秋の碓氷峠 紅葉絶景と熊野神社の秘宝めぐり【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
県境看板と鮮やかに染まる紅葉
<群馬県・長野県の県境看板と紅葉の美しいコントラスト>
旧碓氷峠の見晴台は、長野県軽井沢町と群馬県安中市の県境に位置する展望スポットです。自家用車や観光バスでアクセスでき、入口には全長3.5kmの散策コースもあります。

<鮮やかに染まる紅葉>
私が10月下旬に訪れた際、県境の看板を撮影しようとしたところ、その裏側に広がる紅葉が真っ赤に染まっており、まるで絵画のような絶景に息をのんでしまいました。

<県境の看板手前の石柱は、県境の線になっています>
木々が鮮やかな赤や橙に色づき、空気も爽やかで心が洗われるよう。県境の看板は写真撮影の定番スポットですが、紅葉の時期は特に裏側が見事です。駐車場から少し歩くだけでこの景色に出会える気軽さも魅力。
この感動の余韻に浸りながら、少し奥へ進むと、さらに壮大な景色が待っていました!
眺望スポット
少し奥へ進むと、見晴台の本格的な眺望スポットが現れます。東に妙義連峰、西に浅間山、天気が良ければ南アルプスや八ヶ岳まで見渡せる大パノラマ!私もあまりの美しさに思わずガッツポーズ。秋は山肌が色づき、緑と赤のコントラストが絶妙です。

<自然とガッツポーズが出た絶景>
空気が澄んでいるため遠くの山々が鮮明に浮かび、遊歩道を歩きながら次々と変わる景色に飽きることがありません。朝霧がかかる時間帯や夕暮れもおすすめで、異なる表情を見せてくれます。周辺にはベンチもあり、ゆったりと絶景を堪能できます。日常のストレスを吹き飛ばす力があります。
自然の壮大さに感動した後は、すぐ近くにある峠の守護神へ参拝です。
県境をまたいで鎮座!左は長野・右は群馬の碓氷峠熊野神社
見晴台からわずか数分で到着する碓氷峠熊野神社は、まさに県境のど真ん中!左側は長野県、右側は群馬県という、日本でもレアな立地です。参道を歩けば「今、県をまたいでる!」というワクワクが止まりません。

<境内で確認できる県境の標識>
ここでちょっと立ち止まって、県境案内図(下図)を見てみましょう。緑の線が県境を示していて、見晴台から熊野神社まで、ほぼずっと県境が続いていることがわかります。こんなに長く県境の上を歩ける場所は、本当に珍しいんですよ!

<県境案内図。緑の線が群馬県と長野県の県境!見晴台から熊野神社まで、ほぼ県境沿いに続いています>
画像提供:碓氷峠熊野神社
この特別な場所に鎮座するからこそ、碓氷峠熊野神社は古くから「碓氷峠の熊野権現」と呼ばれ、中山道を行き交う旅人の安全を守る峠の守護神として厚い信仰を集めてきました。「碓氷峠の権現様は主の為には守り神」と唄われた歌は、追分節の元唄となり、全国に広まったほどです。
関東平野の最西端に位置するこの地は、古来より西方浄土への想いが強く、紀州熊野から遠く離れた峠の地にも独自の熊野信仰が深く根付いたとされています。紅葉の参道を歩けば、まるで時代劇の世界にタイムスリップした気分。県境の標識を探しながら歩くのも楽しいですよ!
そして、この神社の本当のすごさは、境内の中にある「歴史の宝箱」でした!
魅力満載の社宝!辺境の地に奇跡の宝物
神社を訪れる醍醐味の一つが、境内や社殿にひっそりと残る「社宝」です。社宝とは、神社に古くから伝わる宝物全般のことで、祭神ゆかりの品や調度品、装束、古文書、絵画などが知られていますが、時には国宝や重要文化財級の貴重なものが並ぶこともあります!
そして、碓氷峠熊野神社には、まさに「見ておいて損はない!」という社宝が揃っています。今回は宮司の竜野さんに案内していただきながら、神楽殿の中まで説明してもらいました。それでは順番にご紹介します!
① 古鐘 正應5年(1292年)奉納
こちらは、新宮殿の賽銭箱のすぐ横で公開されている、群馬県現存最古の吊鐘(県重要文化財)です。松井田の武士団が「この世もあの世も幸せに!」と願って奉納したものです。参拝すれば必ず目に入る場所にあるので、ぜひじっくり見てみてください!

<賽銭箱横の古鐘(県重要文化財)>
② 奉額 天保11年(1840年)奉納
神楽殿の中の入り口付近に掲げられた大きな額で、安中宿の柳澤庄七さんと次郎吉さんが奉納したものです。絵柄は、神功皇后とその御子・応神天皇を、竹内宿禰(たけのうちのすくね)が抱えている様子と伝えられています。
宮司の竜野さんに伺うと、神社では100枚ほど奉額を所有していて、その中から代表的なものを展示しているそうです。畳一畳から二畳くらいの巨大な木の板サイズで、実際に目の前にするとその大きさに本当に驚きます!
昔の人たちが神様に感謝を込めて奉納したこの額が、今も堂々と残っている姿に、歴史の重みを感じます。神楽殿に入って最初にこれを見たときのインパクトは忘れられません!

