『西上州竹皮編でんえもん』伝統工芸品の竹皮編み体験と継承者の想い【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

西上州竹皮編でんえもん

更新日: 2026年06月09日

伝統工芸品として知る人ぞ知る竹皮編み。実はこの工芸品、高級雪駄である南部表(なんぶおもて)の材料から始まったことをご存じですか?ドイツ人建築家であるブルーノ・タウトが生み出し、時代を超えて受け継がれてきた技と美しさは、今もなお人の心を惹きつけています。リニューアルしたぐんまフラワーパークプラス内にある竹皮編みトンネルは圧倒的な存在感。

 

今回は『でんえもんときわ』を訪れ、竹皮編みの魅力と、継承者・前島美江さんの想い、そして実際のワークショップ体験を取材してきました。

西上州の伝統工芸「竹皮編み」とは。ブルーノ・タウトの存在

西上州の伝統工芸「竹皮編み」とは

<ブルーノ・タウトが制作した作品を復元したものや、前島さんが作ったものが展示されている>

 

竹の皮を細くさき、針を使って巻きながら編んでいくのが竹皮編みです。西上州に伝わる竹皮編みは、実はドイツ人で世界的な建築家であるブルーノ・タウトとゆかりのある工芸品です。日本に滞在していたタウトは1934年8月、群馬県高崎市に足を運びました。日本の竹文化に興味を持っていたタウト。当時竹皮を使い作る南部表(なんぶおもて)という高級な雪駄がありました。着物文化から洋装文化へ変化していたこの頃、竹皮の素材の美しさに魅了されたタウトは、南部表の職人とともに考えて共同開発して作ったのが竹皮編みです。

 

その影響もあり、竹皮編みはどこか欧風の洗練された雰囲気が感じられます。建築家ということもあり発想がおしゃれです。タウトが作り出す竹皮編みは、洋風な暮らしに合うデザインで注目を浴びました。

 

戦争や高度経済成長の影響で一度は途絶えてしまった竹皮編み。前島美江さんが最後の職人のもとへ行き技術を学び、現在も伝統工芸品として愛されているのです。

 

 

竹皮編みは昔から福岡県八女市でしか手に入らない希少なカシロダケを使って編みます。セルローズという成分がマダケより多いため編みやすく、カシロダケの皮で編むときれいな仕上がりになります。

『でんえもんときわ』とはどんな場所?

でんえもんときわ

前島さんは、高崎にある『でんえもんときわ』という工房兼アトリエで竹皮編みを伝える教室を開催しています。

 

味わい深い古民家の中に入ると、県内外からの生徒さん達で賑わっていました。

 

 

コースター、小物入れ、ワインのカゴや編み物カゴ、パンカゴ、メロンカゴなどが飾られていてどれも素敵なデザイン。斬新な海外の雰囲気を感じるデザインです。タウトが制作した作品を復元したものや、新たに前島さんが作ったものが展示されていて生徒さんの制作意欲が掻き立てられます。

 

この日は、長年ご好意で竹皮を寄付してくださっている方がたくさんの竹皮を持って訪問する姿をみることができラッキーな日でした。こちらはマダケだそうです。

 

 

『でんえもんときわ』の印象は、老若男女どなたでも、竹皮編みを前島さんに習いたいという熱い思いを持った方達で賑わう学びの場であり、わいわい楽しい憩いの場という印象を持ちました。

ぐんまフラワーパークプラス内のレストランの竹皮編みトンネルは圧巻

ぐんまフラワーパークプラスの竹皮編みに携わった制作メンバー

<ぐんまフラワーパークプラスの竹皮編みに携わった制作メンバー。左側がつや子さん、右側が麻紀さん。これを72枚繋げて出来た竹皮編みトンネルは圧巻。>

 

リニューアルされたぐんまフラワーパークプラスの中にあるレストラン、巨大な竹皮編みのトンネルオブジェがお出迎えしてくれます。私が取材で訪問した日、光栄なことに、その竹皮編みトンネルを制作したメンバーが来ていて、貴重な制作秘話をたくさん聞くことができました。

