チェアスキーにチャレンジして、新しい自分を発見しませんか? 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

チェアスキーを自分に挑戦する機会にしてもらいたい
<今日も楽しもう!>
一般社団法人ZENは、障がい者スポーツの振興とスポーツなどを通して障がい者の心身の健全育成を目的として、障害がある子供が自分自身に挑戦し、壁を乗り越えようとする機会を提供しています。障害の程度は個人差が大きいので、一律に結果を求めるのではなく、チャレンジすることが重要と考えています。チェアスキーの体験会には年間30名程度の子供達が参加し、多くの子供達がリピートするそうです。欲を言えば、可能なら1シーズンに5回くらい滑ってもらいたい。そうすれば上達するし、もっとスキーを好きになるからだそうです。なお、体験会は子供を対象としていますが、成人も参加可能です。私の家内もこの体験会をきっかけに、チェアスキーを始めて7年目になります。
仕掛けるのは元パラアスリートの野島弘さん
<トリノでの勇姿!>
写真提供:ZEN
事故に遭う前よりも楽しんで生きよう。トリノパラリンピックの日本代表であった野島弘さんは、そう考えています。ご自身が事故にあったことから、自分だけでなく、ご両親を含め多くの方々を悲しませてしまった、ならば、自分が事故にあう前よりも楽しんでやろう、そうすれば、自分だけでなく、周囲も慰められるかもしれないと考えたそうです。現役を引退後、日本チェアスキー協会の理事として、ジュニアの育成に関わるようになりました。その中から、子供たちにもっと色々な経験をしてもらいたい。それらの経験を通し多くのスキルを身に付けて自立してほしいと考えるようになったそうです。
チェアスキーの準備は大変、みんなでサポートします
<チェアスキーでは、チェア、スキー板、アウトリガーを使います>
体験者はガイドさんに手伝ってもらい、バケットシートに座ってベルトを締めてもらいます。チェアスキーではターンするためにストックの代わりとして、先端に小さなスキーがついたアウトリガーを使います。
準備ができたら雪山へGo!
チェアスキーの体験では、ガイドさんがチェアにつけられたテザーをひくことにより、チェアスキーのターンやスピードなどの操作をサポートしてくれるので、体験者は安心してチェアスキーを楽しむことができます。
<みんなでベルトを締めます>
中村咲良ちゃんはチェアスキーが楽しい
<チェアスキーが大好き>
小学4年生の咲良ちゃんは足が不自由ですが、歩くことはできます。しかし、日常生活の多くの場面では車イスが欠かせません。そんな咲良ちゃんが野島さんと出会ったのは、車イスの友達から紹介されたイベントでした。今ではチェアスキー歴が2年を超え、もっと上達したいと言います。同行しているお母さんは、チェアスキーを始めるにあたり不安がありましたが、咲良ちゃんがチェアスキーを楽しむ姿を見て、始めて良かったと思っているそうです。
<もっと上手く滑りたい>
ガイドさんが体験者を全力サポート!
<左から2人目が川邊ガイド、中央が中西ガイド>
ガイドさんはボランティアであり、20名程度が活動しています。ガイドの方々はテザーによりチェアスキーを後からコントロールするだけでなく、体験者に声をかけて不安をやわらげてくれます。
今回は二人のガイドさんが参加していました。川邊元斗さんは、大学生の時にボランティア活動を通して野島さんとの出会い、現在は月に1・2回ガイドをしているそうです。これから挑戦する子供には「チェアスキーは怖くありません。一緒に楽しもう!」とエールを送ります。中西華菜子さんは、パラスポーツのイベントで野島さんと出会い、現在は毎週のようにガイドをやっているそうです。「自分が接してきた子供の上達が嬉しい。チェアスキーでは非日常を体験できます。新しい自分に出会えるチャンスです。」と、ガイドのやり甲斐とチェアスキーの魅力を語ります。
他にもいろいろなイベントを企画しています
<ハンドバイクも楽しめます>
写真提供:ZEN
一般社団法人ZENでは、冬のチェアスキーだけでなく、年間を通してハンドバイク、カヤック、モルック(木製の棒を投げピンを倒す、フィンランド発祥の競技)、登山などの様々なイベントを開催しています。参加者の方々には、これらのイベントを通して様々なことを経験し、たくさん失敗して欲しい、失敗はチャレンジした証なので、失敗を恐れないで色々なことに挑戦し、成長のきっかけにしてもらいたいのだそうです。
<カヤックにもチャレンジできます>
写真提供:ZEN
チェアスキーで滑る咲良ちゃんは本当に楽しそうでした。お母さんにとって、この笑顔はこの上ない喜びだと思いました。障害を持つ子供がチャアスキーに挑戦するにはいくつかのハードルがあると考えます。子供の障害に対するハードル、チェアスキーに対するハードル、雪山という非日常に対するハードルなどです。しかし、それらのハードルを越えたところに今まで見たことがない子供を発見できるかもしれません・・・ならチャレンジする価値はあると思います。
インフォメーション
一般社団法人 ZEN
メールアドレス:bula164@yahoo.co.jp

福田 靖