縄文の風を感じる|大英博物館にも出展した茅野遺跡と「榛東村耳飾り館」 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】 | 特集一覧 | 心にググっと観光ぐんま

縄文の風を感じる|大英博物館にも出展した茅野遺跡と「榛東村耳飾り館」 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

榛東村耳飾り館

更新日: 2025年02月19日

ピアスやイヤーカフなど、耳につけるアクセサリーって、現代的でかっこいいイメージがありませんか?実は耳飾りの歴史は意外にも古く、日本では縄文時代にまで遡るんです。

そんな耳飾りを専門にした資料館「榛東村耳飾り資料館」を、北群馬郡榛東村で発見しました。なんでも世界初の耳飾り専門資料館とのことで、ぐん記者としては気になるところです!

開館のきっかけとなった茅野(かやの)遺跡 にも足を運び、数千年前の群馬に暮らした縄文人たちの生活をのぞき見てきました。

 

大英博物館にも出展した国指定遺跡「茅野遺跡」

茅野遺跡

<茅野遺跡は2000年に国指定史跡に photo by Masaaki Muraoka>

 

先に訪れたのは、国指定史跡「茅野遺跡」です。現在は緑豊かな公園のような景色が広がっていますが、1989年〜1990年に大規模な発掘作業が行われ、今から約3,500年前の縄文時代後期・晩期の土器や石器、祭祀に関する道具に関する道具が出土しました。

最大の特徴は、国の指定文化財となった1950点の出土品のうち、577点が土製耳飾りだったこと。そして、出土したものの一部は2000年にイギリスの大英博物館に展示されて国際的にも評価されました。

ほかにも茅野遺跡では水辺の作業場や住居跡などが発見されており、湧水が豊かな榛名山のふもとに大規模な集落があったことが分かっています。

遺跡は保存を目的として発掘後に埋め戻されていますが、数千年前のこの土地で多くの縄文人が生活を営んでいたと考えると、感慨深いものがあります。 

 

<土製耳飾り以外にも、文様のある岩版なども見つかりました photo by Masaaki Muraoka>

世界初の耳飾り専門資料館「榛東村耳飾り館」

榛東村耳飾り館(館内)

<耳飾りの歴史を、現代から遡る形で学べます photo by Masaaki Muraoka>

 

茅野遺跡の発見によって開館となったのが、この「榛東村耳飾り館」です。耳飾り専門の資料館としては世界初で、茅野遺跡で出土した耳飾りが展示されているのはもちろん、世界中の耳飾りやその歴史について学べる場所になっています。

ここでの展示の目玉は、やはり茅野遺跡から出土した土製耳飾りです。同じ遺跡から発見されたとは思えないほど形や大きさにバリエーションがあることに驚かされました。

 

<茅野遺跡から出土した土製耳飾り 写真提供:榛東村耳飾り館>

 

<577点もの土製耳飾りがが茅野遺跡から出土しました 写真提供:榛東村耳飾り館>

 

これまでの研究によると、土製耳飾りには広く一般に共通した文様と、特定の地域で考案された文様があるそう。縄文人にも地元愛や仲間意識のようなものがあったのでしょうか。

 

<榛東村では古墳時代の耳飾りも発見されています(長久保古墳群出土金環) photo by Masaaki Muraoka>

 

展示室内にはほかにも、当時の縄文人の暮らしが理解できる展示や、本物の土器の破片を自分の手で触れながら学べるコーナーもあります。

(※こちらコーナーにある土器の破片は、茅野遺跡から出土したものではありません)

 

<縄文時代に関する展示も充実しています photo by Masaaki Muraoka>

 

<自分の手で触って学べます photo by Masaaki Muraoka>

体験学習「まがたまづくり」に挑戦!

