【体験レポ】”首都圏から一番近い北海道”嬬恋村でスノーシューを楽しもう! 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
冬の自然を楽しむなら、スノーシューがおすすめ!
「振り返るたびに雪の煙が上がっていた」と、スノーボードに挑戦したときに同行者に言われるほど、転びすぎて心が折れたことがある筆者。それ以来、主に雪山で楽しんでいるのがスノーシューだ。スノーボードやスキーと違い、テクニックの練習はそれほどいらないし、足元は足首まであるスノーシューズで大丈夫。さらに、坂を登る負担も断然軽いスノーシューは、冬の自然を楽しむのにピッタリだ。
また、最大の魅力は、雪の上を歩くことができるということ。靴では埋まってしまう雪の上も、スノーシューなら浮力のおかげでスムーズに歩くことができる。また、雪のない時期は茂った笹に阻まれて入っていけない場所も、冬のスノーシューなら積もった雪の上を歩くことができる。そして、雪が積もった後に誰の足跡もついていない雪の上を歩くのは、ちょっとした開拓者になったような気分で、とても楽しい。
新雪の中を歩くのがスノーシューの醍醐味!
今回は万座エリアでのスノーシュー体験をレポート!
長野県と群馬県の県境に位置し、平均標高1,000mの嬬恋村。海からの水分の多い風が周囲を囲む2,000m級の山々によって阻まれて乾燥するため、上質なパウダースノーが楽しめるエリアになっている。ちなみに、北海道にスキー旅行に行った時に「そんないい雪のところからなぜ北海道へ?」と言われたことがある地元民もいたりする。やっぱり、”関東の北海道”といっても過言ではないのだ!
ということで、北海道並みのパウダースノーを誇る嬬恋村で、今回はおすすめのスノーシュースポットの一つ、嬬恋村の北部にある万座の母樹林でのスノーシューを体験した。当日(2024年2月22日)はあいにく前日から天気が悪く、朝にかけて標高800mぐらいの嬬恋村の中心部は雨だった。どうなることかと思いながら車で万座に向かっていくと、なんとか雪へと変わった。さすが約1,800mの標高!よかった〜と胸をなで下ろす。万座は嬬恋村の中でもいち早く雪が積もり、人気のスノーエリアなのだ。
入り口の看板
ぼじゅりんってなに?貴重な天然カラマツの群生地!
ぼじゅりんってなに?貴重な天然カラマツの群生地!
樹の母の林、と書いて母樹林。ガイドさんによると、500本以上の天然カラマツが群生するここは、日本各地や海外に植林されたカラマツの種の採取場所となった林で、まさに母なる貴重なカラマツ林なのだ。ここのカラマツは年輪が詰まって密度が高く、幹がまっすぐ伸びているカラマツが多いため、母樹林に選ばれたそう。また、明治時代に建設された東京の大きなビルの基礎材としても利用されたほど、嬬恋のカラマツは質がよかったそうだ。確かに立派なカラマツが多く、周囲が3m以上ある巨木をたくさんみることができた。
母樹林の中はなんだかヨーロッパの絵本に出てきそうな雰囲気
立派なカラマツ!両手を広げてやっと半分に届くほどの太さ
コースの途中で積雪を計測してもらうと70cm。例年よりも特に少ないとのこと
氷河期の生き残り?カラマツの巨木とのめぐりあいに感激!
