交通費は往復1万円以下 お手頃で楽ちんな バスと列車でめぐる 伊香保・四万への温泉旅 ―四万編―

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更新日: 2024年06月03日

●ランチ&四万湖カヌー体験

四万温泉へと入る前に、ここ数年、大人気になっている四万湖でカヌー体験!

        四万湖のほとりにあるステキな東屋で!

 

今回は乗り換え時間が限られるので、おにぎりを買ってテイクアウト。湖畔の東屋でいただきます。おにぎりを手に12時02分発のバスに乗り14分で四万湖バス停に到着。ピクニックでもしているような気分です。

  四万湖バス停付近に、カヌー体験のできるショップが点在

 

ランチのあとは初カヌー! 今回、取材にご協力いただいた「ぐりーんぴーす」代表の高栁さんによると、四万湖は風が穏やかでカヌーにとても向いているのだそうです。老若男女、足が不自由でも、1名でも、ワンコ連れでもOKで、雨具などを含めて用具はレンタルできます。

 

説明を受けたあとは、いよいよ湖へ!季節や天候、雨や風の具合により湖の色は変わってきますが、風を感じ水に浮かぶ感覚、ほんと気持ちが良くてやみつきになりそうです。

   高栁さんによると、「春はブルー、夏はグリーン、朝は薄い青、冬は透明になることが多い」そうです。いろんな季節に体験してみたい! 取材協力/ぐりーんぴーす 

 

四万温泉周辺での体験はこちらをチェック!

https://nakanojo-kanko.jp/shima/experience/

 

●宿へ、そして夜のお散歩

感動のカヌー体験が終わったら、四万湖バス停から15時24分あるいは16時39分のバスに乗り、25分で終点の四万温泉へ。四万の温泉街は渓流に沿って細長く広がっているので、泊まるお宿のバス停がどこになるのかチェックしておいてくださいね。

 

今日のお宿は料理が自慢。お酒の種類も多く、器や盛り付けも美しく、1品ずつ丁寧に料理を運んでくれます。驚いたのが、ほかの宿に素泊まりしている人でも、夕食だけ1名から対応していること。 

 

四万温泉では温泉街全体で泊食分離をすすめており、夕食だけを受け入れてくれる宿や、夜遅くまで夕食が食べられるお店も少しずつ増えています。素泊まり宿利用の人やチェックインが遅くなる人にはありがたいですよね。    夕食は外来利用の場合、個室食事処で。お酒の種類も豊富。取材協力/時わすれの宿 佳元

 

夕食後は温泉街の散策へ。懐かしムードの落合通りの先には四万を代表する積善館の景観。何度見ても「すごいなぁ」と感動してしまいます。本館は、現存する温泉宿としては日本最古の木造建築です。

 やはりあの映画を思い出す!記念撮影ポイント

 

3日目 

自転車で四万の奥へ。名残の入浴ののち帰途へ

 

四万は昔ながらの街並みが残る温泉地。クルマだと動きづらい細い道もあるので、自転車を借りて散策するのがおすすめです。坂も多いのですが電動自転車ならばスイスイと移動ができます。何より自然の中でカラダを動かすのは本当にいい気持ち。おいしいものを食べて温泉に浸かるだけなら今や都会でもできますが、自然と共にある気持ちの良さは都会では感じられません。山と清流とが織りなす四万の自然は、ココロの栄養にもなりますよ。

 

●電動自転車を借りて四万散策 

「時わすれの宿 佳元」では、宿泊者は無料、外来でも有料で電動自転車を借りられます。四万温泉協会でも有料の四万チャリが利用できます。荷物は宿あるいは四万温泉協会(有料)であずかってもらえます。

 

自転車を借りたら、「日向見薬師堂」へおまいりし、さらに坂をのぼって奥四万湖へ。このルートだと、今回のお宿からは片道2.4㎞(標高差約100m)、四万温泉協会からは片道3.5㎞(同約135m)。帰りはずっと下りなのでスピードには気を付けてくださいね。

 日向見薬師堂へ

 

「日向見薬師堂」の周辺は清い空気に包まれています。今から1000年以上前、山神様のお告げで温泉が湧き出したと伝わる四万発祥の地です。薬師堂は群馬県最古の建物で、450年前に真田氏が寄進しました。老舗宿「四万たむら」のご先祖様が四万にやって来たのがその25年前の室町後期。長い長い歴史が受け継がれていると考えると、なんだか神妙な気持ちになってきます。

 

