群馬の夏を彩る伝統 尾島ねぷたまつり 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

尾島ねぷたまつり

更新日: 2025年10月03日

群馬県太田市で毎年8月に開催される「尾島ねぷたまつり」は、青森県弘前市との歴史的つながりから生まれた夏の風物詩です。勇壮な扇ねぷたが武者絵を輝かせ、「ヤーヤドー」の掛け声とねぷた囃子の大合奏が夜を彩ります。40年の歴史が息づく太田のお祭りを詳しくレポートします。

40周年!尾島ねぷたの歴史と掛け声

尾島ねぷた

尾島ねぷたまつりは、青森県弘前市との歴史から生まれています。江戸時代、津軽藩初代藩主・津軽為信は豊臣秀吉から津軽の領地を認められ、力を蓄えました。その後、1600年の関ヶ原の戦いで徳川家康に味方し、大垣城(岐阜県)を攻める功績を上げました。

この功により、群馬の土地を新たに与えられ、尾島の地域もその一部となり、尾島の大館には津軽藩の役人が暮らすようになり、津軽藩三代藩主・信義はこの地で生まれました。この歴史的つながりを背景に、1985年に弘前市と尾島が友好交流を再開。翌1986年から弘前のねぷた文化を取り入れ、祭りが始まりました。

2025年で40周年を迎えるこの祭りは、太田市尾島の夏の風物詩として、今年度は約15万人が訪れました。高さ7mの扇ねぷた約10台が、勇壮な武者絵を輝かせ、「ヤーヤドー」の掛け声とともに尾島商店街大通りを練り歩きます。この掛け声は弘前ねぷたに由来し、昔の「ねぷた歌」で使われた「いやいやいやよ」というフレーズが転じたという説があるようです(諸説あります)。

お祭りでは笛や太鼓のねぷた囃子が響き合い、歴史の絆を感じながら、勇壮なねぷたに心奪われます。次は、会場へのアクセスと祭りの準備をご紹介します。

初めての方へ!アクセスガイド

シャトルバス

筆者は東武鉄道伊勢崎線木崎駅に到着後、無料シャトルバスで会場へ向かいました。16:30から22:00の間で木崎駅と道の駅おおた・尾島庁舎から随時運行。数分で会場に着く便利さがよいのでシャトルバスは初めての方にもおすすめです。

会場に着き、無料観覧席に座ってから、屋台でじゃがバターを注文しました。ほくほくの味わいを楽しみながら、遠くに武者絵のねぷたが見え、祭りの雰囲気が高まります。

 

 

屋台の賑わいと香りが会場を盛り上げ、ねぷた運行への期待が膨らみます。観覧席は子どもや高齢者もゆったり楽しめる設計で、家族連れにも人気です。

会場は多くの人で賑わい、県外からもアクセスしやすい立地です。県外から車でお越しの方は、北関東自動車道伊勢崎ICから約30分、東北自動車道館林ICや関越自動車道花園ICからは約45分で到着します。県道142号線周辺は17:00から22:00に交通規制があるのでご注意ください。

祭りの熱気が感じられる中、腹ごしらえを終えてオープニング式典を待ちます。

祭りを盛り上げるオープニング式典

オープニング式典

<式典で祭りの幕開けを祝います>

 

屋台の賑わいから、オープニング式典が始まります。尾島商店街大通りで開かれる式典は、太田市長の挨拶と実行委員会の紹介で幕を開けます。2025年の40周年を祝う弘前市からの七夕会のお囃子団体が加わり、太鼓と笛の音が響き合い、みんなが一つになって祭りの熱気がぐんぐん高まります。

 

<「ヤーヤドー」の掛け声が響きます>

 

「ヤーヤドー」の掛け声が会場に響き、合計15団体の参加が祭りの盛り上がりを伝え、ねぷた運行への期待が膨らみます。尾島と弘前の絆を感じる瞬間です。さあ、次は初日の夜を彩るねぷた運行の魅力をお届けします!

初日の夜を彩る勇壮なねぷた運行

ねぷた運行

<14日の夜を彩る勇壮なねぷた運行>

 

式典の熱気が冷めやらぬ中、尾島商店街大通りでねぷた運行が始まります。高さ7mの扇ねぷたが練り歩き、「ヤーヤドー」の掛け声が響きます。実行委員会や市民ねぷた会など2日間で合計15団体が参加し、笛や太鼓の囃子が夜を彩ります。

扇ねぷたは一つ一つが芸術品で、正面の「鏡絵」には、三国志や水滸伝の英雄が戦う勇壮な武者絵が描かれ、力強い姿が目を引きます。

 

<ねぷた正面 鏡絵>

 

一方、裏面中央の「見送り絵」は、美しい女性の姿が優雅に描かれ、蔦模様や雲の額縁が彩る静かな世界。どの角度から見ても目を奪われます。

 

<ねぷた背面 見送り絵>

 

※ 引用元:弘前ねぷた参加団体協議会「弘前ねぷた保存基準」「ねぷたの製作」、https://www.hirosaki-neputa.com/

筆者が訪れた14日の運行では、各団体の正面「鏡絵」を撮影しました。写真でその魅力をお見せします。

 

