群馬のソウルフード「味噌パン」の秘密を探る【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
味噌パンの発祥と言われるパン屋 − フリアンパン洋菓子店 −
(画像提供:フリアンパン洋菓子店)
「フリアンパン洋菓子店」は、1949年に沼田で創業した煎餅屋を祖とするパン屋です。
当時を知る人がいないので、詳しいことはわからないでそうですが、戦後、甘いものが手に入らなかった時代に、初代店主が焼きまんじゅうの味噌だれをパンに塗り、県内各地に広めたのが始まりのようです。特製ソフトフランスを使った味噌パンは、パンの豊かな食感と味噌だれの甘塩っぱい風味が合わさり、沼田の名物となっています。

<焼き立てパンが並ぶ店内>
(画像提供:フリアンパン洋菓子店)
パンに使っている粉は、昭和の時代から変わらないオリジナルの配合で、保存料を使わず、添加剤も最低限に抑えているそうです。

<整理された清潔な工場>
(画像提供:フリアンパン洋菓子店)
パンの製造は熟練した職人による手作業でおこなっているので、素材の味を最大限に引き出せる反面、手間がかかるため、大量に生産できないそうです。

<熟練の手により素材の味を活かす>
(画像提供:フリアンパン洋菓子店)
現在は5種類の味噌パンが製造・販売されています。特製のソフトフランスを使った「みそパン」、「みそバターパン」、卵を生地に塗って、焼き上げたバネットを使用する「みそバネット」と「みそバターバネット」、そして、学校給食で提供されていた昔ながらの「胡麻みそコッペ」です。一番人気はすっきりした味わいのみそパンで、コクがあるみそバターパンが2位だそうです。私は、みそバターパンをいただきましたが、味噌だれをよりマイルドに味わうことが出来てとても美味しかったです。
また、保存料が使われていないので、焼いた翌日には固くなってしまいますが、電子レンジで2分間ほど温めると、焼きたてのふっくら感が楽しめるそうです。冷凍保存であれば約1週間保存可能とのこと。

<フリアンパンの味噌パンたち>
フリアンパン洋菓子店の味噌パンなどは、現在は工場併設の店舗のほか、県内外のスーパーなどでも購入できますが、完売してしまうこともあるそうなので、味噌パンが地元に根ざす群馬のソウルフードであることが納得できます。

<我々が焼いています>
美味しいパンを守りたい − グンイチパン −
「グンイチパン」は、群馬で一番のパン屋を目指して、1954年に創業されました。伊勢崎市を中心に「パーネデリシア」として現在8店舗を展開しています。「黒チーズカレーパン」が、2021年のカレーパングランプリにおいて、チーズカレーパン部門で最高金賞を受賞するなど積極的に新商品を開発し、味噌パンを含めて130種類以上のパンを販売しています。本店では、時間帯により店頭に並べるパンを変更するなど、お客のニーズにあわせたパン達が、お客がトレイに取るのを待っています。明るい店内には、30席のイートインコーナーもあり、焼き立てのパンを楽しむことができます。

<明るい店内に並ぶ焼きたてのパン>
(画像提供:グンイチパン)

<焼き立てを楽しめるイートインコーナー>
(画像提供:グンイチパン)
「美味しいパンを作りたい。」
その想いから、自社で小麦粉などの材料を配合し、職人が手作業で成形・焼き上げを行っています。材料の種類や配合、焼き方に至るまで工夫を重ね、美味しさを追求しています。例えば、群馬県は水稲の裏作として小麦の栽培が盛んなので、地産地消の観点からすれば群馬県産の小麦を使いたくなります。しかし、県内産の小麦が必ずしもパンに最適とは限りません。そのような考えから、美味しいパンの製造を最優先に材料選びをしているそうです。またパンの焼き上げについても、最高の美味しさを求め、生地の状態に応じて温度や時間を細く調整しているとのことです。
そして、美味しいパンを作るにあたり、材料や製造工程の品質管理も手抜かりはありません。手作りパンというと、職人の勘と経験が全てのように思うかもしれませんが、ここでは、職人技の前に、材料の保管状態などの把握や、作業者や工場の衛生状態などの徹底した管理があります。これらの管理なくして、美味しいパンを守ることはできないそうです。

