独立系書店を巡る言葉探しの旅〜高崎駅編〜【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
【本屋ブーケ】多様性を束ねる「ブーケ」
<かわいい看板が目印です>
高崎駅西口から高崎市役所へ続く、通称“シンフォニーロード”をまっすぐ歩くと、本屋ブーケは見えてきます。ゆっくり歩いて、10分ほどで到着しました。扉を開くと、様々な本がキラキラと顔を覗かせています。輝く背表紙を眺めながら、セーターがお似合いの店主・松坂さんにお話を伺いました。

<店主の松坂優(まつさか・ゆう)さん。マフラーも素敵です>
「本屋ブーケ」という店名は当初、花の名前を考えていましたが、固定したジャンルにとらわれず、多様性を大切にしたかったので、それらを包みこむ「ブーケ」になりました。結果的に、小さなお子さんでも言いやすく、みなさんから「ブーケさん」と親しまれています。
高崎市に店を構えたのは、高崎市が音楽や芸術など、文化的なものが根付いていると感じたからだそうです。前職で、「自分でもお店を始められたら」と考えていて、30歳の節目に本屋に挑戦しました。

<気になるタイトルがたくさん。どれもこれも読みたい!>
私「どのように選書しているのですか?」
松坂さん「バランスを心がけていますが、売り上げを考慮すると、偏ってきてしまいます」
松坂さんは困り笑顔で、そう教えてくれました。お子さんから大人まで、幅広い層に楽しんでもらえることを基準に考えています。また、配置する際にも、刺激的なタイトルは背表紙にするなど、心がけているそうです。
私「本屋ブーケに初めて来た時、『ここは私の本棚だ!』と思うくらい、好きな本であふれていました」
松坂さんが優しく微笑んでくださって、私もほっこり嬉しくなりました。
店主セレクト!読んでおきたい2冊
<温かい色合いの本が並びます>
それでは、松坂さんにおすすめの2冊を伺います。
◯『遠くまで歩く』柴崎友香(中央公論新社)
人と人とのゆるやかなつながりを描いた、柴崎友香さんの長編小説。
暮らしに必要なものや、自分が大切にしていることの欠片に気付かされるような一冊です。

<この表紙が目印です。画像提供:本屋ブーケ>
◯日記集『すすめ すすめ2』(はなやぎ出版)
noteにて毎日綴っている本屋ブーケ店主の日記。2025年7月~12月に書いた半年分の日記をまとめました。店主として、ひとりの人間として、日々考えていることを少し覗けるような一冊です。

<かわいらしいイラスト! 画像提供:本屋ブーケ>
どちらも気になりますね。みなさんも手に取ってみてください。
来てくれた人を大事に
<ブックカバーは店主のオリジナルデザインです。癒される!>
私「どんな人に本を届けたいですか?」
松坂さんは「あ〜」と首を捻りました。「トンチンカンな質問しちゃったかも…」と私は一瞬慌てましたが、松坂さんはゆっくり言葉を繋げてくれました。
松坂さん「欲を言えば、中高生や若い世代に来てほしいですが、まずは来てくれた人を大事にしたいです」
来てくれた人を大事に。店名に「ブーケ」と名付けたように、みんなを包みこむような温かい答えでした。

<小説もエッセイも揃えています>
これからも本だけでなく、作家さんのポップアップを開催するなど、本屋としての間口を広げたいと教えてくれました。来店したいと思えるような「きっかけの種」を増やしていきたいそうです。私も応援しています!
おまけ
松坂さんの好きな作家は、朝井リョウさん、森絵都さん、千早茜さんです。新刊が出ると、チェックされるとか。好みが合う人は、松坂さんとの話のタネにしてみてはいかがですか。
【REBEL BOOKS】退屈に抗う本屋
<大きな窓が目印です>
本屋ブーケで癒されたあとは、面白いものを探す旅に出かけます。高崎駅西口から北を目指して20分ほど歩くと、REBEL BOOKSは現れます。

