【ユネスコ世界の記憶・上野三碑】無料の「上野三碑めぐりバス」で巡る歴史散歩【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

上野三碑めぐりバス

更新日: 2026年04月23日

群馬県高崎市に位置する「上野三碑」。1300年以上前の姿を今に伝えるこれらの古碑は、2017年にユネスコ「世界の記憶」に登録された世界的に貴重な文化財です 。

 

そこを巡る特別なバスがあります。その名も「上野三碑めぐりバス」。なんと運賃は無料です。

 

前からとても気になっていたのですが、念願かなって今回実際に乗車してきました。

旅の始まりは山名八幡宮から

山名八幡宮

<手前の赤い柵が上信電鉄の線路です。その奥には立派な随神門>

 

旅の始まりは山名駅から。高崎駅から上信電鉄に揺られて山名駅で下車し、本格的な三碑巡りの前に、まずは駅からほど近い「山名八幡宮」を訪れました。

 

こちらの神社の参道は少し特徴的で、なんと上信電鉄の線路と交差しています。線路の下をくぐり抜けると、目の前には立派な「随神門」が姿を現しました。門のそばには、無添加の天然酵母パン屋さんや気軽に立ち寄れそうなカフェもあり、歴史情緒と現代の心地よさが同居する不思議な空間です。

 

本殿へと続く立派な石階段を一段ずつ踏みしめ、境内の清々しい空気の中で道中の安全を祈願。しっかりと心を整えたら、いよいよ歴史を巡る旅のスタートです。

 

<いよいよバスの到着です>

 

参拝を終えバス停で待っていると、いよいよバスが到着しました。このバスは上信ハイヤー株式会社が運行を担う無料の巡回バスです 。

 

乗客定員は9名とコンパクトな車両ですが、その車内は驚くほど充実しています。座席付近には、これから巡る三碑の歴史や見どころを解説したパンフレットが完備されており、移動時間を使って予習もバッチリできます。空気清浄機まで設置されており、衛生面への配慮も行き届いた非常に快適な空間でした。9:35発のバスに揺られながら、まずは最初の碑である「金井沢碑」へと向かいます

静寂に包まれた「金井沢碑」ボランティアガイドさんとの出会い

静寂に包まれた「金井沢碑」

<金井沢碑の収められている建屋>

 

バスに揺られること約5分で「金井沢碑」のバス停に到着しました。バス停には腰を下ろして一息つける東屋があり、すぐそばには16台ほど収容可能な舗装された駐車場や綺麗なトイレも完備されています。車で訪れる際も安心です。

バス停から金井沢碑までは100メートルほどです。緩やかな階段が続いており、一段ずつ登るうちに少し息が上がりましたが、午前中の金井沢碑は驚くほど静かな空気に包まれていました。石段を登りきった先には、立派な鉄筋の建屋に守られた金井沢碑が静かに佇んでいます。

 

石碑を眺めて5分ほど経った頃、オレンジ色のジャケットを着た方がこちらへ登ってこられました。お話を伺うと、毎週日曜日(10:00〜15:00)に活動されているボランティアガイドさんとのこと。手作りの資料を広げながら、碑文の内容や歴史的背景を非常に詳しく、丁寧に紐解いてくださいました。

 

専門家ならではの深いお話に引き込まれ、時間はあっという間に過ぎていきました。もっとお話を聞いていたいという名残惜しさを感じつつも、次のバスの時間が近づいたため、温かな余韻とともに金井沢碑を後にしました。

 

<ボランティアガイドの高久さん>

手つかずの力強さが残る「山名古墳群」

山名古墳群

<史跡公園へと生まれ変わる日を待つ山名古墳群>

 

金井沢碑を後にし、再びバスに揺られること約10分。次は三碑ではないのですが、道中にある「山名古墳群」で下車してみました 。

 

バス停を降りてまず目に飛び込んできたのは、小ぶりながらも確かな存在感を放つ古墳群でした。こちらの古墳群、将来的には史跡公園としての整備が予定されていますが、今はまだ過度な装飾がなく、どこか「荒々しさ」を感じさせます。

 

広い敷地内には10基以上の古墳が点在しており、その見応えは十分です。静かな風景の中に横たわる古墳を見ることができます。

 