 

<ぐんまフラワーパークプラス内のレストランにある竹皮編みトンネル>

 

 

地元の方11人と県外の方7人に声を掛け計18人で制作しました。群馬県産の竹にこだわって制作した竹皮編みトンネルはなんと2年もの期間をかけて完成させた超大傑作。なかなか思うようにいかずデザイナーと話し合って、途中からとめ方を変えるなど試行錯誤を繰り返しながら完成させたそうです。偶然にできた奇跡の発明に近かったと話してくれた前島さん。みんなで大喜びをしたそうです。

 

竹皮編みワークショップの魅力

家族で花かごを作る様子

<家族で花かごを作る様子>

 

私が訪れたこの日は、前島さんのことをネットで知り竹皮編みを教わりたいと県内外から生徒さんが集まっていました。

 

初心者向けの簡単なプログラムを用意してくれています。幼稚園児でも誰でも楽しめるワークショップで、一番初心者向けは「花かご」で所要時間は1時間くらいです。

 

 

竹の皮は硬いので、水につけて柔らかくしてから編み始めます。皆さん前島さんの話に耳を傾け楽しそうに手を動かしているのが印象的でした。

 

 

ご家族で参加している方もいましたよ。春休み中の息子さんは器用にすいすいと花かごを作っていました。「どうだった?」と感想を聞くと「楽しかった!」と答えてくれました。自分に合ったペースで作りたいものを教えてもらいながら作ることができます。

 

 

花かごの次は丸いコースターがおすすめです。難易度が高くなるので根気強さが必要です。「毎回同じ大きさや形にするのはかなり難しい。でも先生が作ると毎回同じものが出来る。」と仲間の直子さんが話してくれました。年月が経つと色も落ち着き50年くらい長くにわたって使えるそうです。飽きのこないデザインで、自分で作ることで更に愛着が湧くことでしょう。

 

『でんえもんときわ』は、笑いがたくさん生まれすごく心地が良い場所でした。

継承者・前島美江さんに聞く竹皮編みへの想い

継承者・前島美江さん

前島さんと竹皮編みの出会いは、雑誌『上州路』で、ブルーノ・タウトと竹皮編みを特集していて興味を持ったことです。そのとき未経験だった前島さんは33歳でゼロからのスタート。タウトの遊び心があるデザインとアイデアが面白いと、竹皮編みの魅力とタウトの物語にのめり込んでいきました。

 

<群馬県ふるさと伝統工芸士 前島美江さん>

 

竹林整備の環境の爽やかさ、竹とのふれあいの楽しさ、竹皮の手触りの豊かさ気持ちよさ、それらが続けていく活力となっていると語ってくれた前島さん。タウトが群馬の人に愛情深く、たくさんの想いを残し、貢献してくれた過去があって今がある。前島さんは現在、多くの人に向けた公民館での指導に加え、竹皮職人の話をまとめた本を執筆中です。

 

「材料確保が難しくなってきた昨今、みんなが楽しみながらやってくれたらいいな。手仕事は心の癒しです。」とにっこり素敵な笑顔が印象に残りました。

 

<毎日新聞に竹皮編みトンネルのことが取り上げられました>

 

高崎OPA1階にある「高崎じまん」でコースターやカゴなど、季節ごとに商品を変えて販売しているので、購入可能です。ご興味がある方はぜひ足を運び手にとってみてください。

インフォメーション

西上州竹皮編でんえもん「でんえもんときわ」

 

住所:群馬県高崎市常磐町3

開催日:木曜日(不定期)

電話:080-1358-4800(要予約)

時間:10:00~16:00

料金:2,500円+材料費(500円)別途作るものによって変動

駐車場: 3台あり

きなこ様

きなこ

群馬県生まれ群馬県育ちの根っからのグンマー。最近は季節のものを観たり食べたりすることを大切にしています。趣味は、寺社巡り・カフェ巡り・キャンプなどアクティブで楽しいことが大好きです。