こけしの生産量日本一の群馬県で「こけし絵付け体験」にチャレンジ【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
知っていましたか?群馬県はこけしの生産量が全国トップなんです
<画像提供:卯三郎こけし>
全国一のこけしの産地である群馬県で1950年に創業したのが、榛東村に本店を構える「卯三郎こけし」です。伝統的なこけし作りの技法を受け継ぎながらも、時代に合わせた新しいデザインに挑戦し続けています。
キャラクターとのコラボ作品を製作し始めたのは、3代目卯三郎である岡本義弘さんが工房に入ってから。伝統的なこけしを近年の住居空間に馴染むものにしようと、試行錯誤する過程で実現したそうです。
最初のコラボ作品はミッフィーが55周年を迎えた2010年のこと。現在はゴジラとのコラボも予定しているそうで、「ただ同じことを繰り返すだけではなく、異業種でも何でも、どんどん新しいものを取り入れたい」とお話していました。

<画像提供:卯三郎こけし>
榛東村にある「卯三郎こけし 本店」では絵付け体験ができる
榛東村の緑豊かな環境に佇む「卯三郎こけし 本店」には、こけしを販売する売店はもちろん、2階には卯三郎こけしの歴史やこけしのデザインの変遷がわかる「こけし美術館」があります。
売店の奥は工房になっており、職人たちが筆で丁寧に絵付けをする様子を離れたところから見学することも可能です。

<繊細な作業です>
さらに工房では、職人が削り出した木地こけしから好みの形を選んで絵付け体験も楽しめます。完成したこけしは、旅の思い出とともに持ち帰ることができる世界にひとつだけの作品です。
3つのコースから選んで自分だけのこけしが完成
こけし絵付け体験では、選べるこけしの大きさと種類が異なる3つのコースが用意されています。「1,650円コース(30分〜)」ではたまご型やストラップの絵付けを気軽に楽しめ、「2,200円コース(60分〜)」や「2,750円コース(90分〜)」では馴染みのある「まる頭」などのこけしの絵付けに挑戦できます。
自分で絵付けをしたあとは職人さんがラッカー(ツヤ出し)で仕上げてくれ、その日のうちに持ち帰りが可能です。

今回私は、「2,200円コース(60分~)」の「まる頭(小)」のこけしを選びました。

<鉛筆で下書きします>
まず鉛筆で下書きをし、それから絵の具で好みの色合いに仕上げます。
絵付けをするときは、絵の具を水で薄め過ぎないのがポイントだそう。

<絵の具を混ぜて自分の好きな色を作ります>
たしかに、はっきりとした色合いのほうがオリジナルのデザインが際立ちます。

最後にラッカーで仕上げてもらい、しばらく時間を置いて乾燥させたら完成です。

<温泉でリラックスする姿をイメージしました!>
世界に一つだけの、オリジナルのこけしが完成しました。
立体のこけしに下書きをして絵の具を塗るのは、まっすぐな線を描こうとするほど手が震えて上手くいきません。ただ、それもまた体験ならではの楽しみでしょう。その人ならではの味のあるこけしになるはずです。
体験後は「こけし美術館」や売店でお気に入りのこけしを見つけて
こけしを乾燥させている間は、約3,000点のこけしが展示される「こけし美術館」を見学してみてください。

戦後に活躍した初代卯三郎は、もともと硯(すずり)などを製作していました。その後寺社仏閣や大仏などを模した観光地のお土産品を手がけるようになり、そこに小さなこけしを添えて商品化したのがこけし製造の始まりだったそうです。
創業当初のこけしは丸い頭で2体がペアになっているものが多く、その後おかっぱスタイルに変化。さらに年数が経つとだるま型など、従来の頭と胴体に分かれたこけしとは異なる形状のものも登場しました。

<2体がペアになった丸い頭のこけし>

<初期の頃のおかっぱ頭のこけし>
このように形状が変化したのは、30年ほど前までの群馬県で毎年、商談会の意味合いもあるコンクールが開催されており、そのたびに新しいデザインのこけしが考案されていたからなのだそう。
たとえば高崎観音ができたときには観音様を、東京タワーができた年にはそれをモデルにしたこけしを製作しました。このような時代を映すデザインは、群馬特有のスタイルだったんですね。
売店では、職人さんが手がけた美しいこけしを購入することができます。お土産としてはもちろん、インテリアとしても人気の高いこけしは、群馬の旅の記念品としておすすめです。

<卯三郎こけし 本店1階にある売店>
伊香保温泉石段近くにはカフェ&ギャラリーも
<「IKAHO HOUSE 166」>
伊香保温泉を訪れる際には、石段街にある「IKAHO HOUSE 166」内の石段店もぜひ立ち寄りたいスポット。かつては旅館だった推定築100年以上の趣ある建物で、こちらでも気軽にこけしの絵付け体験が楽しめます。

15〜20分程度で完成して予約不要なので、温泉街散策の合間にふらっと立ち寄れるのが魅力です。
同じフロアではだるまの絵付け体験も行っており、一つの建物で群馬を代表する二つの工芸品を知ることができます。

<「Cafe & Galleery USABURO」の大きな窓から陽が差し込む明るい店内>
また、石段街近くには「Café & Gallery USABURO」もあり、美しいこけしの展示を眺めながら、こだわりのコーヒーや「こけしカステラ」を楽しむことができます。

<カフェラテ(600円)とこけしカステラ ”焼きまんじゅう”タレディップつき(500円)>

群馬県を代表する伝統工芸「こけし」ですが、インテリアに合わせて選んだり、自分で絵付けをしてみたりと、思ったよりも自由に楽しめると知ることができました。
みなさんも伊香保温泉への旅行の際には、思い思いのスタイルで群馬県伝統のこけし文化を楽しんでみてください。
インフォメーション
卯三郎こけし 本店
住所:群馬県北群馬郡榛東村長岡1591
電話:0279-54-6766
営業時間:9:00~16:00
定休日:水曜日・年末年始
料金:絵付け体験 1,650円~2,750円(コースにより異なる)※要予約
instagram:@usaburo_kokeshi
Café & Gallery USABURO
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保50-3
電話:050-8888-0850
営業時間:9:30~16:30
定休日:不定休
instagram:@usaburo_ikaho
IKAHO HOUSE 166内 石段店
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保68
営業時間:施設に準ずる
※こけし絵付け体験は予約不可
望月優衣