東京スカイツリーと同じ高さに広がる別世界『初越(はつごえ)のこみち』 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
想い出の土地から始まった、地元有志が管理する田園風景がそのままの穴場散策道
みなかみ町、たくみの里最北部に位置する『初越のこみち』は、徒歩10分程の田園風景がそのまま残る、穴場の散策道である。この散策道は、阿部富子(あべとみこ)さんが副代表を務めている「しあわせユニット初越風の掲示板」というグループで管理している。代表は田村奈緒美(たむらなおみ)さんという沼田市の方で、メンバーはみなかみ町をはじめ利根・沼田地域の方々で構成されている。『初越のこみち』がある場所は、富子さんのご自宅の敷地を含み、昔から地元民や詩人から愛されている農村エリアである。富子さんのご主人が2014年に亡くなり、何とかご主人との思い出の土地を守ろうとしたのを、周囲の方が助けてくれて散策道となった経緯がある。また、短歌の先生や踊りの先生が訪れては「この里山は貴重だ」と言ってくれるのも、富子さんの励みになっている。
昔ながらの田園風景を着物で歩くとタイムスリップした感覚にもなります
雪解けから動植物の芽吹き、生命活動が始まる4〜5月
3月中旬ごろ、『初越のこみち』と書かれた看板に誘われて散策道へ足を進めると、棚田には沢が流れ、足元にはネモフィラやふきのとう、こごみ、水仙、水芭蕉が出迎えてくれ、春への季節の移ろいを感じさせてくれた。これらは4〜5月にかけて新芽が更に芽吹き、うららかな日差しを浴びては花々が咲き誇り、一気に生命活動を開始する。幾度か訪れている私は、この散策道の生命活動を開始する様に大自然のパワーを感じ、リフレッシュしながら生きる活力を頂いている。
梅や桜、水仙などの草花が一気に咲き誇ります
想いを風の掲示板へ乗せて
4月から11月の間は、『初越のこみち』の入口にある木の椅子やテーブルが用意された休憩スペースに、木札とペンが用意されている。散策で感じたままを歌や願い事として綴る事ができ、その木札を吊し風に吹かせて想いを乗せる「風の掲示板」という体験ができる。小鳥のさえずりや沢の音に包まれながら、のんびりと感じたままの想いを記念に綴ってみてはどうか。
風の掲示板に感じたままを綴る
私の1番おすすめの季節は “春”
『初越のこみち』に定期的に訪れている私が、中でも一番おすすめする季節は5月である。360度に広がる大自然のパノラマからは、うぐいすを始めとする小鳥のさえずりや木々の葉のこすれる心地のいい風の音、山の雪解け水が流れ出す沢の音など、柔らかな日差しと自然の音響に包まれて、思わず深呼吸をしてしまう。深く息を吸い込むと、大自然からのエネルギーや酸素が全身に行き渡るのを感じる。その他の季節も、10月下旬の紅葉や冬の凛とした静けさといった、まさに日本の四季の良さを体感する事ができる散策道である。
春の心地よさは四季の中でも一番
紅葉の時期も風情があります
春が来るのを待つ初越のこみち
富子さんに聞く、『初越のこみち』の楽しみ方
今回私は、『初越のこみち』を管理されている方々の中から代表して、一番近くで管理されている富子さんに、この散策道の楽しみ方を伺ってみた。
「この場所を訪れた人が短歌を詠み、掲示板に記録を遺せるように、木札やペンを用意しています。観光客や短歌の仲間が訪れた際には、短歌を書いて想いを掛けていけるようにしています。時には音楽イベントやお茶会も催され、ここ数年はたくみの里のわらアートとコラボした、わら細工アートが初越のこみちに展示されています。誰もが気軽にここを訪れて、自然を舞台に遊んでほしいと思っております。特に小さなお子様は、ここに来ると目をキラキラさせながら動き回るので、これからもたくさんの子ども達に来てほしいですね」と語ってくれた。
初越のこみちについて語る
まとめ
「貴重な田園風景を残したい」、その地元愛から作られた穴場散策道『初越のこみち』。四季折々のパノラマと季節のイベントを楽しみながら、大自然からパワーをもらえる小さな散策道で、小鳥のさえずりや沢の音に包まれながら、のんびりと感じたままを木札に綴ってみてはどうか。
インフォメーション
『初越のこみち』
住所:群馬県利根郡みなかみ町須川1584
定休日:無し
料金:無料
岡村竜輝