西上州の隠れ湯!大島鉱泉でレトロな癒し旅 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
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大島鉱泉の歴史と魅力
富岡市に佇む「大島鉱泉」は、群馬県で唯一の天然温泉(冷鉱泉)を引いた銭湯として、癒しの場を提供しています。大正時代に創業し、柱など一部は当時の趣を残したまま、修繕を重ねて今も息づいています。かつては旅館も経営されてしていましたが、コロナ禍以降は公衆浴場に専念。全国の冷鉱泉が石油やガスを使う中、こちらの銭湯は「薪」を再利用して銭湯を沸かしています。
<煙突から立ち上る煙。大島鉱泉のシンボルです>
大島鉱泉自体も、かつて昭和時代にはお風呂のない家庭にとって大切な憩いの場でした。今では地元の常連さんの他に、北海道など遠方からの観光客も訪れ、県外の人々にも愛されている心温まる場所です。
アクセスは関越自動車道「富岡IC」から車で約5分、こんにゃくパークから約15分と比較的利用しやすい位置にあります。
懐かしい外観と館内の雰囲気
大島鉱泉の外観は、木造の建物が織りなすレトロな佇まい。色褪せた「キンチョール」の看板が懐かしさを呼び、純粋な銭湯の雰囲気が心を和ませます。
<男女の浴場入り口>
館内はシンプルで温かい雰囲気。脱衣所はロッカーなしで、実家のような安心感を与えます。浴室はタイル張りの壁に小さな窓があり、正面のタイル絵はお客さんに褒められる自慢の一品。このレトロな浴室を見れば、旅の思い出話に花が咲きます。
<男性浴室。富士山のタイル絵が迎えてくれます>
<女性浴室。取材は営業時間前でしたので、お湯張り前の写真>
<浴室にはシャンプー、石鹸が用意されています>
薪のこだわりと鉱泉の癒し
大島鉱泉の湯は、ご主人が心を込めて丁寧に沸かしています。ご主人のご厚意で、薪を使ってお湯を沸かす様子を特別に見せていただきました。浴室の裏側に回ると、そこには大きなタンクが設置されていました。タンクには扉があり、その中が暖炉になっています。扉を開けてもらうと、薪がパチパチと音を立てながら勢いよく燃え盛る炎が現れ、その迫力に思わず驚いてしまいました。熱気も強く、最初は圧倒されましたが、夢中でカメラのシャッターを切りました。
<パチパチと燃える薪。湯の温もりの秘密はここにありました>
昔はおがくず(大鋸屑)を使っていたそうですが、今では住宅を壊した廃材を中心に再利用して湯を沸かします。「薪だと湯が柔らかいんだ」とご主人が胸を張る通り、お客さんも「お湯が柔らかくてあったまる」と実感するようです。
<薪は廃材を再利用>
pH9.0のアルカリ性は肌に優しく、滑らかな浴感が特徴です。メタホウ酸は疲労回復や神経痛に効果的で、旅の疲れを癒すのにぴったり。廃材の再利用は環境にも優しく、浴室の薪の香りが心地よい空間を作ります。
<このレバーを引くと、タンクに溜まったお湯が浴室に出ていきます>
<男湯の浴室。少しずつ温かいお湯が溜まり始めました>
神秘的な源泉
今回の取材では、大島鉱泉の心臓部ともいえる源泉を特別に見せていただく貴重な機会に恵まれました。大島鉱泉の建物から少し離れた場所に案内されると、そこにはひっそりと佇む、屋根付きの井戸のような構造物がありました。
<屋根付きの井戸。この中に源泉があるようです>
一見すると普通の井戸に見えますが、ご主人が扉を開けてくれると、驚くことにそこには大島鉱泉の命ともいえる源泉が隠れていました。興味津々で中を覗いてみたものの、深さゆえに暗闇に包まれており、底は見えませんでした。
この源泉は深さ約5メートルもあり、年に一度、専門の検査が行われるそうです。筆者にとって、井戸の形をした源泉を直接見るのは初めての経験でした。どこか神秘的な雰囲気に思わず気分が高揚してしまいました。
<深さ5メートル下に源泉があります。下は暗くて見えませんでした>
この源泉の存在そのものも魅力的でしたが、それを守り続けるご主人の姿勢にさらに心を動かされました。驚くことに、ご主人は80歳とご高齢にもかかわらず、毎日のように薪で火を管理し、源泉の状態を見守りながら、この鉱泉を守り続けています。「動けるうちはやろうと思っている」と笑顔で語る姿に職人魂を感じました。
取材の最後に、筆者はお湯に入る機会を得ました。お湯はぬるめでしたが、その分長く浸かれて嬉しかったです。肩の軽い痛みも、お湯に浸かることで少し和らぎました。風呂上がりに待合室で冷たいサイダーをいただきながら、ほっと一息つきました。湯の温もりとサイダーの爽やかさが心地よく、取材の疲れも癒されるひとときでした。
<お風呂上がりの一杯は格別です>
富岡製糸場、こんにゃくパーク、妙義山と巡る旅
大島鉱泉は、富岡製糸場、こんにゃくパーク、妙義山を巡る旅の締めにぴったりの癒しスポットです。
富岡製糸場は、群馬県富岡市にあるユネスコ世界文化遺産に登録された歴史的な工場です。1872年に日本初の近代的な絹糸工場として建てられ、赤レンガの美しい建物が特徴です。当時、最新の西洋技術を取り入れて絹糸を生産し、日本の経済発展に大きく貢献しました。ガイドツアーでは、工場内部で昔の機械や作業の様子を見学でき、資料館では絹糸づくりの歴史や働く人々の物語をわかりやすく学べます。
こんにゃくパークは無料の工場見学や試食、こんにゃく料理のバイキングが人気で、家族連れにも好評。また、妙義山は群馬を代表する奇岩の名山で、ハイキングや絶景を楽しむのに最適。妙義神社からの眺めも写真映え抜群です。
<無料の工場見学が大人気!こんにゃくパーク>
<新緑が彩る妙義神社>
これらのスポットを巡った後は、大島鉱泉の柔らかな湯に浸かって旅の疲れを癒しましょう。
「富岡製糸場についてはこちら」 https://gunma-kanko.jp/spots/49
「こんにゃくパークについてはこちら」 https://gunma-kanko.jp/spots/215
「妙義神社についてはこちら」 https://gunma-kanko.jp/spots/148
大島鉱泉は、薪で沸かす柔らかな湯で旅の疲れを癒す特別な場所。取材で見た神秘的な源泉と80歳のご主人の温かい笑顔に心打たれました。キンチョール看板や富士山のタイル絵がレトロな魅力を添え、訪れる人を優しく迎えてくれます。大人は450円とタオルを持って、ぜひこの温もりを体感してください!
インフォメーション
大島鉱泉
住所:群馬県富岡市大島148
電話番号: 0274-62-1490
営業時間:13:00~19:00
定休日:不定休
料金:大人450円、中人200円、小人100円(現金のみ)
アメニティ:シャンプー、石鹸、ドライヤーあり タオル200円
駐車場:無料駐車場あり

タマル