<美味しいパン作りを実践する製造スタッフ>
(画像提供:グンイチパン)
グンイチパンでは、美味しいパンを届けるためにも努力を惜しみません。店舗は明るく、並んでいるパンを見ると、思わずトレイに取りたくなります。また、店舗で販売にあたるスタッフは、お客が気持ちよくパンを手に取ってもらえるように、またパンを買いに来たいと思ってもらえるように心がけ、接客しているそうです。

<笑顔の絶えない接客スタッフ>
(画像提供:グンイチパン)
そんなグンイチパンが作る味噌パン「元祖まゆっこ」は、群馬県民が好きな甘塩っぱい味噌だれを塗ったフワフワな白いコッペパンです。元祖まゆっこは1990年頃から販売され、2011年の日本全国ご当地パン祭りで準グランプリに輝いています。
そして、現在、味噌風味のパンは、元祖まゆっこの他に、焼きまんじゅうを模したパンに味噌だれを塗って焼いた「焼きぱんじゅう」や、やはり味噌だれを塗ったとんかつをサンドした「上州みそかつサンド」も人気だそうです。話を聞いているだけで食べたくなりますが、私が訪れた時には残念ながら完売となっていました。
現在、グンイチパンでは、味噌風味のパンを広く知ってもらうイベント「上州 甘じょっぱい界隈」を計画しているそうです。

<パーネデリシアの味噌風味のパンたち>
(画像提供:グンイチパン)
大手パンメーカーが作る味噌パン – 第一屋製パン −
(画像提供:第一屋製パン)
「第一パン」のブランドで知られる「第一屋製パン」は、群馬県の高崎市に工場があり、そこで30年以上前から味噌パン「上州みそパン」を作っているそうです。

<上州みそパンを作る高崎工場>
(画像提供:第一屋製パン)
第一屋製パンのような大手パンメーカーが、なぜ群馬県のソウルフードである味噌パンを作っているのか、聞いてみました。第一屋製パンが作る味噌パン「上州みそパン」は、同じく群馬県のソウルフードとして知られる「焼きまんじゅう」からヒントを得て、高崎工場の独自商品として、開発されたとのことです。このパンに使われる生地は発売当初と変わらない、甘みを抑えたフランスパンに近いもので、サンドされる秘伝の味噌だれは自社製で、風味を高めるためにゴマを入れているそうです。

<発売から変わらないパンに秘伝の味噌だれを塗る>
(画像提供:第一屋製パン)
1994年の販売から、パッケージは2回変更されているそうです。2015年に群馬県の宣伝部長(マスコット)である「ぐんまちゃん」が採用され、2025年には群馬の名産である「だるま」に目を入れるぐんまちゃんのポーズへ変更されています。

<パッケージの今昔>
上州みそパンは大手パンメーカーである第一屋製パンにとって唯一のご当地パンであり、言わば、第一屋製パンの遊び心なのだと思います。群馬県から始まり、現在では関東地方、さらには、新潟・長野・山梨の各県と静岡県の一部で販売しているそうなので、見かけたら、ぜひ食べてみてください。
群馬県の味噌パンは味噌だれをサンドしたパンです。そして、パン屋によって、コッペパンやソフトフランスを使うなどそれぞれ個性があり、さらに、胡麻を使ったり、パンの形状を工夫するなど、独自の解釈により、進化・発展しています。
どうぞ、群馬で、味噌パンを食べ較べるなど、味噌パンの秘密を味わってみてください。
インフォメーション
株式会社フリアンパン洋菓子店(郊外店)
住所:群馬県沼田市高橋場町2081
電話:0278-30-1172
営業時間:9:00~17:00
定休日:水曜
グンイチパン株式会社(パーネデリシア本店)
住所:群馬県伊勢崎市除ヶ町10
電話:0270-32-1352
営業時間:8:00~19:00
定休日:なし
Instagram:@pane_delicia
facebook:https://www.facebook.com/gunichipan.panedelicia
第一屋製パン株式会社
福田 靖