<店主の荻原貴男(おぎわら・たかお)さん。手には大切な一冊>
REBEL BOOKSは2016年12月から営業を始めました。まだ地元・高崎市に独立系書店がなかったので、自分で作りたいと思ったのがきっかけです。店名の「REBEL」とは、「反抗する」という意味だそうですが、一体、何に反抗するのか気になりました。
荻原さん「『退屈に抗う』ってことですね」
退屈に抗う! すごくワクワクする言葉ですね。REBEL BOOKSは退屈な時に思い出したい場所です。

<入り口にあったメッセージに癒されます>
好奇心を刺激する
<こういう紹介文を読むのもいいですよね>
店内にはジャンルを問わず、荻原さんが面白いと思った本、好奇心を刺激された本が揃っています。
私「本の魅力はなんですか?」
荻原さん「『知らないことを知る』っていう側面が好きです」
荻原さんは静かにお話しされるのですが、その言葉はどこか熱を帯びていて、不思議な魅力のある方だなと思いました。お話を伺っている間、「好奇心」や「面白い」という単語が何度か登場しました。それこそが荻原さんを動かす原動力なのかなと感じます。

<「トートバックはいくつあってもいいですからね」という荻原さん。その通り!>
私「イベントも開催されてますよね。なんでやろうと思ったのですか?」
荻原さん「…面白いから」
緊張のあまり、突然アバウトな質問をしちゃってすみません。REBEL BOOKSではZINE(自主制作本)の即売会や講演会を開催しています。それにしても、荻原さんの答えにはいつも一本の筋が通っています。荻原さんとお話しすると、「面白いことに貪欲でいい!」と励まされるようです。
店主セレクト!手に取りたい2冊
<オリジナルブックカバーです。スタイリッシュ!>
さて、荻原さんにも、おすすめの2冊をお伺いしました。
◯『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 上遠恵子訳(新潮社)
未知なものや神秘なものに目を向ける感性「センス・オブ・ワンダー」を持つことの大切さを伝える永遠の名著。当店の選書の核になっている。

<荻原さんの大切な一冊です>
◯『1999年の中東』荻原貴男(店主のZINE)
店主が1999年(当時20歳)に出かけた中東旅行をもとに作成したZINE(自主制作本)。トルコ、シリア、ヨルダン、イスラエル、エジプトを回った35日間の旅。

<35日間も旅するなんてすごい!>
どちらも読んでみたいです。おすすめの本ってワクワクしますね。

<店主からこう言っていただけると聞きやすいです>
最後に、これからどんなお店にしたいか、展望をお伺いしました。
荻原さん「続けることです」
たった一言に、大切なことがいっぱい詰まった、素敵なお答えをいただけました。私も応援しています!

<高崎市街地のマップをいただけます。これを頼りに散歩するのもいいですね>
おまけ
「高崎はどんな街ですか?」とお伺いしたところ、「東京にも山にも近い」とお答えくださいました。あまりに的確で、「確かに…」と唸ってしまいました。
ふらりと立ち寄った本屋で、今の自分に必要な言葉を探す。悩んでいても、楽しくても、どちらも受け入れてくれる場所が、ここにはありました。本屋ブーケは陽だまりに包まれるような、温度のある本屋で、REBEL BOOKSは面白いものを探しにいきたくなるような、好奇心に溢れた本屋でした。どちらも素敵なお店なので、みなさんもお散歩がてら、言葉を探す旅に出てみてはいかがでしょうか。
インフォメーション
本屋ブーケ
住所:群馬県高崎市宮元町290
営業時間:平日12:00~18:30、土日祝10:00〜18:30
定休日:水曜(不定休あり、詳しくはInstagramをご確認ください)
HP:https://bookshop-bouquet.com
Instagram:@books_bouquet_
REBEL BOOKS
住所:群馬県高崎市椿町24-3
営業時間:13:00〜18:00
定休日:水曜
Instagram:@rebelbooksjp
※この記事の取材は2026年1月に実施しました。
たかざわ