奈良俣ダムの放流イベントに行ってみた【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

奈良俣ダム

更新日: 2025年06月13日

奈良俣ダムはみなかみ町藤原にある利根川水系の大型ロックフィル式ダムです。今回は、その奈良俣ダムの点検放流イベント「春の点検大放流」と同日の夜に催された「奈良俣ダムナイトツアー」に参加してきました。

ダム堤内の連絡トンネル&エレベーターや発電所を見学

連絡トンネル

<ダム建設時には仮放水路として使われた連絡トンネル>

 

国内4位の1310万㎥もの堤体積をもつ奈良俣ダムの堤内部には、普段立ち入ることができないエレベーターや連絡トンネルなどがあり、本イベントでは一般に特別公開されます。

エレベーターは、高低差130mを90秒で行き来しています。その先には全長446.7mの連絡トンネルがあり、そこを歩いていると、映画「ダイ・ハード3」のダムのトンネルのシーンが思い出され、「ダムってすごいな・・・」と感心させられました。また、ダムに隣接して、GNエネパワー奈良俣発電所があり、ここでは巨大な発電機により最大12,800kw、家庭4,000軒分にあたる電気が生み出されています。

 

<無骨なエレベーターで130mを下がりました>

 

<階段やトンネルはコンクリートが剥き出しで要塞みたい>

お目当ての「クレストゲート」からの放流

クレストゲート

<堤頂からみた「クレストゲート」からの放流>

 

本イベントでは、13時と15時に「クレストゲート」を開き、最大で毎秒10tもの水を放流します。今年は多雪によりダムが満水となっているために、「クレストゲート」の左右にある「洪水吐き」から自然越流が発生していて、このイベントでは例年以上に迫力がある放流を見ることができました。奈良俣ダムは「ダムの女王」とも呼ばれ、その放流は優美に尽きます。

 

<「洪水吐き」から自然越流されている>

 

<「ダムの女王」ならではの美しい放流>

 

<好天なら絶景になるはずでした 写真提供:みなかみ町観光協会>

全長1500m 716段の遊歩道を登る健脚ウォーク

遊歩道

<ダムの右側にある遊歩道を登ります>

 

奈良俣ダムの堤体にある遊歩道を堤頂まで登りながらスタンプを集めれば完登者記念品を手にできます。奈良俣ダムは堤頂高が158mで国内4番目に高く、堤頂長が520mあります。ダムにあるエレベーターを使えば堤頂まで簡単に辿り着けますが、時間と体力が許すなら、ぜひ遊歩道を登り、堤頂を歩いてみてください。ダムの大きさを実感できると思います。

今回は雨天で肌寒く、カッパを着て登り始めたのですが、登るにつれ暑くなり、3合目で脱いでしまいました。遊歩道や堤頂には日陰がないので、天候によっては水分補給など暑さ対策をした方が良いと思います。

 

<堤頂から見下ろすと達成感と共にダムの大きさを実感できます>

 

<健脚ウォークの記念マグネット(右下)やイベントでもらったダムカードなど>

ダムカレーでも放流させてみました

ダムカレー

<福神漬けで放水路が表現されています>

 

奈良俣サービスセンターでは、ロックフィル式の奈良俣ダムを模した「ダムカレー」を食べられます。最近では、揚げ物やサラダなどにより趣向を凝らしたダムカレーが多くなっていますが、ここ奈良俣ダムのダムカレーは福神漬けで放水路を模したシンプルなものなので、ロックフィル式ダムの造形がわかりすく表現されていて面白いと思います。味は誰でも食べやすい中辛ですので、ぜひ食べてみてください。

なお、奈良俣ダムのダムカレーは、重力式の藤原ダムとアーチ式の八木沢ダムのダムカレーと合わせて「みなかみダムカレー」の一つとなっています。

 

<放流させてみました>

奈良俣ダムナイトツアーではダムの別の面が見られます

奈良俣ダムナイトツアー

<ライトアップされたダムは神秘的な趣き>

 

「春の点検大放流」と同日の夜に催された「奈良俣ダムナイトツアー」は、夜間の奈良俣ダムと星空を楽しむツアーです。ダム堤内の見学では奈良俣ダムの所長さんから連絡トンネルなどのお話を裏話などと合わせて伺いました。その後堤頂で、星のガイドさんから、うしかい座のアークトゥルス、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラからなる春の大三角のお話をお聞きするなど、楽しい時間を過ごせました。

夜間のダムを楽しめる、このツアー、ぜひ、ご参加ください。奈良俣ダムは標高900mなので、夜間になると肌寒く、寒さ対策もお考えください。

 

<「洪水吐き」からの放流も昼間とは違った美しさ>

藤原ダムと八木沢ダムでもスプラッシュ!

八木沢ダムの放流

<八木沢ダムの放流 写真提供:みなかみ町観光協会>

 

同じみなかみ町にある藤原ダムと八木沢ダムでも、同じ週末に同様の放流イベントが開催されています。八木沢ダムは利根川最上流にあるアーチ式コンクリートダムで、藤原ダムは利根川水系上流ダムで最も古い、重力式コンクリートダムです。ロックフィル式ダムである奈良俣ダムを含めて、この3つのダムは様式が異なるので、これらのダムの比較も面白そうです。特に、八木沢ダムの放流では水しぶきがかかり、雨具が必須とのことなので来年は私もカッパ持参で見に行こうと思います。

 

<藤原ダムの放流 写真提供:みなかみ町観光協会>

 

このイベントでは、ダム内部の連絡トンネルなどは肌寒い一方、好天であれば、屋外は日陰が少なく暑さ対策も必須 となるので、着脱しやすい服装がおすすめです。また、ダムが巨大なので移動に時間がかかります。イベント当日には多くの催しが開かれるので、移動時間を考慮して計画的に行動する方が良いと感じました。

 

インフォメーション

奈良俣ダム

住所:群馬県利根郡みなかみ町藤原字奈良俣

HP:https://www.water.go.jp/kanto/numata/04_naramata/naramata.html

 

利根川上流総合管理所

住所:群馬県沼田市上原町1682
電話:0278-24-5711

 

ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)

福田 靖

沼田市にある観光ぶどう園「福田ぶどうマルシェ」で働いています。都内にいた頃、小河内ダムと有馬ダムに時々ドライブに行っていました。ダムで写真を撮る時には、いつも写真機を落としそうになり、ビクビクしています。今回もビクビクしてしまいました。