<整備が進む前の、今しか見られない貴重な姿です>

青空の下、片道2キロの山上碑へと続く坂道を散歩

道中には立派なお地蔵様

<道中には立派なお地蔵様がいました>

 

次の目的地は「山上碑」です。もちろんバスで行くことも出来るのですが、この日は天気が良く絶好の散歩日和だったこともあり、少し予定を変更しバスを使わず約2キロの道のりを歩いてみることにしました 。

 

<上信電鉄が走り抜けて行きます>

 

上信電鉄の踏切を越え、道案内の看板を頼りに進みます。徐々に上り坂になりますが、一歩ずつ進むごとに背後の視界が開け、見晴らしが良い景色を見ていると徒歩にして正解だったと思います。道中に佇む立派なお地蔵様にも出会うことができました。山上碑の麓へ到着し、そこからさらに少し息が上がるような急な石段を登りきった高台に、山上碑がありました。

 

<山上碑へと続く階段>

 

ここでもボランティアガイドさんが先客の方へ熱心に解説をされており、私もご一緒させてもらいました。石碑のすぐ隣には「山上古墳」があります 。ご厚意で懐中電灯をお借りして古墳の内部を見学してみました。光に照らされて浮かび上がったのは、驚くほど正確に積み上げられた石積みの壁面です。機械のない1,300年以上前に、これほど精緻な技術で巨石が組み上げられた事実に、思わず圧倒されました。

 

<山上碑建屋と山上古墳>

 

高台から眼下を見下ろすと、そこには穏やかで静かな景色が広がっていました。この静寂は、山上碑が建てられた当時も同じだったのでしょうか。過去と現在が地続きであることを実感し少しばかり感傷的な気持ちになってしまいました。

 

気づけば次のバスの時間が迫っています。名残惜しさを感じつつも、山上碑を後にしました

吉井駅近く「キッチンこんぱる」の香ばしい豚丼でお昼ご飯

上信電鉄吉井駅

<レトロ感漂う上信電鉄吉井駅>

 

高台からの景色を堪能し、山上碑での時間を過ごした後は、ちょうどお腹も空いてきました。次なる目的地である上信電鉄の吉井駅へと向かい、お昼休憩にすることにしました。

 

お昼ご飯には、駅から徒歩5分ほどの場所にある「キッチンこんぱる」に伺いました。実は以前からその存在は知っており、訪れてみたいと思っていたお店です。扉を開けると、店内にはツーリング客や家族連れで賑わい活気に満ちていました。今回のお目当ては、ランチメニューの「焼き豚丼」。まず運ばれてきたセットのスープ。一口飲むと、歩き疲れた身体にその温かさがじんわりと広がりました。スープを味わっていると、いよいよメインの豚丼が運ばれてきました。

 

<美味しかった焼き豚丼>

 

運ばれた瞬間に鼻をくすぐる香りに食欲をそそられます。豚肉は溶岩を熱し、その熱で網焼きにしているそうです。豚肉は絶妙な焦げ目があり実に香ばしい味わいです。そして味の決め手は、なんといっても群馬名物「焼きまんじゅう」風味の自家製甘味噌だれ。この濃厚なタレが網焼きの旨味と重なり、ご飯が進み相性抜群です。セットにはサラダや小鉢、サービスドリンクも付いており、歩き通した体に嬉しいボリュームです。なお、こちらのお店は週末営業がメインとなっているため、訪れる際は事前に公式Instagramで営業日を確認しておくと安心です。

 

<吉井藩陣屋の表門>

 

お腹も満たされ、お店の外に出ると、すぐ目の前には「吉井藩陣屋の表門」が堂々とした姿で佇んでいました。その存在感に目を奪われます。今回はバスの時間もあり立ち寄れませんでしたが、近くには吉井郷土資料館もあるとのこと。改めてゆっくりと街を歩いてみたいという興味を掻き立てられました。

 

<多胡碑大判焼は焼印入り>

 

吉井駅への帰り道では、「多胡碑大判焼」の気になるのぼりを発見。食後のデザートとして、目の前で焼き上げてもらったばかりの熱々の一品を堪能しました。優しい甘さを楽しみながら、大満足のお昼時間でした。

