桜満開の「七輿山古墳」とレトロな自販機が楽しい「ドライブイン七輿」 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

こぼれるように咲くソメイヨシノが魅力の「七興山(ななこしやま)古墳」
<Photo by Masaaki Muraoka>
今回私が七輿山古墳を訪れたのは4月上旬。タイミングよく、ほぼ満開の桜を拝むことができました!地元の方によれば例年3月最終週〜4月上旬に開花と満開を迎えるそうで、今回も例年通りのタイミングだったようです。
七輿山古墳の桜の特徴は、高さのある古墳の表面に連なるように咲いていること。墳丘の斜面に沿って桜の枝が伸びていて、どこを歩いていても足元から目線の高さまで桜で埋め尽くされたような光景を楽しめます。
<Photo by Masaaki Muraoka>
古墳の中腹では、静かに読書を楽しんでいる方も見かけました。
<Photo by Masaaki Muraoka>
私はレジャーシートを敷いて、遠くの山や田んぼを眺めながら約1時間まったり過ごしました。この日は風も気持ちよく、油断するとついウトウトしてしまうような心地の良い陽気。本当にいいタイミングで訪れることができたと思います。
七輿山古墳の歴史について
<Photo by Masaaki Muraoka>
国指定史跡である七輿山古墳は、6世紀前半に作られたとされる3段築成の前方後円墳です。3段階に分けて土が積まれ、形作られています。6世紀代の古墳としては東日本最大級のものだそうで、全長150m・高さ16mです。
初見では少し読みにくい「七輿山」という名前は、奈良時代にこの辺りを治めた羊太夫の伝説からきているそう。ある日、羊太夫は毎日朝廷に使者として派遣している家来にいたずらをし、その結果朝廷への連絡を怠ることになってしまいます。
謀反を計っていると誤解された羊太夫たちは城を追われ、現在七輿山古墳がある場所で落ち合い、女房たち7人はそこで自害することに。7人をそれぞれ輿に乗せて葬ったということから、「七輿山」となったそうです。
さらに、七輿山古墳には首なしの仏像が並ぶちょっと不思議なエリアも…。
<Photo by Masaaki Muraoka>
この仏像は「五百羅漢(ごひゃくらかん)」と言われ、よく見るとさまざまなポーズをとっている仏の従者たちです。椿の花びらが散り、周囲一面が真っ赤に染まって少し不気味な雰囲気でした。諸説あるものの、江戸時代の農民紛争で破壊されたものの可能性があるそうです。
少し怖いというか、ミステリアスというか、桜の名所としてただ美しいだけではない、七輿山古墳の新たな魅力を見た気がしました。
レトロな自販機とゲームコーナーが楽しい「ドライブイン七輿」
<Photo by Masaaki Muraoka>
一通り散策したら、腹ごしらえに向かいましょう。七輿山古墳から200mほどのところにあるドライブイン七輿では、レトロな自販機でうどんやチャーシューメン、ハンバーガーなどが購入できます。
<Photo by Masaaki Muraoka>
店内には自販機コーナーに加え、懐かしい雰囲気のゲームコーナーも。
<初めてのゲームはなかなか難しい Photo by Masaaki Muraoka>
かつてサラリーマンだった店主の木村さんが、営業活動中に同じ業態の店舗を見かけて、面白いと思ったことがきっかけで始めたのだそう。
「遠くから、楽しみにして来てくれるお客さんがいるから」とのことで、創業50年になる今も年中無休で頑張っています。
実食!1,000円以内でこんな豪遊も
<Photo by Masaaki Muraoka>
古墳を散策してお腹が空いていたので、気になる商品を全て購入。
<Photo by Masaaki Muraoka>
自家製チャーシューを使った「チャーシューメン」(350円)、毎日揚げる海老天がのった「天ぷらうどん」(350円)、そしてレトロな箱に収められた「ハンバーガー」(280円)の3商品です。
<Photo by Masaaki Muraoka>
最初に購入したのはチャーシューメン。自販機にお金を入れて、20秒ほど待つと出来上がります。待ち時間がカウントダウンされるのも楽しいですね。
天ぷらうどんも同様の要領で購入できます。
<Photo by Masaaki Muraoka>
<粗く刻んだ玉ねぎが入ったハンバーガーは想像以上のボリューム Photo by Masaaki Muraoka>
ドライブイン七輿の自販機は、どれも40年以上は活躍している大ベテラン。かつて残業続きでお腹を空かせた社員のためにメーカーが自社開発したものですが、現在は生産が終了しており、完全に故障してしまえば替えがきかないそう。
木村さんは毎日手入れをし、ときには修理しながら大切に使っています。
<自販機にうどんを補充する木村さん Photo by Masaaki Muraoka>
ほかにも店内では缶バッチやメモ帳など、ドライブイン七輿のオリジナルグッズも販売されていました。
<Photo by Masaaki Muraoka>
近隣にはもう一つの桜の名所「白石稲荷山古墳」や「藤岡歴史館」も
<Photo by Masaaki Muraoka>
お腹を満たしたら、徒歩約15分のところにある国指定史跡「白石稲荷山古墳」まで足を伸ばすのもおすすめです。
<Photo by Masaaki Muraoka>
桜の長い枝が地面近くまで垂れ、まるで桜のトンネルを歩いているようです。古墳の頂上近くまで登っていくと、遠くに赤城山や武尊山が見え、ちょっとした登山気分も味わえます。高いところから見る景色は気持ちがいいですね。
<Photo by Masaaki Muraoka>
この地域の歴史への理解を深めたい方は、近くにある藤岡歴史館にも足を運んでみてください。群馬HANI-1(はにわん)グランプリ でグランプリに輝いた「笑う埴輪」や、市内で発掘された土器・石器が展示されています。
毎年、一瞬で過ぎ去ってしまう桜の時期。桜の名所は県内にも多くありますが、ときには歴史とノスタルジーが感じられる春の散策を楽しむのはいかがでしょうか。
昭和を知る世代には懐かしく、当時を知らない世代には新鮮な発見が待っているはずです。
インフォメーション
七興山古墳
住所:群馬県藤岡市上落合
ドライブイン七興
住所:群馬県藤岡市上落合853
電話:0274-23-0951
営業時間:24時間
定休日:無休
白石稲荷山古墳
住所:群馬県藤岡市白石1365
藤岡歴史館
住所:群馬県藤岡市白石1291番地1
電話:0274-23-5997
開館時間:9:00〜17:00(最終入館は16:30)
休館日:年末年始(12月27日〜1月4日)、その他臨時休館
料金:常設展示室は無料、企画展示室は展示内容により有料となる場合があります

望月優衣