<【特別拝観】神楽殿の大迫力奉額>
③ 神楽殿の天井絵 文化2年(1805年)奉納
普段は非公開の神楽殿の天井に描かれた14枚の花鳥図。青雲齋良山という絵師が描いたもので、様々な鮮やかな季節の花や動物、飛龍・キジ・ネズミなどが生き生きと描かれています。200年以上経っても色鮮やかで、見上げているだけで圧倒される迫力です。

<【特別拝観】神楽殿天井絵 >

<【特別拝観】神楽殿天井絵 文化2年の鮮やかな孔雀>
④ 算額 明治5年(1872年)奉納
神楽殿の壁に掲げられた超難問の額で、江戸時代から明治にかけて盛んだった「和算」(日本の伝統数学)の結晶です。この額は、問題と答えが掲載されており、構造がとてもわかりやすいです。上部・中心部には美しい色彩の図形(幾何学的な問題を図示したもの)が描かれ、下部・周辺部には漢文で問題文が書かれています。この額は、和算が盛んな時代に、昔の人たちが知恵比べや実力を証明するために神社に奉納したとのこと。
他の神社でも、(算額ではないが)絵馬の裏に問題を書いて、通りかかった人が答えを書く交流があったというエピソードもお聞きしました。数学が苦手な筆者ですが、知恵比べのお話は聞いていて面白かったです。

<【特別拝観】明治の超難問算額 今も数学者が挑む謎の額>
また、①古鐘は誰でもすぐに見られる位置にありますが、②③④の社宝は神楽殿内部のため普段は非公開です(祈祷やご昇殿時のみ入室可)。碓氷峠という辺境の地に残る社宝をまとめて体験できるのは非常に珍しい体験でした。歴史好きなら絶対に訪れる価値ありです!
社宝を堪能した帰り際、授与所で素敵なお土産も見つけました。
安政遠足御朱印&新作レースお守りをゲット!
<安政遠足の豪華切絵御朱印>
帰り際、授与所に立ち寄ると、とても魅力的な御朱印とお守りがあるのを発見しました。まずいただいたのは「安政遠足」の切絵御朱印です。これは、安政2年(1855年)に安中藩主・板倉勝明が藩士たちの心身鍛錬のために行った特別な行事に由来しています。安中城から碓氷峠の熊野権現(現在の熊野神社)まで約7里(およそ28km)の中山道を、藩士たちが徒競走したのです。
そして驚くことに、そのゴール地点こそが、まさにこの県境のど真ん中!今自分が立っている場所が、160年以上前に侍たちが全力で駆け抜けたゴールだなんてビックリします。当時の着順表が今も残っているそうで、まさに「日本のマラソン発祥」と言われる歴史的なイベントです。

<熊野神社の鳥居の前には安政遠足の決勝点の札が置いてあります>
その伝統は今も受け継がれ、毎年5月には「安政遠足侍マラソン大会」が開催され、仮装したランナーが同じコースを走ってこの県境を目指します。侍が走る姿が描かれた美しい切絵御朱印は、見ているだけでも歴史ロマンが感じられて、とても記念に残る一枚になりました。
そして、新登場の「レースお守り」も即決!碓氷峠熊野神社オリジナルで、八咫烏がくわえる神聖な梛(なぎ)の葉をモチーフに、生命力あふれる植物の図案を繊細な刺繍で表現。先を見通し、人生を良い方向へ導いてくれる御守りです。

<繊細な刺繍が美しい「導き」のお守り(初穂料1,000円)>
峠の深い緑を思わせる色合いが美しく、離れても碓氷峠の風景を思い出せる素敵なデザインです。お初穂料1,000円で、レース素材なので軽くて持ち歩きやすいのも嬉しいところです。
このレースお守りは2色展開になっていて、
・緑色バージョン:峠の青々とした深い森や木々をイメージした爽やかなグリーン。自然の生命力と導きを感じさせる定番カラー。
・紫色バージョン:神秘的で高貴なイメージの紫。八咫烏の神聖さや、夕暮れ時の峠の幻想的な雰囲気を思わせる特別な色合いです。
どちらも同じデザインで、八咫烏がくわえる梛の葉のモチーフが繊細に刺繍されていて、選ぶ楽しさがあります。このお守りを持って、八咫烏の導きを感じながら、次の旅も安全に楽しめそうです。
碓氷峠見晴台の紅葉絶景と熊野神社の歴史・秘宝が一度に楽しめる秋の最強コース!県境の感動風景から、社宝・新作お守りまで、短時間で大満足。ドライブでもハイキングでも最高です。新緑や紅葉の絶景が見られる際にぜひ訪れてみてください!
インフォメーション
旧碓氷峠見晴台
住所:群馬県安中市松井田町坂本・長野県北佐久郡軽井沢町峠町(県境付近)
アクセス:上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」より車で約30分
碓氷峠熊野神社
住所:群馬県安中市松井田町峠町1番地
電話:0267-42-3490
営業時間:社務所 9:00~15:30(混み具合により16:30まで対応の場合あり)
定休日:1月下旬から2月下旬の平日は冬季休みの場合あり(定休日はHP・Instagram参照)
HP:https://usui-kumanojinjya.com/
Instagram:@usui_kumano
タマル