1日の締めくくりの多胡碑へ

多胡碑

<多胡碑の収められている建屋>

 

吉井駅からは再び「上野三碑めぐりバス」に乗り込み、今回の旅のメインともいえる「多胡碑」へと向かいます。バスを降り目の前にした多胡碑。そこに刻まれているのは、和銅4年(711年)という遠い過去に記された言葉です。

 

碑文の中に今もこの地の名として残る「多胡」の二文字を見つけた時、不思議な感覚になりました。1,300年以上も前の人々が使い石に刻んだ地名が、現代を生きる私たちの日常にそのまま息づいている。多胡以外にも、今なお耳にする地名が当時のままの姿で記されており、遠い過去と現在がしっかりと繋がっているような、不思議で感慨深い心地に包まれました。

 

<多胡碑記念館>

 

多胡碑のすぐ隣には、立派な「多胡碑記念館」が併設されています。2026年3月現在、入館料は無料。展示内容は驚くほど豊富でボリューム満点です。三碑の実物大レプリカも展示してありました。レプリカは目の前に立つと、想像以上の大きさに驚きます。また、展示とあわせて楽しみにしていたのが「拓本体験」です。専用の道具を使い、自分の手で石の文字を紙に写し取っていく作業は、お子さんも身を乗り出して取り組むはずです。

 

石に刻まれた歴史が白黒のコントラストで鮮やかに浮かび上がる瞬間は、大人も子供も心が躍ります。自分で仕上げた拓本は、旅の思い出が詰まったお土産になりました。

 

<誰でも楽しめる拓本体験>

 

周辺は「吉井いしぶみの里公園」として整備されており、見学の後は開放感あふれる空間でのんびりと旅の余韻に浸ることもできます。最終便である15:40のバスで吉井駅行へと向かいました。

名残惜しさを感じながらバスに乗り込み吉井駅へ。駅に到着し、今日一日お世話になったバスに見送られ旅を締めくくりました。

 

無料の「上野三碑めぐりバス」と徒歩を組み合わせることで、歴史的な三つの碑を1日で効率よく、快適に周れる魅力的なコースだと思います。移動の負担を抑えつつ、自分の歩幅で街の空気も楽しめるこの旅は、世代を問わず心に残るはずです。悠久の時に思いを馳せながら、群馬の歴史を再発見する充実の一日を過ごしてみませんか。

 

記事内の情報は20262月現在のものです。最新の情報については各施設、各店舗へお問い合わせください。

インフォメーション

【上野三碑めぐりバス】

 

上信ハイヤー株式会社

 

電話:027-322-1212

 

HP:https://www.city.takasaki.gunma.jp/site/cultural-assets/6460.html

 

 

【上野三碑関連】

 

高崎市教育委員会 文化財保護課

 

電話:027-322-1212

 

HP:https://www.city.takasaki.gunma.jp/site/cultural-assets/

HP:https://www.city.takasaki.gunma.jp/site/cultural-assets/4456.html

 

 

多胡碑記念館

 

住所:群馬県高崎市吉井町池1085番地

電話:027-387-4928

営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日・12月28日〜1月4日

(休館日は変更になる場合がございます。事前にご確認ください)

料金:令和9年(2027年)3月31日(水曜日)まで観覧無料

 

HP:https://www.city.takasaki.gunma.jp/site/cultural-assets/4464.html

 

 

山名八幡宮

 

住所:群馬県高崎市山名町1510-1

電話:027-346-1736

 

HP:https://yamana8.net/

Instagram:yamana8manguu

 

 

キッチンこんぱる

 

住所:群馬県高崎市吉井町吉井128-1

電話:080-1940-0501

営業時間:AM11:30〜PM14:00

当面の間 金曜日・土曜日のみ営業

日曜日も臨時営業をする場合が有りますのでInstagramでご確認下さい。

キャッシュレス決済不可。

 

Instagram@konparu99

村岡正章様

村岡正章

本業は写真撮影で、幅広いジャンルの現場に携わっています。ライターとしては駆け出しですが、 専門である撮影の視点を活かし、地域の小さな出来事を丁寧に記事にしていきます。群馬の魅力 を一歩ずつ探求中です。