寒さを吹き飛ばす巨大焼きまんじゅう「上州焼き饅祭(まんさい)」  【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】 | 特集一覧 | 心にググっと観光ぐんま

寒さを吹き飛ばす巨大焼きまんじゅう「上州焼き饅祭(まんさい)」  【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

上州焼き饅祭(伊勢崎神社)

更新日: 2025年01月30日

上州焼き饅祭は、群馬県伊勢崎市に鎮座する伊勢崎神社で毎年1月11日に行われる、地域の伝統と信仰を象徴する祭りです。この祭りでは、新年の祈願や豊作、健康、商売繁盛を願い、直径55cm、重さ約5kgの巨大な焼きまんじゅうが奉納されます。この記事では、祭りの流れや神事の詳細、特別なコラボ御朱印の紹介、さらに筆者が実際に福分けされたこの巨大な焼きまんじゅうを味わった感想を通じて、上州焼き饅祭の魅力を多角的に探求します。

伊勢崎初市で開催される「上州焼き饅祭」

伊勢崎神社

伊勢崎初市は群馬県伊勢崎市において毎年1月11日に行われる伝統的な市場であり、明治20年からの長い歴史を有しています。この日は鏡開きの日でもあり、新年の初売りや地元産の達磨などが販売され、地域の活気を感じる貴重な機会となっています。この初市で名物なのが「上州焼き饅祭」です。

上州焼き饅祭は毎年1月11日の初市に併せて開催されていて、伊勢崎神社で行われる神事です。群馬県を代表するソウルフードである焼きまんじゅうに、その年の年男年女が願いを込めた文字を記入します。この儀式では、描いた文字に関してそれぞれが新年の抱負を述べ、新たな1年の希望をまんじゅうに込めます。その後、大きな串に刺して焼き上げ、参加者に無料で配布されます。焼きまんじゅうの配布は無くなり次第終了するため、早めに訪れることがおすすめです。

なお、焼きまんじゅうは通常のサイズとは異なり、なんと!直径約55cm、重さは約5kgにも及びます。これは一般的な焼きまんじゅうの約300倍の大きさに相当します。

 

1個で約100人分になるとのことです。焼かれる前のまんじゅうは、ずっしりとした重みを感じさせました。

 

お話を伺った禰宜の斎藤さんによれば、この神事は「焼きまんじゅうを用いて地域の活性化を図りたい」という願いから始まったそうです。地域で愛されている焼きまんじゅうを通じて、地域を盛り上げたいと考えた人々が立ち上げたのが上州焼き饅祭とのことです。この神事は長い歴史を持ち、毎年県内外から多くの参拝者が訪れるようです。非常にユニークで楽しい神事であるため、筆者は取材の日を心待ちにしていました。

伊勢崎神社ってこんな場所

伊勢崎神社(境内)

伊勢崎神社は群馬県伊勢崎市の商業エリアに位置し、アクセスが非常に便利です。電車で訪れる場合は、JR伊勢崎駅で下車し、南口から南へ約10分歩くと到着します。自家用車での訪問を考えている方は、近くの県道2号線沿いにある足利銀行伊勢崎支店を目印にすると良いでしょう。ただし、周辺の駐車場は限られているため、事前に確認が必要です。

 

この神社では、学問の神として知られる菅原道真命を祀っており、受験生が健康で万全の状態で試験に臨み、合格できるように合格祈願祭が行われています。

 

また、伊勢崎神社は豊かな収穫や食事を司る保食神(うけもちのかみ)を中心に、地域の信仰を集める重要な場所とされています。特に注目すべきは、拝殿の入口上部に掲げられた木製のプロペラで、これは戦時中に中島飛行機(現在のSUBARU)の社員によって奉納されたものです。

 

「渡航安全・航空安全」を祈願して奉納されたこのプロペラは、今も神社の象徴として信仰の対象となり、旅の安全を願うお守りにもデザインされています。

伝統的な神事に潜入

伊勢崎神社(神事)

巨大なまんじゅうをお供えし、宮司が祝詞を奏上

 

上州焼き饅祭は、伊勢崎神社で行われる伝統的な神事で、参拝に訪れた皆様が1年健やかに暮らせるよう祈願が行われます。まず「福饅神事」が始まり、巨大なまんじゅうをお供えして宮司が祝詞を奏上します。本来、一般には非公開である福饅神事の模様を見させて頂きました。

続いて巫女が「お鈴の儀」でまんじゅうに願いを込め、年男年女が「願い文字の儀」で文字を書き入れます。この儀式では、描いた文字に関してそれぞれが新年の抱負を述べ、新たな一年の希望をまんじゅうに込めます。その後、「串打ちの儀」で4つのまんじゅうを串に刺し、焼き入れが行われます。次に味噌ダレを塗り、手締め三本、そして「福分け」へと進みます。この神事の流れを時系列に沿って写真で紹介していきます。

 

「福饅神事」 

宮司が「皆様の幸福がこのまんじゅうのように大きく膨らみますように」と祝詞を奏上する神事

 

神事終了後、まんじゅうや道具を外に運び出し拝殿前に設営

 

「鈴振りの儀」

巫女役の「観光特使ひまわり」の3人が御鈴にて、まんじゅうに御神徳を授けます。

 

