まるで桃源郷。国内最大級のミツマタ群生地で甘い香りに包まれる【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

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更新日: 2024年04月02日

群馬県の魅力をぐんま観光県民ライター(ぐん記者)がお伝えします!」

桐生川の上流、屋敷山の麓に広がる「ミツマタ群生地」。3月中旬から4月上旬にかけて黄色い花が咲き誇れば、辺りはほんのり甘い香りに包まれ幻想的な景色が広がります。2丁(約6,000坪、公式サッカーコート2面分)もの広大な面積で、自生地としては国内最大級で、黄色と白の可愛らしい花と甘い香りが楽しめます。

なぜ山奥に屋敷が?かつて日本の一大産業を支えた梅田町

桐生市梅田町。自然が多く残るこの町には、隣接する栃木県との境に標高1,000m超の山々がそびえます。この山域で採掘された石灰は、索道や馬車で栃木県足尾町の足尾銅山に搬出され酸性の排水を中和する材料として使われ始めました。

元々あった集落に沢山の関係者が訪れる様になり、まだ一般的ではなかった電力を確保する為に巨大な発電機を海外から輸入したことで更なる発展を遂げます。

石灰で財を成した人々の邸宅や、旅館などの関連施設が立ち並んだことから「屋敷山」と呼ばれる様になりました。

ミツマタ群生地までの道のりと注意点

ミツマタ群生地は桐生市北部にあります。

JR桐生駅から約14km離れた梅田ふるさとセンターまではバスで行けますが、ミツマタ群生地はそこから更に8kmあります。ふるさとセンターから向こうにはトイレはありません。ここで準備をすると良いでしょう。

ふるさとセンターは地元レストランが中心の指定管理者に変わり、令和6年4月にリニューアルオープン。愛され続けたこだわりのそばをはじめ、メニューも増えるそうです。桐生の地場産品が並ぶ店内は立ち寄る価値があります。

水清らかな桐生川を沿うように走る県道337号線は道幅の狭い個所があるので、自動車などで来られる場合、運転には充分注意しましょう。

県道の突き当り、林道三境線との分岐点には根本山登山口駐車場があります。それほど広くはないので登山者と譲り合って利用しましょう。

リニューアルオープンした梅田ふるさと

ふるさとセンターのトイレ

桐生川の清らかなせせらぎ

すれちがい困難な箇所や、倒木・落石などに注意

両道脇に駐車スペースが設けられた登山口駐車場

「梅田の地をもっと活性化したい!」ミツマタ群生地 守る会の奮闘

ミツマタ群生地のある屋敷山は、個人所有の山です。所有者の許可を得た「ミツマタ群生地守る会」が食害を受けた杉や雑木の間伐などをするうちに、ほんの数本だった株がここまで広がったそうです。

行政などからの支援は一切受けず「訪れる人が喜んでくれれば」と言う心根のもと、遊歩道整備や看板の設置など必要な材料や労力は全て守る会の負担で賄われています。訪れる際はマナーの遵守やゴミを出さないことを心がけましょう。

屋敷山ミツマタ群生地案内マップ(PDF)

https://www.g21design.com/images/yashikiyamamitumata_map_WEB.pdf

看板や歩道の整備は全て守る会によるボランティア

群生地までの道は急勾配の為、一般車両の進入禁止

訪れる人が散策しやすい環境整備をしています

 

これが関東最大級、屋敷山のミツマタ群生地

3月中旬から4月上旬にかけて、春の訪れを知らせるかの様にミツマタは開花します。

黄色い頭花、白い毛で覆われた萼筒(がくとう)で、沢山の花が球状に集まり、うつむくように咲くのが特徴です。下から見れば黄色、上から見れば白が多めに見られます。

屋敷山のミツマタは斜面に群生しているので、遊歩道を使えば様々な角度から表情が楽しめるでしょう。

見るだけでなく、その香りを楽しむのも現地を訪れた人だけの特権です。ほのかな甘い香りは虫だけでなく、人間も引き寄せられ鼻を近づけてしまうでしょう。

ミツマタの繊維質の樹皮は強度が高く、和紙や紙幣などに使われていました。この桐生の地でも紙の生産をしていたそうです。

広大なミツマタ群生地

上から見ると白っぽく見える

斜面を覆いつくすミツマタ

甘い香りが漂い幻想的な雰囲気

ミツマタだけじゃもったいない!付近には楽しみ所がいっぱい

駐車場のある登山口からはぐんま百名山にも数えられる「根本山」へのルートがあり、根本山瑞雲倶楽部の手によって整備されています。江戸時代後半に最盛を誇った「根本山神講」。現在でも根本沢コースには当時の鉄製の鎖や梯子、近年再発見された丁石などが残っています。中尾根コースでは毎年遭難事故が多発しているので、登山届は必ず提出しましょう。根本山登山とミツマタ鑑賞を組み合わせる人も多い様です。

その昔、梅田の地でしか流通しなかった幻のお茶「梅田茶」を次世代に受け継いでいこうと、梅田茶生産組合が事業を展開しています。希少な梅田茶を都内大手百貨店の祭事に出展すると大きな反響を得、近年「知る人ぞ知るお茶」として知名度を上げています。組合に参加する合同会社バリュー・フォレストでは梅田茶の他、自然豊かな梅田に残る文化の継承・発展に貢献しています。

梅田茶生産組合の梅田茶は梅田町でアウトドア関連の商品も取り扱う田中商店と、新桐生駅構内にある桐生ブランド品を扱うThink桐生にて購入可能です。

根本山神講の遺構が残る登山道

男坂に残る鉄梯子

当時設置されたと思われる鎖

根本山神社本社内には見事な彫刻

まとめ

ここ数年で屋敷山のミツマタ群生地は知名度が上がってきました。この裏には「屋敷山ミツマタ群生地 守る会」の地道な努力がありました。他にも様々な観光資源を活用して、より魅力ある街づくりを進める梅田町。今後の動向に注目です。

インフォメーション

梅田ふるさとセンター

住所:群馬県桐生市梅田町5丁目7568番地の1

電話:0277ー32-1100

営業時間:9:00~17:00

定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月4日)

 

合同会社 バリュー・フォレスト

住所:群馬県桐生市梅田町5-550

電話、営業時間、定休日などはホームページで確認

https://value-forest.com/

 

田中商店

住所:群馬県桐生市梅田町4丁目324-1

電話:0277-47-7808

営業時間:9:00~18:00

定休日:火曜日、水曜日

 

Think桐生

住所:桐生市広沢町二丁目2990-4(東武鉄道新桐生駅待合室内)

営業時間:7:00~19:00

定休日:無休

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ちぃ

産まれてずっと群馬県内在住の映像クリエイター。趣味は登山、キャンプ、遺構巡りなど。自然と戯れたり美しいモノを見たり感動する事が好き。アルプス登山や縦走、テント泊にもチャレンジしたい。