隈研吾氏からモダニズムの巨匠まで〜高崎駅から行く建築巡り〜【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

高崎駅から行く建築巡り

更新日: 2026年05月22日

「音楽」「だるま」など、高崎を表す言葉はいくつかありますが、実はこのまち、知る人ぞ知る"建築の聖地"でもあります。

 

今回は、JR高崎駅を起点に気軽に巡れる6つのスポットをご紹介します。建築ファンはもちろん、まち歩きが好きな方もぜひ訪れてみてください。

木漏れ日のような光が差し込む「森の光教会」

森の光教会

Photo by Masaaki Muraoka

 

高崎駅東口から徒歩3分の場所に、空へ向かって鋭角にそびえる木のチャペルがあります。世界的に活躍する建築家・隈研吾氏が都市の中に森を作りたいという想いを込めてデザインした「森の光教会」です。

 

Photo by Masaaki Muraoka

 

建物全体を覆いつくす杉材のルーバー(細長い羽板を並べた建材)の隙間からは、眩しいほどの光が差し込みます。光と影が共存する空間は、大きな木が影をつくり、木漏れ日が差し込む本物の森のようです。天井高14メートルの空間に立つと、自分が大樹の一部になったような神聖な気持ちになりました。

 

Photo by Masaaki Muraoka

ガラス張りの「高崎芸術劇場」で空中散歩

高崎芸術劇場

Photo by Masaaki Muraoka

 

2019年に開館した「高崎芸術劇場」は、市民とともに歩んできた高崎の音楽文化を受け継ぎ、オペラからポップスまであらゆる公演に対応できる劇場として誕生しました。公演のある日には期待感に満ちた観客が集まり、建物全体が感情で満たされるような独特の雰囲気に包まれています。

 

特に印象的なのは、窓際を歩くと足元までガラス張りで、まるで空中を散歩しているような感覚になる点です。「都市を映し出すスクリーン」というコンセプトのもと、劇場内の賑わいが街の風景の一部として溶け込んでいます。

 

<栗梅色の素焼きタイルを使った大劇場 Photo by Masaaki Muraoka

 

 

オペラカーテンをイメージした栗梅色の素焼きタイルはうねるような柔らかな光を帯び、夜になるとまた異なる表情を見せてくれます。

 

Photo by Masaaki Muraoka

隈研吾氏の代名詞ルーバーを多用した「高崎駐車場ウエストパーク1000」

高崎駐車場ウエストパーク1000

Photo by Masaaki Muraoka

 

「高崎駐車場ウエストパーク1000」は、高崎駅西口に隣接する1,000台収容の市営立体駐車場。実はこれも「森の教会」と同じく、隈研吾氏が手がけた建築のひとつです。

 

Photo by Masaaki Muraoka

 

外壁はコンクリート製ルーバーと、ランダムに配置された乳白ガラスのフィンで覆われています。プレルーバーの茶色は、群馬県内に多いレンガ造の歴史的建築物との調和を意識して選ばれたものだそう。日差しの当たり方によって表情が変わり、一般に使用できる駐車場とは気づかないほどの存在感を放っていました。

 

Photo by Masaaki Muraoka

 

近隣の方は普段何気なく通り過ぎているかもしれませんが、立ち止まってじっくり眺めてみると、日常の風景が少し違って見えてくるはずです。

音楽のある街・高崎を支える「群馬音楽センター」と「シンフォニーホール」

群馬音楽センター

Photo by Masaaki Muraoka

 

1961年竣工の「群馬音楽センター」は、モダニズム建築の巨匠であるアントニン・レーモンド氏が設計した日本を代表する近代建築。折り紙やアコーディオンを彷彿とさせる、折り畳まれたコンクリートの外観が印象的です。建設費の3分の1を市民らの寄付で賄ったという、市民とともに歩んできた建築でもあります。

 

<レーモンド氏のデザインによるダイナミックな壁画 Photo by Masaaki Muraoka

 

Photo by Masaaki Muraoka

 

館内でひときわ目を引くのが、宙に浮いているような独特の形状の階段でしょう。柱のない構造が珍しいことから、来館者の注目を集めているそうです。

 

Photo by Masaaki Muraoka

 

隣接する「シンフォニーホール」の基本設計も、群馬音楽センターと縁のあるレーモンド設計事務所によるものです。オーケストラや吹奏楽の練習会場として、市民に長年親しまれています。

神殿のような外観が印象的な「高崎シティギャラリー」

高崎シティギャラリー

<外から見た円形のコアホール部分 Photo by Masaaki Muraoka

 

群馬音楽センターから道を挟んで向かい側に建つ「高崎シティギャラリー」は、1994年開館のギャラリー・ホール・広場が一体となった複合施設です。古代の遺跡を思わせる堂々とした外観と円形のコアホールは、高崎の街の中でもひときわ異彩を放つ存在ではないでしょうか。

 

Photo by Masaaki Muraoka

 

外壁や館内の床には、ジュラ紀の地層から採掘されたドイツ産のライムストーンが使われており、アンモナイトなどの化石を見ることができます。近くの中学校の生徒さんが、夏休みの自由研究の題材にしたこともあったとか。訪れた際は、ぜひ化石探しも楽しんでみてください。

 

<アートワークの点在する館内でゆっくり過ごすのも楽しい Photo by Masaaki Muraoka

 

JR高崎駅周辺にこれほどの名建築が揃っているとは、想像していなかった方も多いのではないでしょうか。

 

単に外から鑑賞するだけでなく、その空間に身を置くことができるのが建築ならではの楽しみです。高崎を訪れた際は、名建築が創り出す特別な空気をぜひ体感してみてください。

インフォメーション

森の光教会

 

住所:群馬県高崎市栄町27-2

電話:027-321-2525

 

HP:https://eterna-takasaki.com/

 

 

高崎芸術劇場

 

住所:群馬県高崎市栄町9-1

電話:027-321-3744

営業時間:10:00〜21:00

定休日:第2・第4月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

 

HP:https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/

 

 

高崎駐車場ウエストパーク1000

 

住所:群馬県高崎市旭町34-1

電話:027-327-1701

営業時間:24時間

 

HP:https://www.city.takasaki.gunma.jp/

 

 

群馬音楽センター

 

住所:群馬県高崎市高松町28-2

電話:027-322-4527

営業時間:8:30〜21:30

定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

 

HP:https://www.takasaki-foundation.or.jp/culture/m-center/

 

 

高崎シティギャラリー

 

住所:群馬県高崎市高松町35-1

電話:027-328-5050

営業時間:9:00〜展覧会終了時

定休日:年末年始

 

HPhttps://www.takasaki-foundation.or.jp/gallery/

望月優衣

望月優衣

渋川市出身・高崎市在住のフリーライター。群馬県内の取材・インタビューを中心に、文章を仕事に楽しく生活しています。趣味は街歩きや美術館めぐり、ノープランの旅行です。