母樹林の中のカラマツは、幹がまっすぐ立っているものと、幹も枝もうねうねと曲がっているものがある。生えているエリアが分かれているのではなく、両方が混ざり合って森を作っている。一見すると別の種類のようにも見えるが…ガイドさんによると、種類は同じものの、調べてみると現在のカラマツとはDNAが違うため、氷河期のころのカラマツの特徴を受け継いでいるのではないかと言われているらしい。そのため、木の立ち姿が違うんだそうだ。
ということは、シーラカンスやアンモナイトのように、”生きている化石”のようなことだろうか。この場所に氷河期からカラマツがあって、森の中で静かに世代交代繰り返して成長してきた大きなカラマツを今自分が見ているということを考えると不思議な気分になる。このようなめぐりあいができることも、自然の楽しみだとしみじみと感じる。
また、この日は天気が悪いとはいえ、静かに雪の降る中で自然を味わいながら歩くと、小さな氷をまとった植物の姿も美しく、何度も目を奪われた。誰も踏んでない雪の上を歩いて進むのも、やっぱり楽しい。
直線的なカラマツ(左)と、曲線的なカラマツ(右)。同じ種類なのに不思議だ
トウヒにできた虫瘤にも氷が光っていた
途中で少し強まった雪。見上げると幻想的な風景に
新雪の上を歩くとやっぱり楽しい!
母樹林のもう一つのみどころ、ダケカンバの林へ!!
母樹林には、もう一つの見どころがある。出発から1キロぐらいのところを歩いていくと、ダケカンバの林が見えてきた。毛先のように見える枝の先が紅く見え、奥の黒いカラマツとのコントラストが美しい。枝の先が紅く見えるのは、冬芽を紫外線から守るための色だそうだ。ということは、春の準備が進んでいるということ。寒い中でもやっぱり春はだんだんと近づいているようだ。
そしてまっすぐ立ったダケカンバの林を分け行っていくと、立派な枝を張って太い幹のダケカンバが!なんだか親玉みたいだな…と思っていると、ガイドさんがその秘密を教えてくれた。何らかの理由で同じようなタイミングで周囲に蒔かれた奥の立派なダケカンバの種が、一斉に芽吹いて成長したと考えられるそう。ということは、やっぱり立派なダケカンバが親玉で、周りは子分(というか自分の子ども)だったのか…!
ここでおやつを食べて、今回のコースはここで折り返し。出発から3時間ぐらいで今回の体験は終了した。
群生するダケカンバ。枝先が紅く見える
林の中へ入っていく
立派なダケカンバ!貫禄を感じる
雪の中でおやつを食べるのも楽しい
他にもあるぞ魅力的なスポット!鹿沢エリアとバラギエリア!
今回体験した万座・母樹林エリア以外にも、嬬恋村にはおすすめのスノーシュースポットがある。一つ目はコメツガの原生林があり、山頂では浅間山はもちろん、日光白根、草津白根、妙高山、火打山、さらに運が良ければ富士山までも見渡すことができる角間山のある鹿沢エリア(嬬恋村の南西部)。もう一つは、ゴンドラに乗って四阿山を望み、そのまま野地平に下ると広々とした雪原を楽しむことができる浦倉山のあるバラギエリア(嬬恋村の西部)がおすすめ。
鹿沢エリア・角間山山頂で雲海と四阿山を望む
バラギエリア・野地平の雪原を歩く
まとめ
1月から2月上旬ごろまでの厳冬期の嬬恋村は、日が出ても気温が−10℃以下のこともしばしば。暖かい格好を準備して、パウダースノーを楽しみに出かけよう。今回紹介したエリアにはそれぞれ近くに温泉もあるので、スノーシューで冷えた体を温泉で温めるのもおすすめ。嬬恋村で冬を満喫しよう!
インフォーメーション
今回体験した「万座・母樹林」への入林は有毒ガス発生の危険などがあるため、講習を受けたガイドの同行が必須です。
ガイドのお申し込み・お問い合わせに関しては、万座エリア・鹿沢エリアは浅間山ジオパーク推進協議会または嬬恋村観光協会まで、バラギエリアは嬬恋村観光協会にご連絡ください。
今回ご紹介したエリアでスノーシューをする場合は必ず登山届を提出してください。
浅間山ジオパーク推進協議会
住所:群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原494−45
電話:0279-82-5566
料金:ガイド料12,000円〜(ガイド一人につき5名まで)
オフィシャルサイト:https://mtasama.com
嬬恋村観光協会
住所:群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原710-136
電話:0279-97-3721
オフィシャルサイト:https://www.tsumagoi-kankou.jp
ぐんみゃ