利根沼田で酒蔵めぐり 酒造りのロマンと情熱に触れる旅

永井酒造(川場村)

更新日: 2024年04月12日

今回、群馬県の銘酒を求めて旅する「利根沼田地域」は県北部にあり、雄大な山並みに、緑豊かな自然と田園が織りなす風景が魅力的なエリアです。武尊山(ほたかやま)の山麓は、山から流れてくる清冽な水を使用した日本酒造りが盛んなことで知られ、現在ではビール醸造も行われています。また、赤城山麓にはブドウ栽培からワインの醸造まで手掛けるワイナリーもあり、地酒めぐりにおすすめのエリアでもあります。酒蔵を訪ねて作り手の熱い思いに触れ、美酒を味わう旅をお楽しみください。

 

群馬県内の旅行には車が必須と思われるかもしれませんが、今回の酒蔵めぐりには、JRの駅から発着する路線バスやオンデマンドバスが利用できます。各スポットのアクセス情報で最寄りのバス停もご案内していますので、ぜひ参考にしてみてください。

武尊山の伏流水からつくる村自慢の麦酒「川場ビール」

川場ビール

まずは、旅の起点となる川場村へ向かいます。武尊山の麓に位置する川場村はリンゴやブドウなどの果樹やブランド米の「雪ほたか」を生産する、農業を主体とした村です。近年は、「道の駅 川場田園プラザ」が旅行情報誌「じゃらん」が実施した全国道の駅ランキングで1位を獲得したこともあり、全国から人々が訪れる人気ぶりです。ここに、クラフトビールの醸造所「川場ビール」があるんです。

 

 

武尊山から麓へと流れてくる水は口当たりがよく、甘味とミネラルを含み、ビールの醸造に最適です。厳選された原材料と水だけで丁寧に作られるビールは、日本人好みの飲み飽きない味に仕上げられた4種類。道の駅でも人気No.1の「ヴァイツェン」は、まろやかでコクもありながらフルーティーさも感じられるのが特徴です。「雪ほたかピルスナー」は、副原料に川場村のブランド米を使用しており、すっきりとした口当たりが楽しめます。「IPA」は香り、苦味、うま味のバランスが取れたビールです。「アンバーエール」はホップの苦味に、香ばしい麦芽の香りと甘味が調和しています。

 

 

瓶ビールは「道の駅 川場田園プラザ」内にあるファーマーズマーケットをはじめ村内各所で購入可能ですが、できたての生ビールが飲めるのは、醸造所が併設された「地ビールレストラン武尊」だけ。

 

 

「地ビールレストラン武尊」では、柔らかくジューシーな「和豚もちぶた」の豚カツやステーキ、川場村の湧き水で育てられたニジマス「武尊サーモン」の刺身やフライなど、地元の名物を多彩なメニューで味わうことができます。和豚もちぶたと武尊サーモンのどちらも味わえる贅沢な「川場四季御膳」(1,790円)から、武尊サーモンカルパッチョ(870円)など単品のおつまみメニューまで揃っています。生ビールは中グラス580円~。川場村の美味とともに、ぜひ至極の一杯を味わってみてください!

世界を見据えて進化を続ける「永井酒造」

永井酒造(川場村)

「道の駅 川場田園プラザ」から1.5kmほど離れた田園地帯に位置するのは、創業1886年の「永井酒造」。武尊山の麓、川場の水に惚れ込み酒造りをはじめた初代から代々、伝統的な酒造りを営む一方、現在の6代目は世界初の瓶内二次発酵で5気圧を超える本格的なスパークリング日本酒を開発。さらに尾瀬の自然環境保護や女性のエンパワーメント支援などにも力を注ぐ、進化し続ける酒造会社です。

 

 

それでは、「永井酒造」で注目したいお酒をいくつかピックアップしてご紹介しましょう。「MIZUBASHO PURE」は世界初の瓶内二次発酵で5気圧を超える本格的なスパークリング日本酒で、お祝いの席での乾杯酒におすすめ。ANA国際線のファーストクラスで提供される機内酒にも採用されたそうなので、どんな味わいなのか、興味が湧きますね。

 

 

川場村のブランド米、雪ほたかを100%使用した「GI雪ほたかシリーズ」は、スパークリング、食中酒、デザートの3タイプで商品を展開。川場村を訪れて村の自然や田園風景を体感してから飲んでほしいという思いが込められており、永井酒蔵の敷地内にある直売店「古新館」のみで販売されています。さらに、氷温下で熟成させることでエレガントな味わいに仕上げた超プレミアムなヴィンテージ日本酒「水芭蕉ヴィンテージシリーズ」もあるので、これ!という逸品を探している日本酒好きな方は要チェックです。

 

 

旧酒蔵を改装した直売店「古新館」には、試飲サーバーが設置されています。「水芭蕉」や「谷川岳」といった代表銘柄を含むおすすめの6銘柄が常時揃い、1杯300円から楽しむことができます。おみやげに何を購入していいか迷ったら、珍味付きの6種類飲み比べ(2,000円)でお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。日本酒好きのみならず、わくわくするようなお酒に出逢える永井酒造にぜひ足を運んでみてください。

古くから変わらぬ酒造りを守る「土田酒造」

土田酒造(川場村)

川場村のほぼ中央を走る奥利根湯けむり街道沿いにあり、川場温泉の手前に位置するのが「土田酒造」です。こちらでは、江戸時代から続く、菌や微生物を活用した生酛造りを現在も行っています。米、米麹、水、菌のみの材料で添加物はもちろん不使用、群馬県産の食用米をできるだけ削らずに使用するなど、徹底したこだわりで日本酒を醸しています。