ここから急坂をのぼり奥四万湖へ。「本当の四万ブルーはここにある」という人もいるダム湖です。四万湖の明るい雰囲気とは違って、山に囲まれた神秘の湖という感じ。湖畔の資料館奥には、知る人ぞ知る癒やしのカフェ「ラトリエ・ブルー」があります。時間がゆっくりと流れているこちらのカフェ、ドリンクもフードも注文を受けてから作るので、時間はかかりますが、丁寧であたたかい味わいです。さらに温泉好きにも刺さるポイントが・・。  群馬県産の豚肉から作るベーコンと地元平飼い卵を使ったカルボナーラ。器もブルー

 

それがテラスにあるかけ流しの足湯。源泉は「湯の泉の湯」。この名にピンときた人は相当な温泉通。かつて奥四万湖の奥に、温泉フリークたちに知られた「湯の泉の湯」の源泉野湯がありました。この貴重な源泉に足だけでも浸かれるのです。温泉との出合いは一期一湯。青い湖の眺めとともにきっと忘れられない思い出になるはず。

 貴重な源泉が注がれている足湯。ブルーのハーブティー(バタフライピー使用)をいただきながら 取材協力/湖畔カフェ ラトリエ・ブルー 

 

ところで四万の全41ヵ所の源泉のうち38ヵ所が自然湧出です。これは驚くべき割合。日本の温泉のうち自然湧出泉は1割未満とのデータもあり、四万の温泉がどれほど貴重なのか、四万の人たちが長い歴史の中でいかに自然を守り、温泉と寄り添ってきたのかが分かります。

 

この貴重な自然を守っていこうという活動も始まっています。自転車を返したあとは四万温泉協会から徒歩3分の場所にあるテラスカフェへ。こちらはスタッフさんのユニフォームをはじめ、店内のテーブル&食器などリサイクル品を利用。プラスチック製品も極力使っていません。年に数回、ジョギング+ゴミ拾いをするイベント「プロギング」も開催。「温泉地に若者が来ない」との嘆き節をよく耳にしますが、ここには元気な若い人たちの笑顔があふれていました。 

 群馬県産の小麦粉や牛乳を使い3日間、低温長時間発酵したパン。やふんわり軽いシフォンケーキ 取材協力/シマテラス

 

ピザやパン、ドリンクなどテイクアウトもできるので、帰りのバスで食べるおやつや翌日のパンを買ってからバス停へと向かいます。

 

東京への高速バスは13時45分発。時間があれば「積善館」の元禄の湯へ。昭和5年に建造された現役の文化財湯殿です。男女別に小さな浴槽が5つずつ。アーチ型の窓から光が差し込み、塩化物・硫酸塩泉ならではの艶やかに輝く美しいお湯が、音もなく蕩々とかけ流さています。生涯一度は入っておきたい日本の名湯です。

 昼間は、光の具合といい混み具合といいおすすめの時間帯 取材協力/積善館 元禄の湯

 

元禄の湯からバス停までは徒歩2分。名残惜しいけれども旅は終わり。肌に残る温泉の香りをお土産に、高速バスに乗車。温泉効果もあってか、バスの中では熟睡でした。

 

2泊3日で東京からの往復交通費は、路線バスやJR料金も含めて8540円(高速バスのきっぷの買い方などにより多少異なります)。これからも温泉への旅を、楽しんでくださいね。 バスを待つ時間も良いものです

 

関越交通バス

四万温泉号(四万温泉―東京)

https://kan-etsu.net/publics/index/18/

伊香保・四万温泉号羽田線(四万温泉―東京・羽田)

https://kan-etsu.net/publics/index/137/

高崎・伊香保・四万温泉号(四万温泉―高崎・八王子)

https://kan-etsu.net/publics/index/164/

 

●四万みやげ

余裕があればバス停のお隣にある和菓子店へ。四万名物のおいらんふろうで知られています。花豆の大きさにびっくり!

 北軽井沢の契約農家から取り寄せている花豆。このサイズの花豆は年々貴重になっているのだそうです。取材協力/髙田屋菓子舗 

 

四万温泉協会℡0279-64-2321  

https://nakanojo-kanko.jp/shima/

*料金や営業時間などは取材執筆時(2024年3月)のものとなります

 

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温泉ライター 西村理恵

長年、テレビや雑誌、ラジオ、ネットなどで温泉を紹介してきました。大のねこ好きで温泉ねこ活動にも参加。(公財)中央温泉研究所理事、日本温泉地域学会常任理事。著書に「ねこ温泉」