太田市「明王院」のお寺カフェ「PYRAMID CAFE & ROASTERY」で精進風ランチをいただく 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

精進風キーマカレー

更新日: 2025年08月01日

太田市の「明王院(正式名称:呑嶺山明王院安養寺)」の隣には、お寺カフェ「PYRAMID CAFE & ROASTERY」があります。そこで副住職が作る精進風ランチをいただき、店名の由来になった、ピラミッド型の「石造千体不動塔」を参拝してきました。

寺院をより身近に感じていただきたいという想いからカフェをオープン

カフェ(外観)

<PYRAMID CAFE & ROASTERY>

 

「明王院」の隣に位置する「PYRAMID CAFE & ROASTERY」は、明王院の副住職の島田仁さんとバリスタの青木秀蕗さんが2人で切り盛りしています。

副住職が同店をオープンした背景には、お客さまに寺院をより身近に感じていただきたいという想いがありました。コーヒーを片手に境内を散歩し、四季折々の風情を感じていただく。仏事のときだけでなく、人々の日常にも寄り添う……。そんな場所にしたかったそうです。

そのため、副住職は僧侶としてのつとめを大切にしながら、調理師学校で調理の基礎技術を習得し、デザート作りや焙煎は独学で学びました。そして、満足したものができるまで試作を繰り返し、2023年、ちょうど40歳になる年に、コーヒーを通じて知り合ったバリスタの青木さんとともに同店をオープンしました。

副住職のこだわりが詰まった精進風キーマカレー

明王院の副住職の島田仁さん

<明王院の副住職の島田仁さん>

 

同店の営業はランチタイム(オープン〜14:00)とカフェタイム(14:00〜クローズ)に分かれています。

 

<「季節の精進風キーマカレープレート」と「自家製いちごジャムの豆乳ラッシー」>

 

現在提供しているランチメニューは、「季節の精進風キーマカレープレート(税込1,330円)」の一種類です。

同店では、お寺の家庭菜園で採れたものや、檀家の農家さまが育てた食材を使う取り組みを行っており、それがこのメニューの開発の動機にもなったそうです。セージやバジルなど数種類のハーブを使用していますが、それらもお寺の家庭菜園で採れたものです。

また、「精進風」をキーワードにしているため、キーマカレーには挽き肉ではなく、大豆ミートを使用。細かい粒になっており、挽き肉と同じような食感と食べごたえがあります。味付けは季節ごとに変えているそうです。取材で訪れた日は夏仕様として、八丁味噌で濃厚なコクを出しながら、トマトも入れてさっぱりとした味に仕上げていました。

副菜も季節ごとに変わります。夏は小松菜と油揚げのおひたし、ズッキーニと玉ねぎのラタトゥイユ、ピーマンの胡麻和え……などです。高野豆腐の唐揚げは通年付いてきます。さっぱりしていますが、表面はカリッとしており、味もよく染みています。

付け合わせのスープは、副菜の野菜のくずでダシを取っています。そのため、これも副菜と同様、季節ごとに味が変わります。

プラス250円〜でセットドリンクも付けられます。今回は2025年6月5日からの新メニュー「自家製いちごジャムの豆乳ラッシー(税込400円)を注文しました。いちごジャムと豆乳ラッシーのそれぞれの甘酸っぱさが相まって、とても爽やかな味わいです。境内で育ったいちごを使用しているため、その年の収穫分が終わり次第、このメニューも終了になります。

「精進風キーマカレー」は仕込みから盛り付けまでを副住職がひとりで行っているため、1日15食限定です。公式LINEから予約できます。

 

<境内で育ったいちご 画像提供:PYRAMID CAFE & ROASTERY>

スパイスの効いたジンジャーエールとバスクチーズケーキ

自家製ジンジャーエール

<自家製ジンジャーエール>

 

14時のカフェタイムからは、カフェタイム限定のドリンクも提供。バリスタが自家焙煎のコーヒーで作るエスプレッソメニューの他、季節ごとのクラフトドリンクなどさまざまなドリンクを楽しめます。

「自家製ジンジャーエール(税込620円)」は、シナモン、クローブ、八角、ブラックペッパーなどたくさんのスパイスから作ったシロップを使用しています。仄かな甘味の中にそれらスパイスのパンチが効いており、そこにジンジャーの香りがふわりと優しく漂います。こちらは終日提供です。

 

<お寺の境内で育ったいちごの濃厚スムージー 画像提供:PYRAMID CAFE & ROASTERY>

 

「お寺の境内で育ったいちごの濃厚スムージー(税込750円)は、いちごをたっぷり使った濃厚スムージーに自家製のいちごジャムをトッピングしています。

 

<自家製いちごジャムの3層の京都宇治抹茶ラテ 画像提供:PYRAMID CAFE & ROASTERY>

 

「自家製いちごジャムの3層の京都宇治抹茶ラテ(税込750円)」は、スムージーにも使用している自家製いちごジャムと抹茶を合わせ、鮮やかな3層にしています。

上記2品はカフェタイム限定で、「自家製いちごジャムの豆乳ラッシー」と同じく、その年に収穫されたいちごが終わるまでの期間限定になります。

 

<スパイスバスクチーズケーキ>

 

「スパイスバスクチーズケーキ(税込690円)」は、東京・池袋の出店イベントで提供したところ、とても好評だったため、2025年6月5日から新メニューとして加えることにしたそうです。砂糖をジンジャーエールのシロップに置き換えて作っているため、濃厚な甘酸っぱさの中にスパイスが効いています。こちらは終日提供です。

カフェの店名の由来になった「石造千体不動等」

明王院本堂

<明王院本堂>

 

カフェでまったり過ごしたあとは、隣の「明王院」を参拝しました。

本堂には2体の不動明王が祀られています。「太平記」によると、元弘3(1333)年、新田義貞が鎌倉に攻め入るとき、このうちの1体の不動明王が山伏に化身し、たった一晩で越後方面の新田一族に挙兵を触れてまわったそうです。この伝説から、この本堂は「新田触不動尊(にったふれふどうそん)」と呼ばれるようになりました。

 

<石造千体不動塔>

 

境内には、「PYRAMID CAFE & ROASTERY」の店名の由来にもなった、高さ約6mのピラミッド型の「石造千体不動塔」もあります。建立されたのは延享4(1747)年です。その名のとおり、積み上げられた石に1,000体もの不動尊像が刻まれており、当時、不動尊信仰が非常に盛んであったことがわかります。

 

「PYRAMID CAFE & ROASTERY」の精進風キーマカレーとドリンクはどれも絶品で、のんびり癒しの時間を過ごすことができました。明王院の境内も散歩にうってつけです。なんでもない日にふらっと立ち寄りたくなるような、ほっこりスポットでした。

 

インフォメーション

PYRAMID CAFE & ROASTERY

住所:群馬県太田市安養寺町200-3

LINE:@pyramidcafe

Instagram:@pyramid_ota

営業日、営業時間は公式LINEやInstagramでご確認ください。

電話はありません。予約や問い合わせは公式LINEから受け付けています。

 

呑嶺山明王院安養寺

住所:群馬県太田市安養寺町200-1

 

小林ていじさん

小林ていじ

群馬県館林市出身のフリーライター。海外をふらふらと放浪するのが好きで、旅の記事をもっとも得意とする。現在は日本にいるが、また海外に出てずっと旅して暮らしたい。