老神温泉の伝説を訪ねて~湯元華亭で日帰り癒し旅 後編 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

老神温泉の伝説と名前の由来
老神温泉は、群馬県沼田市に位置する温泉地で、古くから神秘的な開湯伝説が語り継がれています。伝説によれば、上野国赤城山の神が大蛇(だいじゃ)に、下野国二荒山の神が大百足(むかで)に化身し、日光の戦場ヶ原で神域をかけた激しい戦いを繰り広げました。
戦いの最中、赤城山の神は敵の攻撃を受けて深手を負い、苦しみながら麓まで逃げてきました。そこで力を振り絞り、刺さった矢を引き抜いて地面に突き刺すと、驚くことにその場所から熱い温泉が湧き出したのです。この湯に浸かり傷を癒した赤城山の神は力を取り戻し、ついに敵を追い払うことに成功しました。この出来事から、「追い神(おいがみ)」という名前が生まれ、やがて「老神温泉」と呼ばれるようになったと言われています。
さらに、もう一つの言い伝えもあります。敵を追い返した後、赤城山の神はこの温泉の心地よさに感動し、「年老いてもずっと入りたい」と願ったそうです。そこで、老人の「老」と神様の「神」を組み合わせ、「老神温泉」と名付けたとも伝えられています。筆者もずっと気になっていたこの名前の由来は、観光客の間でもよく話題に上る質問だそうです。歴史が詰まったこの伝説を知ると、老神温泉への興味がさらに深まります。
湯元華亭ってどんな場所?
前編で大蛇みこしの堂々とした姿や、ひな人形の色鮮やかな飾りつけをじっくり見ていたら、あっという間に時間が過ぎ、歩き回った体を温泉で癒したくなりました。そこで、久しぶりに温泉でリフレッシュしようと思い、日帰りで「湯元華亭」を訪れることにしました。到着すると、支配人の梅澤さんがにこやかな笑顔で温かく迎えてくれました。その優しい対応に緊張もほぐれ、すぐにリラックスした気分になれました。
湯元華亭は、片品渓谷沿いに静かに佇む「日帰り温泉施設」で、老神温泉の魅力を気軽に味わえる場所です。平成8年に開店して以来、地元の大蛇みこしなどのイベントに積極的に参加し、地域の人々にも親しまれてきました。
支配人の梅澤さんのお話によると、ここでは自家源泉の老神温泉2号泉を使用しており、泉質は単純硫黄温泉で弱アルカリ性です。老神温泉のお湯は肌に優しく、肌をなめらかにする効能から「美人の湯」、そして傷を癒す力があることから「傷治の湯」と呼ばれているそうです。自然に囲まれた環境で、こうした特別なお湯に浸かれるなんて、贅沢なリラックスタイムが待っていると期待が高まります。
<1階フロント・売店>
スタッフの皆さんが笑顔で出迎えてくれます
<地下1階 湯階>
左手が谷の湯、右手が滝の湯
お風呂は「谷の湯」と「滝の湯」の2エリアに分かれ、合計7つの浴槽があります。通常は2週間に1回男女の浴場を入れ替えていますが、例外として、バスツアー時は「谷の湯」を女性用にしています。
<谷の湯 内風呂>
筆者が一番オススメするお風呂 外から差し込む陽の光を浴びるとほっこりします
<滝の湯 露天風呂>
岩風呂はもたれかかりやすいようになっています
湯元華亭までのアクセスはJR沼田駅からバスで約35分、老神温泉バス停から徒歩5分、自家用車であれば関越自動車道沼田ICから約20分です。
温泉のこだわり
湯元華亭では、毎分180リットル(48度)の天然温泉を湯口からそのまま7つの浴槽に流し込んでいます 。本物の天然温泉を一切薄めず提供し、美肌効果や保温効果が高いのが特徴です。
また、施設を綺麗に保つことにとても力を入れており、外のノボリには「日本一きれいな日帰り温泉」と掲げられ、筆者もその清潔さに驚かされました。
施設前にあるノボリには「日本一きれいな日帰り温泉」と書いてあります
<地下1階 谷の湯 脱衣場>
こちらの施設は清潔感が際立ち、気持ちよく利用できます。整理整頓が行き届き、快適な温泉体験をサポートしてくれます。
