「養蚕の守り神」蛇宮神社でご加護を!古代からの神秘と魅力に迫る 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
蛇宮神社の白蛇伝説
<本殿>
蛇宮神社の創建は不明ですが、前身は諏訪(すわ)明神だったとされています。御祭神は水神の高龗神(たかおかみのかみ)。蛇宮神社がある七日市は、前田利家の5男である前田利孝 が初代藩主となり、代々信仰が重ねられてきました。日照りの際には雨乞いの祈祷をするため、村々から獅子舞が奉納されたとも伝えられています。
<神楽台>
伝承によれば、鏑川の淵に永年住みついた白蛇が龍となったといいます。全長3mほどの巨大な龍は、近隣で暴れていたため恐怖を巻き起こしていました。ある夜、白蛇は「われを神社として祭れば永く諸人を護ろう」と慈眼法師の夢まくらに立ちます。1494年9月29日、法師は人々と相談し蛇宮明神を建てたとのことです。
古代の化石が紡ぐ龍伝説
<龍の爪かき石>
本殿に向かって左側には「龍の爪かき石」と呼ばれる大きな石が2つあります。石には大きくくぼんだ穴があり、白蛇が龍となって天に昇る際に爪で引っかいた跡だという説が言い伝えられています。
<オオツノシカの化石骨に付いて>
富岡市は、絶滅したオオツノシカの化石が出土した土地としても有名です。発見当時は竜骨と信じられ、旧藩主だった前田家が蛇宮神社へ化石骨を寄贈しました。同市にある自然史博物館では、地元で掘り起こされたオオツノシカの化石が、鑑定書付きで展示されています。
蚕を守る白蛇の守り神信仰
<伝承が残る蛇宮神社>
富岡製糸場に代表されるように、群馬県では農家による養蚕が盛んでした。養蚕の敵はネズミです。ネズミから繭を守ろうと、群馬県では天敵である猫や蛇をあがめる風習がありました。蛇宮神社では、ネズミ除けのお守りとして、神社から小石を借りて蚕室に置く猫石の信仰も伝えられています。
<静かな境内を歩く>
小石を借りると、しっぽの切れた寸胴の白蛇が付いていって、守り番をしてくれるのだそうです。小石は翌年2倍にして返しに来ることになっていました。養蚕が盛んだった時代には、地域の人々のお守りとして大切にされてきたと考えられます。
古代信仰が重なる霊域
<孕み石と小石たち>
龍の爪かき石の隣にある「孕(はら)み石」は、安産にご利益があるとされ信仰されてきました。石は、昔神様が鏑川に投げたものだと言われています。
<八幡宮>
境内には、本殿の他に古墳と御嶽神社、八幡宮があります。古墳の上に神社が建てられることは、珍しくありません。古代から続く古い信仰の場所に、御嶽信仰や八幡信仰が重ねられ、地域を見守る鎮守の役割を果たしてきたと考えられます。
取材した日も、地元の人たちが境内の神社を周って参拝されていました。
<自然史博物館に展示されている化石>
何世紀にもわたり地域の人々を見守ってきた蛇宮神社は、富岡市の歴史と深く結びついています。近隣にある七日市藩主だった前田家の藩邸跡など、歴史の散策ポイントも見逃せません。古代の化石から現代まで続く、時を超えた物語の旅を体感してください。
<参考文献>
板橋春夫(2012).『群馬を知るための12章ー民俗学からのアプローチー』p84-85.みやま文庫
熊倉浩靖(2013).『群馬県謎解き散歩』p174-175.新人物往来社
上毛新聞社(1974).『上州の史話と伝説2』p131-133.上毛新聞社
群馬県立歴史博物館(1982).『群馬県立歴史博物館紀要』p141-148.群馬県立歴史博物館
インフォメーション
蛇宮神社
住所:群馬県富岡市七日市1003
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