すため、花そのものだけではなく、活けていた水を摂取しても、不整脈や心不全を引き起こす可能性があります。

 

次に、スイセンですが、球根の毒性が強く誤食すると嘔吐、下痢、腹痛、震えなどの症状が現れます。このスイセンは、その葉っぱの形状がニラに酷似しているためか、毎年のように人でも誤食による食中毒の報告がされている植物です。

 

屋外でとくに気をつけたいのがキョウチクトウという街路樹です。キョウチクトウは非常に毒性が強く、葉や茎、花など全体に毒が含まれています。摂取すると皮膚炎、不整脈、痙攣などの重篤な症状を引き起こす可能性があり、最悪の場合死に至ります。

実際に、バーベキューの串に使って中毒死した事件や、牛が誤食して死亡した事例もあり、剪定枝を燃やした煙にも毒性があるため、公園などで見かけても触らない、口に入れない、調理に使わないよう厳重な注意が必要です。

キョウチクトウは、大気汚染や車の排気ガス等に強く、一部の公園や緑地など様々な場所で植栽されており、思う以上に身近にある植物で、笹のような形の葉をもち、初夏にピンクをはじめ、赤や白などの花を咲かせます。

インターネット等で姿かたちを確認し、いつものお散歩コースにないかどうかチェックしてみてもいいかもしれません。

 

他にも、モンステラやポトスなどは口にすると口内炎や嘔吐を引き起こすと考えられていますし、アジサイやツツジ、シャクナゲなども毒性があり、嘔吐や神経症状を引き起こすことがあるため注意しましょう。

 

3)アウトドアで注意したい毒性をもつ植物やキノコなど

自然の中には、見た目が美しいものや、犬が興味を持ちやすいものが多く、誤食のリスクが高いといえます。

まず、トリカブトは山地や林道沿いに多く見られる猛毒植物で、根・茎・葉・花すべてが危険なことはご存じでしょう。摂取すると嘔吐、下痢、しびれ、心臓への影響が出ます。

 

ハシリドコロも山林に自生し、興奮、幻覚、けいれんなどの症状を引き起こします。若葉が山菜に似ているため、犬が誤って口にする可能性があります。

 

ドクウツギは日本三大有毒植物のひとつで、実がベリーのように見えるため犬が興味を持ちやすいといえます。摂取すると嘔吐、けいれん、呼吸障害など重篤な症状がでます。

 

ヨウシュヤマゴボウは河川敷や空き地に多く、根・葉・実すべてに毒があり、アセビも公園や庭木としてよく植えられていますが、葉に毒があり、摂取するとよだれ、嘔吐、ふらつきが現れます。

 

キノコに関しては、野生のものはすべて危険と考えましょう。

日本に生息するキノコ全体(約4,0006,000種)のうち、食用とされるのはわずか2%程度(約100種類)で、大部分(約200種)は毒キノコとして知られていますが、そもそも食毒不明のものが圧倒的に多いといわれています。

犬たちは地面のにおいを嗅ぎながら、思わずパクっといってもおかしくないですから、キノコが生えていたらまずは近寄らせないのが一番です。

 

キノコで特に気をつけたいのは、ドクツルタケやタマゴテングタケで、これらは「死の天使」と呼ばれるほどの猛毒で、少量でも肝不全を引き起こし死亡します。

ベニテングタケは赤い傘に白い斑点が特徴で、神経症状を引き起こします。

ニガクリタケは切り株や倒木に群生し、嘔吐、下痢、肝障害を引き起こします。

とくにキノコ類は、倒木周辺などに生えることが多いため、そうした場所や落ち葉が多い場所は避けるように気をつけましょう。 

 

4)もし愛犬が危険な食べ物や植物を食べてしまったら

もし犬が危険な食べ物や植物、キノコを誤って口にしてしまった場合、無理に吐かせようとして口に手をつっこむのは、逆に飲み込ませてしまったり手を噛まれてしまったりと危険なことがあるため避けた方がよいです。

とにかくすぐに動物病院に連絡することが大切です。摂取したものや量、摂取した時間、もし症状が現れているのであればその症状をできるだけ正確に伝えることで、迅速な対応につながります。そして、可能であれば摂取したものの残り、嘔吐物などをもって動物病院へ行くことも大事です。

 

大切な家族である犬が安心して暮らし、そして一緒に自然を楽しめるよう、危険な食べ物や植物について理解を深め、日々の生活に活かしていきましょう。

 

●著者プロフィール

佐藤 麻衣

・一般社団法人 全日本動物専門教育協会

・家庭犬訓練士 教師

・動物介在福祉士 教師

長年動物の専門学校で教鞭をとり、犬のトレーニングや動物介在福祉活動などに従事。

現在は全国の専門学校や大学、国内初の官民協働PFI刑務所の職業訓練プログラムに於いてトレーニング技術を教え、一般の飼い主に向けても資格取得に向けた講座やペット防災など様々なセミナーで活躍。