<尾島ねぷたまつり実行委員会>

鏡絵:三国志 関羽の千里行(さんごくし かんうのせんりこう)

 

<尾島ねぷた太鼓会>

 

<太田市民ねぷた会>

鏡絵:三国志 孫夫人勇戦の図(さんごくし そんふじんゆうせんのず)

 

<上州ねぷた会>

鏡絵:牡丹灯篭お礼はがし(ぼたんとうろうおれいはがし)

 

<イオンモール太田>

鏡絵:川中島の戦い(かわなかじまのたたかい)

 

<FC尾島ジュニア>

鏡絵:イナズマイレブン

 

<尾島剣道部>

鏡絵:新田義興(にったよしおき)

 

<ぐんまみらい信用組合 尾島支店>

鏡絵:花和尚奮闘の図(かおしょうふんせんのず)

 

<タカラデンキ>

鏡絵:三国志 孫夫人 勇戦の図(さんごくし そんふじん ゆうせんのず)

 

<Way to the dream 道の駅おおた>

鏡絵:三国志 関羽 奮戦之図(さんごくし かんう ふんせんのず)

 

武者絵を見ているとその迫力に圧倒され、まるで歴史上の英雄が目の前に現れたようでした。そして、筆者が「鏡絵」を撮影していると、各地点でねぷたが左右に回転する様子を見ることができました。各団体で扇ねぷたを回転させるパフォーマンスにより、会場はより一層の盛り上がりを見せました。

 

<尾島ねぷたまつり実行委員会のねぷたが左右に回転します>

 

<回転する様子はSNS映えするのでおすすめです>

 

ねぷたが回転すると、観客の歓声が響きます。スマホで動画撮影するなど楽しんでいる様子でした。さあ、次は太鼓の魅力をお届けします!

太田に力強い太鼓が響く

ねぷた囃子

尾島ねぷたまつりでは、「ねぷた囃子」と呼ばれる笛、太鼓、鉦の元気なリズムが夜を彩ります。武者絵の迫力に目を奪われながらも、筆者は太鼓の囃子方にも注目しました。今回は尾島ねぷた太鼓会から順番に撮影し、太鼓の轟く瞬間を捉えました。

 

<尾島ねぷた太鼓会>

 

尾島ねぷた太鼓会は、高さ3mの巨大な大太鼓に囃子方が乗り、規格外ともいわれる長さ90cmのバチで叩きます。そして、驚くのは大太鼓だけじゃありません。そのバチの長さから生まれる大迫力の音で会場を盛り上げます。

 

<太鼓と扇ねぷたが重なる瞬間を激写>

 

<囃子方がバチを振り上げ、武者絵が輝きます>

 

続いて、太田市民ねぷた会では、男性の囃子方の迫力ある叩き方が際立ち、力強い音が商店街に響きます。

 

<太田市民ねぷた会>

 

<男性の囃子方が豪快に太鼓を叩く>

 

さらに、上州ねぷた会では、五連太鼓と後方の太鼓が響き合います。男性の囃子方のバチさばきは目にも止まらぬ速さで、筆者のシャッターも追いつきません。

 

<上州ねぷた会>

 

女性の囃子方は回転する5連太鼓の台座に乗り、華麗にリズムを刻みます。

 

<台座が回転する五連太鼓。囃子方の背筋が伸びていて綺麗です>

 

<後ろから撮影しても迫力のある写真が撮れます>

 

14日の夜のフィナーレでは、尾島交差点に全参加団体が集まり「ねぷた囃子の大合奏」が繰り広げられました。この日はアンコールが巻き起こり、各団体と観客で大賑わいでした。

 

<尾島ねぷたまつりのフィナーレの盛り上がり>

 

<笑顔で挨拶する囃子方>

 

<タカラデンキ等の扇ねぷた。囃子方の勇壮な姿をスマホにおさめます>

 

<囃子方が優美に太鼓を奏でる>

 

弘前では見られない尾島独自のこの大合奏は、祭りのハイライトとして観客を魅了します。尾島ねぷたまつりの熱気と絆が、心に残る一夜となりました。

 

尾島ねぷたまつりは、7mの扇ねぷたが提灯の光で輝き、武者絵の英雄がカッコよく夜空に浮かびます!勇壮な姿に目を奪われ、幻想的な雰囲気に心が震えます。太鼓の響きも彩りを添え、無我夢中でシャッターを切りました。この武者絵の迫力と神秘的な美しさに、筆者はすっかり魅了されました。この幻想的な雰囲気を是非体験してみてください!

 

インフォメーション

尾島ねぷたまつり

住所:群馬県太田市尾島町(尾島商店街大通り、県道142号線)
電話:0276-47-1833(太田市観光交流課)
開催日:例年8月14日・15日

 

タマル

タマル

群馬の魅力を発信する「タマルのぐん旅」ブログを運営。旅形式で県内の秘境や温泉、隠れた名店などを綴っています。趣味は、県内の温泉巡りと地元グルメの食べ歩き。ロードバイクで挑む「榛名山ヒルクライム」や「碓氷峠ヒルクライム」で群馬の魅力ある自然を体感しています。