完全プライベート空間!一軒家を恐怖の舞台に仕上げた「館林お化け屋敷」を体験【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
この場所で何を見るのか……!一軒家で恐怖にとらわれる体験
<一見、普通の住宅のように見えるがそのなかは……>
この日、私が訪れたのは閑静な住宅地。とある一軒家の前に立ち、「ここで合ってるかな……」と若干の不安を感じつつ玄関の引き戸へ手をかけます。すると、ふと鼻をくすぐるお線香のにおい。これで、取材場所はここで間違いないと確信を得ました。

<なかに入るとどこかノスタルジックなお化け屋敷があった>
ドアを開けた先に広がるのは、「館林お化け屋敷」。一軒家を利用した体験施設です。こういった形のお化け屋敷は全国でも珍しく、ホラー好きとしてはぜひ訪れたいと本当に楽しみにしていました。

<まずは受付を済ませる>
「友人の葬儀に訪れた」という設定であるため、まずは受付で芳名帳に記名。クリアのために必要なミッションについて聞きます。そのあとは「喪主の挨拶」という雰囲気たっぷりの演出があり、期待感マックスのなかいよいよ開幕。ドキドキが高まります。

<昭和、平成初期くらいまで自宅でのお葬式は一般的だった>
通された部屋のなかでまず目に入るのは、静かに横たわる人物。この人が物語の中心となる「小春」です。その顔には疲れがにじんでいるように見えました。その傍には、明るく笑う彼女の遺影が。ありし日の姿とのギャップが、哀しみの輪郭をくっきりと浮かび上がらせます。

<鏡に映る男性の独白が胸に迫る>
これは探索の途中で目撃する、ある光景です。怖いだけでなく、後悔ややるせなさを含んだ一幕にグッと引き込まれました。

<「お肉」や包丁>
奥へ移動するとキッチンとダイニングがありました。すると食材と思われるものが下ごしらえされています。が、すぐにその正体に気付き、「おお……」という声を漏らしつつそっと脇を通り抜けました。明らかに常軌を逸しているのに、道具などはきちんと並べられているという違和感が本当に不気味すぎるんです。

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いいタイミングで動いて、恐怖心を煽る人形も。驚きすぎてビクビクしながら、「わあぁ、こんにちはぁ……」と意味のない挨拶をしてしまったのはいい思い出です。

<果たしてこの家の住人はどうなったのか>
そして、いよいよミッションクリアへ。最後の最後まで仕掛けがふんだんにほどこされ、とても楽しめました。
途中、館林お化け屋敷を運営する「STUDIOBOMB」の木村さんが直接驚かせてくれる演出があり、これが本当に飛び上がるほど怖かったです。探索中の「わあ!」とか「ギャア!」などという悲鳴は可愛いもので、最終的に「それはダメだって!」という訳の分からない叫び声を挙げてしまいました。
呪われた家の住人がたどった運命の足跡は、ぜひ館林お化け屋敷でご覧になってみてください。ストーリーの軸がしっかりと構成されているので、没入感の高い体験を楽しめますよ。
精巧に作られた人形と「家」が生み出すリアリティ
<今までに使われた人形を保管する場所を見せていただいた>
館林お化け屋敷の見どころの一つは、この人形たち。写真からもお分かりのとおり、とても精巧に作られているんです。表情やシワまでとても繊細で、思わず見入ってしまいます。木村さんにお聞きしたところ、人形の製作はすべて一人で行っているとのこと。一体につき、1週間~1カ月前後かかるといいます。

<普通の電話台かと思ったら仕掛け付き。なかに生首が収められていた>
なぜこうした活動を?と伺うと、「特殊メイクや造形を専門的に学んだ」とお答えくださいました。木村さんの本職は造形作家であり、お化け屋敷は「元々好きだったから始めた」のだそう。探索の舞台となる家も、手作業で改修を加えたというからすごいですね。上記の写真に見られるような、小道具にも驚かされました。プロの技術と感性を惜しみなく注ぐからこそ、こんなにもリアルな世界観が生まれるんですね。
また、一軒家そのものを探索することで、物語に大きく引き込まれる感覚を得られました。元々が生活するために作られた建物であるために、ある種の「生々しさ」が生まれるのだと思います。人形や小道具との物理的な近さ、音やにおいでも鋭く五感を刺激されるので、大変上質な恐怖体験を味わえました。遊園地などにあるお化け屋敷も大好きですが、このリアリティには語り尽くせない魅力があります。

<館林お化け屋敷の受付に立つ運営の木村さん>
木村さんは「こういう存在があっても、それがずっと続くとは限らない。あるうちに足を運んでほしい」と語っていました。怖いもの好きの人はぜひ楽しんでみてください。夏には商業施設などでお化け屋敷を企画することもあるということなので、こちらも大注目。ぜひ公式インスタグラムやXなどをチェックしてみてください。
館林お化け屋敷、今後の展望は?
<館林お化け屋敷の玄関。置かれている小物類に「人の住まう気配」を感じる>
2015年のオープン以来、館林お化け屋敷は5回ほどリニューアルを重ねています。取材に訪れた2025年現在で体験できるのは「呪いの始まり」。ここからの更新は今のところ検討していないということです。

<怖いだけではなく「楽しい体験」も待っている>
実はこの家では、木村さんによる手品を見せてもらうことも可能。秘密基地のような場所で贅沢なステージを満喫できます。「依頼があれば、このような小部屋を作る相談も受けられる」ということなので、興味のある人はぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
木村さんは今後、館林市以外での活動を拡充したいと考えているそう。お化け屋敷はもちろん、本業である立体造形、特殊メイクなど様々な依頼に対応するほか、将来的には講演なども検討してみたいのこと。「面白いことをしたいときに相談してもらえれば。夏はここ以外でのお化け屋敷があるのでそれ以外の季節だと動きやすい」と話してくださいました。エンターテイメントを愛する人が生み出す作品を、楽しみにしたいですね。
なお、施設の体験はすべて予約制。近隣住民の人の迷惑になる行動や、無断での訪問などは絶対に避けましょう。
館林お化け屋敷は、怖いものが大好きな人間でも飛び上がるほどの体験ができる最恐スポットでした。一歩足を踏み入れれば、きっと「呪いの家」に心が惹きつけられることでしょう。一軒家を歩き回るからこそ得られる生々しい感覚を、ぜひ楽しんでみてください。
インフォメーション
館林お化け屋敷
住所:群馬県館林市尾曳町(住所の詳細その他は予約時にお問い合わせください)
HP:https://tetsukimu98.wixsite.com/studiobomb
Instagram:https://www.instagram.com/tatebayashi_obake/
千代田あおい