 

 

酒蔵内部の廊下は常時開放されているため、タイミングが合えば酒造りの現場を窓越しに見られます。また、予約制にはなりますが、スタッフの案内で館内に設置された3か所のモニター映像から、酒蔵のこだわりや酒造りの流れを知ることができます。

 

 

酒造場を訪ねた後は、趣ある蔵を再利用した直売店へ。「土」の 象形文字をモチーフにしたラベルデザインが目をひく「シン・ツチダ」は完全無添加醸造で、蔵に住み着いた酵母や乳酸菌を活用してつくる、現在の「土田酒造」の真骨頂ともいえるお酒。多彩なラインナップが並ぶので、目移りしてしまったら、その時のおすすめ日本酒数種類をテイスティングしてみましょう。「土田酒造」のお酒とペアリングしたいセレクトつまみや、麹を使用したスキンケア商品なども揃っているので、隅々までチェックしてくださいね。

 

 

レセプションの一角では、無添加醸造の日本酒ソフトクリームと珍しい黒粕ソフトクリーム(各430円)を提供しています。爽やかなジェラートのようなくちどけでさっぱりといただけます。

 

 

また、こちらの建物の前には日本酒の仕込み水を試飲できる水場があるので、ぜひお立ち寄りください。伝統的な日本酒を醸しながら、食品やスキンケアなども展開している蔵は、お酒好きでなくても楽しめる魅力的なスポットといえるでしょう。

山麓のぶどう畑に夢広がる「奥利根ワイナリー」

奥利根ワイナリー(昭和村)

片品川の河岸段丘を挟むように川場村の南に位置し、赤城山の北西斜面に広がる昭和村。広大な大地一面に野菜畑が広がる壮大な景色を楽しみながら斜面を上がり、ワイナリーを目指します。

 

「奥利根ワイナリー」は2001年からブドウ栽培をはじめ、畑のなかにある工場でワインの醸造まで行っています。群馬県では珍しいワイナリーですが、高原の冷涼な空気と寒暖差、赤城山麓の扇状地に広がる火山灰土壌がブドウ栽培に最適なのだそうです。

 

 

ワイナリー見学は有料(2,000円)で実施しており、ブドウ畑からワイン蔵の見学を経て、テイスティングルームで好みのワインを時期により異なりますが6~10種類程度、試飲することができます(「I’m」シリーズは別途有料)。取材に伺った時はちょうど瓶詰作業中とのことで限られたラインナップでしたが、例年は4月以降には各種出揃い、赤城高原のテロワールが感じられる「I’m」シリーズも並ぶそうです。

 

 

「奥利根ワイナリー」の敷地内にはレストランも併設されているので、ワインと一緒にランチを楽しむことができます。一番人気は、昭和村産生乳を使用したグラタンと群馬産ほうれん草とトマトのパスタがセットになったワイナリーランチ1,200円。ワインはグラス400円~なので、料理とのペアリングも気軽に試せますね。

 

 

もうここまで来たらブドウ畑を眺めながら昼間からワインを飲んでだらだらしたいよな…と思ったあなた!実はこちら、泊まれるワイナリーなのでテント持参でお越しください!ブドウ畑の中のキャンプサイトにお泊りできる「Camp in the vineyards」では、お帰りを気にせず心ゆくまでワインを楽しめますよ。限定5サイトなので、予約専用サイト〈https://www.nap-camp.com〉にて事前予約をしてからお出かけください。

インフォメーション

地ビールレストラン武尊

〒378-0111 群馬県利根郡川場村萩室385(道の駅 川場田園プラザ内)
TEL:0278-52-3715
アクセス
車の場合:関越自動車道沼田ICより約10分
公共交通機関をご利用の場合:JR上越線沼田駅より川場循環バスで約30分、「田園プラザ」バス停下車後徒歩約1分
定休日:水曜日、木曜日(ただし月により変動があるため、公式HPにて要確認)
営業時間:9:00~18:00
https://denenplaza.co.jp/

 

永井酒造「古新館」

〒378-0115 群馬県利根郡川場村門前713
TEL:0278-52-2314
アクセス
車の場合:関越自動車道沼田ICより約10分
公共交通機関をご利用の場合:JR上越線沼田駅より関越バス川場循環で約40分「門前下」バス停下車後徒歩約1分
定休日:火曜日
営業時間:9:00~17:00
https://nagai-sake.co.jp/

 

土田酒造

〒378-0102 群馬県利根郡川場村川場湯原2691
TEL:0278-52-3670
アクセス
車の場合:関越自動車道沼田ICより約10分
公共交通機関をご利用の場合:JR上越線沼田駅より関越バス川場循環で約40分、「下宿」バス停下車後徒歩約2分
定休日:木曜日、年末年始
営業時間:10:00~16:00(最終入館15:30)
https://tsuchidasake.jp/

 

奥利根ワイナリー

〒379-1203 群馬県利根郡昭和村糸井 大日向6843
TEL: 0278-50-3070
アクセス
車の場合:関越自動車道沼田ICより約13分
公共交通機関をご利用の場合:JR上越線沼田駅よりタクシーで約25分
定休日:木曜日、年末年始
営業時間:〈shop〉9:00~17:00
〈レストラン〉11:30~15:00(ラストオーダー14:30)
※ディナーは完全予約制(17:00~20:00)
https://oze.co.jp/