榛東村耳飾り館(体験学習)

<世界で一つだけの「まがたま」です photo by Masaaki Muraoka>

 

榛東村耳飾り館では、縄文時代やその当時の暮らしをより理解する取り組みとして、各種体験学習も行われています。出土品の岩版を模した「石のお守りペンダントづくり(200円)」や木のビーズを使った「ウッドビースのネックレスづくり(300円)」などもありましたが、今回私は石を削って作る「まがたまづくり(300円)」を選びました。

 

<まがたまづくり(体験料300円) photo by Masaaki Muraoka>

 

この体験では、すでに大まかな形に削られている石を、3種類のヤスリを使って滑らかに仕上げていきます。最初に使うのは、木製の柄がついた金属製のヤスリです。まずはまがたまになる石の角を落とすため、ゴリゴリ勢いよく削っていきます。

 

<角を落とし、丸みのある形に近づけていきます photo by Masaaki Muraoka>

 

角が取れてまがたまが丸みを帯びてきたら、次は紙ヤスリの出番です。

学芸員の櫻井さんによれば、この紙やすりの工程でどれだけ表面を滑らかに仕上げられるかが、完成度を左右するとのこと。そうと聞いたら、気合いを入れて削るしかありません。

前段階の作業ですでに腕がだるくなっていましたが、頑張って削ります!

 

<学芸員の櫻井さんの指導のもと、丁寧にヤスリをかけていきます photo by Masaaki Muraoka>

 

そして最後の工程では、水ヤスリを使って表面をツルツルに磨いていきます。私は水ヤスリを使うのは初めてだったのですが、少し擦るだけで石の表面がヌルヌルとしてきて、削るというよりは表面を溶かしていくような不思議な感覚でした。

 

<水ヤスリを優しく滑らせるだけでツルツルになります photo by Masaaki Muraoka>

 

まがたまの表面がなめらかになったら、最後に好きな色の紐を通したら完成!お好みでウッドビーズ(1個20円)も追加しても。紐とウッドビーズの組み合わせ方ひとつで、自分好みの仕上がりにできますよ。

 

<つるんとしたまがたまに仕上がりました photo by Masaaki Muraoka>

 

まがたまづくり体験は30分程度から楽しめますが、私はじっくり1時間取り組みました。あまりに集中してしまって、来館者の中には2時間ほど頑張る方もいるそうなので、体験を希望する際は時間に余裕を持って来館されることをおすすめします!

気分は縄文人!衣装体験も楽しんで

榛東村耳飾り館(衣装体験)

<衣服から装飾品まで揃う、本格的な衣装体験です photo by Masaaki Muraoka>

 

体験学習以外にも、耳飾り館では縄文衣装体験にもチャレンジできます。カラムシという植物の繊維で作った編布(あんぎん)をまとい、貝で作った腕輪をつければ気分はもう縄文人です。

 

<エントランスにあるモチーフの前で記念撮影 photo by Masaaki Muraoka>

 

もちろん、耳飾り館のモチーフになっている土製耳飾りも忘れずに。繊細な細工が華やかですね。

ほかにも動物の骨や角、岩石などで作られたペンダントや櫛(くし)・ヘアピンなどもあるので、ぜひ好きなものを身につけて楽しんでみてください。

 

榛東村耳飾り館は、地域の歴史に触れる貴重な体験ができる場所でした。世界の耳飾りの歴史や縄文人の生活を学ぶ展示はもちろん、衣装体験やまがたまづくりなど、参加型の展示も魅力的です。

開館のきっかけとなった茅野遺跡と併せて、群馬の豊かな文化遺産を再発見してみてください!

 

インフォメーション

茅野遺跡

住所:群馬県北群馬郡榛東村大字長岡字神薬師1200-1

 

榛東村 耳飾り館

住所:群馬県北群馬郡榛東村大字山子田1912
電話:0279-54-1133
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日:月曜日(国民の祝日にあたるときはその翌日)
料金:一般 200円、中学生以下 無料 
※20名以上の団体は150円、障がい者手帳をお持ちの方は100円 ※体験学習は別途料金

 

ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)

望月優衣

渋川市出身・高崎市在住のフリーライター。群馬県内の取材・インタビューを中心に、文章を仕事に楽しく生活しています。趣味は街歩きや美術館めぐり、ノープランの旅行です。