支配人によると、湯元華亭の露天風呂は「京都風庭園の池に温泉が入っている」というユニークなイメージを基に造られたそうです。老神渓谷の地形を活かした「谷の庭園露天風呂」は借景と一体化し、大自然を眺めながら森林浴と温泉浴を楽しめます。
ちなみに、筆者が「一番オススメの時期はいつですか?」と尋ねると、「秋です!」と即答。特に11月頃の紅葉シーズンが最も美しく、5月頃の新緑も見事だと太鼓判を押してくれました。
<秋の絶景 谷の湯 露天風呂>
写真提供:湯元華亭
<新緑の季節にピッタリ 谷の湯 気泡湯>
写真提供:湯元華亭
お風呂の特別な工夫
湯元華亭では季節限定のお風呂も楽しめます。5月1日から11月30日の土日祝には、女性用の露天風呂で「バラ風呂」を実施し、お客さんからは「贅沢な時間でした」と大変好評です。
<バラをいれた好評の露天風呂>
写真提供:湯元華亭
また、12月26日から3月31日の土日祝には、男女の内風呂で「りんご風呂」を提供し、「子供が大喜び」と人気を集めています。
<りんごを入れた内風呂>
手に取るとほんのり優しい匂いが漂います
浴槽には鬼石町の三波石、片品村の武尊石、天然御影石を使用し、浴室の壁には木の風合いを出す特注タイルを採用しています
風呂場の柱は京都産の乾いた檜、「谷の湯・内風呂」は高崎市の宮大工による木組みが特徴です
寝湯の自然石は斜めに配置され、長くゆったり入浴できる工夫が施されています。
湯元華亭オリジナルの湯朱印
湯元華亭では、訪れた記念に1枚300円で「湯朱印(ゆしゅいん)」を提供しています。この取り組みは、2022年に湯元華亭の近くを流れる川にかかる赤い橋が開通したのを記念して始められました。湯朱印には、お雛様、桜、水芭蕉、紅葉、雪の結晶の5種類のデザインがあります。
支配人のお話では、お客さんから、蛇の形が「かっこいい」と好評だそうです。筆者も湯朱印を初めて見て、蛇神様のデザインに興味津々になりました。
<湯朱印の袋>
湯朱印を入れる袋もとてもセンスが良い!
<湯元華亭オリジナル温泉の素250g>
お土産には温泉の素(250gで1400円、25gで150円)がおすすめ
最後に、支配人から初めて訪れる方へのメッセージとして、「土日祝はバラやりんごを目で見て、香りを楽しみ、源泉100%のお湯で癒されてください」と温かい言葉をいただきました。心も体もリフレッシュできる素敵な時間をぜひ体験してほしいです。
老神温泉の伝説は興味深く、観光の疲れを湯元華亭の温泉が癒してくれます。片品渓谷の美しい景色と源泉100%の湯で日常を忘れ、贅沢なひとときを過ごせます。支配人の温かい人柄がおもてなしをさらに素敵にし、老神温泉の観光と温泉で心身をリフレッシュしてみませんか?
インフォメーション
湯元華亭
所在地:群馬県沼田市利根町大楊1519-4
営業時間:11:00~19:00(最終入館受付18:00)※お食事 ラストオーダー15:00
休館日:木・金、水曜は不定休(祝日の場合は営業)
電話番号:0278-56-4126
アクセス:関越自動車道沼田インターより車で25分 (17Km)
入館料:※料金はすべて入湯税・消費税込みで表記しています。 大人1,000円 小学生300円 幼児(0歳~6歳)無料
館内施設:内風呂・露天風呂・無料広間・お食事処・おみやげ処・有料個室(8・10畳)
泉質:単純硫黄温泉
効能:皮膚病、婦人病、糖尿病、神経痛、筋肉痛関節痛、五十肩、冷え性、消化器病
SNS:https://www.instagram.com/yumotohanatei/
老神温泉観光協会
所在地:群馬県沼田市利根町老神607-1
営業時間:9:00~17:00
定休日:火曜
電話番号:0278-56-3013
SNS:https://oigamionsen.gunmablog.net/

タマル