「願い文字の儀」 

写真奥から24歳、36歳、48歳、60歳の年男年女が一列に並び、まんじゅうに一文字ずつ、本年の抱負やお願い事を込めて食紅にて書き入れます。

 

今年の文字は「健・壱・笑・転」

 

「串打ちの儀~焼き入れ」

4つの大きなまんじゅうに長さ3メートルの大串を刺してひとつの大きな焼きまんじゅうの形にする儀式です。

 

伊勢崎商工会議所青年部のメンバーが、金網を用いてまんじゅうを焼く際に重要な役割を果たしています。金網で上下からしっかりと挟み込み、巨大な串に刺したまんじゅうを炭火の上に配置します。

 

巫女が大きな刷毛で味噌ダレを塗る姿は毎年恒例の見せ場で、多くのカメラマンがシャッターを切っていました。

 

串に刺したまんじゅうを炭火で焼く様子は、香ばしい香りと共に進行し、参加者の願いを天に届けるようでした。

 

こんがりと焼き上がったようです!香ばしい香りがたまりません。

 

手締め三本の後は「福分け」

焼き上がった大きなまんじゅうが切り分けられ、合計で2回焼かれた約1000人分が参拝者に配られました。

(焼きまんじゅう配布は無くなり次第終了)

筆者も福分けの焼きまんじゅうを食べてみた

焼きまんじゅう(福分け)

「福分け」される焼きまんじゅう

巨大なまんじゅうである為、切るのがとても大変そうでした。

 

今年の上州焼き饅祭での福分けは、例年以上の盛況ぶりで、配布された焼きまんじゅうが非常に好評でした。祭りのメインとも言えるこの福分けの時間には、多くの参拝者が一斉に集まり、焼きまんじゅうを求めて殺到しました。用意された1000人分の焼きまんじゅうは、その人気の高さからあっという間に完売し、追加の準備が間に合わないほどの賑わいとなりました。

 

参拝者に無料で配られた焼きまんじゅう。こんがりと焼き上がっています。

 

味噌をたっぷり塗ってもらった参拝者は嬉しそうでした。

 

実は、筆者も福分けされた焼きまんじゅうを味わう機会に恵まれました。最初に感じたのは、焼きまんじゅうから漂う香ばしい香り。炭火で丁寧に焼かれており、その香りが食欲を刺激しました。一口噛むと食感が口の中に広がり、その後に甘じょっぱい味がやってきます。甘さと塩味が絶妙に調和しており、ふんわりとした柔らかさが際立っていました。

上州焼き饅祭をモチーフにしたコラボ御朱印

御朱印(コラボレーション)

社務所で頒布されているコラボレーション御朱印をいただきました。書き置きなので自分のタイミングで御朱印帳に貼ることができます。

 

伊勢崎神社では、「上州神玉七社巡拝御朱印」として、美術作家の佐々木茜さんとのコラボレーションによる御朱印を頒布しています。この御朱印のデザインは、上州焼き饅祭の巫女が大きな刷毛で味噌ダレを塗る姿を描いており、非常に人気があります。佐々木茜さんは群馬県出身であり、地元の方々と協力して地域を活性化させたいという思いから選ばれたとのことです。

 

さらに、この御朱印は群馬県内にある7社の御朱印を集めてつなげることで、まるで絵巻物のような形になるそうです。御朱印のスタンプラリーのような取り組みは、集める楽しさを提供しています。

 

「上州神玉七社巡拝御朱印」の完成図

御朱印の背景には上毛三山(赤城山・榛名山・妙義山)がデザインされていて

7つ揃えると1つの絵(巻物)として完成します。(写真提供:伊勢崎神社 禰宜 斎藤様)

 

焼きまんじゅうの大きさも通常のまんじゅうとは比べ物にならないほど大きく、そのボリューム感も祭りの華やかさを象徴していました。新年の希望を込めたこの焼きまんじゅうは、その甘じょっぱい美味しさと共に、参加者一人ひとりにとって特別な一年の始まりを感じさせるようでした。このような楽しい神事に参加できたことを嬉しく思い、来年も是非訪れたいと思いました。

 

インフォメーション

伊勢崎神社

住所:群馬県伊勢崎市本町21-1
電話:0270-25-0542
社務所受付時間:4月~9月9:00~17:00 10月~3月9:00~16:30
御祈願受付時間:社務終了30分前まで
社務休日:仏滅 ※仏滅の日は参拝はできますが、授与品の頒布や御祈願は行えません。
アクセス:(電車)JR/東武鉄道、伊勢崎駅より徒歩10分
(車)関越自動車道 本庄児玉ICより約25分、北関東自動車道 駒形ICまたは伊勢崎ICより約15分
(バス)十王自動車バス、本町二番バス停下車 徒歩すぐ

ホームページ:http://www.isesaki.or.jp/

 

ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)

タマル

「タマルのぐん旅」という個人ブログを運営。群馬県内のお気に入りスポットやお店を旅行記として紹介しています。筆者は群馬県の豊かな自然や温泉をこよなく愛し、特に伊香保温泉の情緒あふれる石段街の散策が趣味です。スポーツでは、ロードバイクを使って「榛名山ヒルクライムin高崎」や「まえばし赤城山ヒルクライム大会」に参加しています。