車いすでも旅をあきらめないで 「渋川・伊香保温泉バリアフリーマップ」

バリアフリー

更新日: 2023年11月01日

■伊香保温泉のシンボル・365段の石段

 

400年を超える歴史を誇る伊香保温泉は、群馬県を代表する温泉地。そのシンボル的存在が空に向かって真っ直ぐに伸びるように続く365段の石段です。石段を挟んでカフェや土産物屋、遊技場などがずらりと建ち並ぶ様子は温泉情緒たっぷり。階段を上り下りしながら、食べ歩きをしたりお土産を探したり。散策を楽しむ多くの人で賑わいます。

しかし、車いすユーザーや足腰に不安がある人にとってはこの「石段」が移動のネックとなり、足が遠のいてしまいがち。でもあきらめないで! 障害の有無に関わらず伊香保温泉街を散策できるようにと作製された「渋川・伊香保温泉バリアフリーマップ」があります。

 

(伊香保石段街:渋川伊香保温泉観光協会提供)

 

■誰もがあきらめない観光地を目指して

 

伊香保温泉のある渋川市は、令和元年10月、すべての人が分け隔てなく安心して暮らせるまちづくりを推進する「共生社会ホストタウン」に登録。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、石段街が聖火リレーの出発地になりました。オリパラ事業の一環として作られたのが、「渋川・伊香保温泉バリアフリーマップ」です。

作製にあたっては車いすユーザーが立ち上げた任意団体「DET群馬」に協力を依頼。介助者と共に車いすで温泉街を巡り、石段を迂回して観光スポットに向かう坂の傾斜、トイレの出入り口の幅や段差など綿密な調査を行いました。

20219月に第一版を発行。マップを利用した人から集まった声を反映し修正を加えた改訂版を20233月に発行しています。

マップには坂の勾配角度をはじめ、多機能トイレや駐車場の位置などが細かく記されています。古くからの温泉街であるが故に、舗装されていない道や12度以上の急勾配が点在しているので、安全のために介助者の同行がおすすめです。12度の勾配は高校生が自転車を押すことも難しく、車いすであればたくましい介助者が必要となります。車いすの種類や介助者の体力によっては行くのが難しい箇所もあるので慎重に判断し、自分でコースを選んで散策を楽しみましょう。

 

(現地調査の様子:DET群馬提供)

 

■車いすで巡る伊香保の観光名所

 

地図には伊香保温泉の魅力に触れられる3つの参考ルートが掲載されています。例えば、紅葉の名所としても知られる「河鹿橋(かじかばし)」や石段街の頂上にある「伊香保神社」を巡るコース。多目的トイレのある河鹿橋駐車場をスタート。河鹿橋は段差があるため車いすで渡るのは困難ですが、少し上方にある「紅葉橋」が絶好の鑑賞スポットです。春には新緑、秋には紅葉が朱色の橋を彩り、素晴らしい景色を堪能できます。源泉「黄金の湯」を飲むことができる「伊香保飲泉所」に立ち寄り、温泉と医学の神様を祀る「伊香保神社」へ。緩やかな坂を600mほど下り、70mほどの急勾配を登ると社殿の裏にある駐車場に到着。段差無く、拝殿まで行くことができます。

他にも石段街中腹に向かうルート、石段街の一番下からハワイ王国公使別邸に向かうルートがあります。それぞれのルートについている二次元コードを読み取れば、車いす使用者目線で撮影された動画を見ることができるので、コース選びの参考にしてください。

バリアフリーマップは伊香保温泉街の入り口にある「伊香保温泉ビジターセンター」や、石段街下待合所の観光情報コーナーなどで入手できます。事前に情報を確認しておきたい人は、渋川市のHPからダウンロード可能。市役所に電話をすれば、郵送もしてくれます。

 

*渋川市HP

https://www.city.shibukawa.lg.jp/kurashi/kyouseisyakai/kokoronobariahuri/p008884.html

 

(紅葉に彩られた河鹿橋:渋川伊香保温泉観光協会提供)

(車いすで伊香保神社を参拝:DET群馬提供)

 

 ■心のバリアをとりはらおう

 

 伊香保温泉の風情のある街並みを守りつつ、更なるバリアフリー化に向けてハード面を整備するのには多大な費用と時間が掛かります。渋川市では環境整備と並行し「心のバリアフリー」の取り組みを進めています。

障害者や高齢者がどんなことに不便を感じるのかを理解し、解決に向けて行動できるよう、障害のある方を講師に招いた研修やセミナーを実施。令和59月には災害が発生した時に障害者や高齢者にどんな配慮や支援が必要となるかを学ぶ「要配慮者と考える温泉防災EXPO in 伊香保」が開催されました。

バリアフリー化に力を入れる旅館も増えてきており、伊香保温泉観光協会に相談すれば、要望にあった旅館を案内してくれます。

伊香保だけでなく、群馬県では誰もが気兼ねなく参加できる旅行「ユニバーサルツーリズム」の推進に力を入れており、県内の宿泊・観光施設のユニバーサルーリズム対応状況などの情報を集約した「ぐんまユニバーサルツーリズム相談窓口」を開設しています。電話・メールでお気軽にご相談ください。

 

「ぐんまユニバーサルツーリズム相談窓口」

相談対応時間:平日9時〜17

電話:0278972975

メール:universal-tourismpref.gunma.lg.jp