インド文化とカレーの名店が大集合!千代田町インドフェスタに初潜入 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
カレー参道に大行列!恐るべしカレーパワー⁉
カレーとはこれほど多くの人に愛されているのか―――イベント当日、飲食店舗が11時オープンだというので悠長にその時間を目指して車で出発。ところが、その読みの甘さを痛感することになったのは到着間近のこと。駐車場として設定されていた河川敷方面から、徒歩で会場を目指す人の列が途切れることなく光恩寺へ吸い込まれていくではありませんか。
これは出遅れた!と慌てて参道へ向かうと、11時時点でこの人だかり。
<カレー参道にはカレーを求めるお客さんでびっしり/写真提供:群馬カレー部部長>
「カレー参道」と主催者が名付けた通り、お寺へ続く参道に、関東の人気カレー店のテントとキッチンカーがずらりと並んでいて、総勢11店舗。「最後尾」という札を下げた人が各店舗からずいぶん離れたところまで並び、ゴールとなる店舗が目視できないほどの長い行列。そして、なんという熱気!
果たして私はカレーを食べられるのか?
そんな不安を胸に、一旦行列に並ぶことは諦め、参道を進んでみることにしました。
人混みを抜け、数十メートル先の山門をくぐると、そこはカレーを求める客の熱気とはまた一味違う、柔らかな空気が流れるメイン会場。
みどり豊かな境内前のゾーンには、インド雑貨や体験コーナーの店舗が軒をつらね、芝生には思い思いに食べたり、飲んだり、ステージを楽しむ来場者がゆったりと過ごしていました。
そんな中、すでにカレーを楽しんでいるファミリーに話を聞くと、「南インドのカレーが好きで、インスタをみて楽しみにきました!」とお目当てのカレー店が出店すると聞きつけ気合を入れてやってきたということ。
あぁ、美味しそう(もちろん心の声)。
他にもスパイス入りのチャイを初めて飲んだという近所のおばあちゃんともおしゃべりすると、「こんな不思議な香りの飲み物生まれて初めてよ」と満面の笑顔。
こうして若干うらやましげに皆さんのお話を聞きつつ、会場をうろつくこと約1時間。私の“カレー食べたい欲求”に神の手を差し伸べてくれたのは、一緒に訪れた友人の旦那様。約1時間半、かわりに並んでくれてどうにかありつけました、スパイスカレー!
<ご褒美2種盛りカレー2,000円>
今回ゲットし(てくれ)たのは、“カレーは肉料理です"でお馴染みの人気店「CURRY&NOBLE強い女」のカレー。魚介だし香るカレーと無水チキンカレーの2種盛り。「ご褒美」という名の通り、普段口にしたことのない贅沢なスパイスの香りを堪能しました。ビリヤニもみんなでシェアして、あぁ大満足。行列に並んでくれた友人に感謝感謝です!!
五感を全部使って感じるインドフェスタ
お腹も満たされたところで、今日のお目当てのひとつ「白象パペット」が不思議な音楽とともに場内を歩いてくるじゃありませんか。その優雅な歩みと、やさしい表情、リアルで繊細な肌感に見とれていると、長い鼻先からシャボン玉まで飛び出して、なんともファンタスティック。
ここはどこぞの異国でしょうか、、、そんな不思議な白象とのひと時に、場内は幻想的な雰囲気に包まれます。
<鼻先からシャボン玉。白象の肌感にみとれました>
カレーフェスの熱気がこのイベントの一つの顔だとすると、インド文化に触れられる場内のおだやかで、優しい時間がもう一つの顔。
<ポニーと触れ合えるコーナーも子どもたちに大人気>
<色鮮やかで繊細なインド雑貨のお店も多数>
<インドの風を感じるカラフルな装飾>
色彩豊かなインド雑貨のお店、衣装、アーユルベーダや占星術のコーナーもあり、全ては回り切れなかったのがなんとも心残りですが、それほどに魅力的で本格的なインドにまつわる店舗が並んでいました。
ステージでは、インド舞踊や音楽、武術家による演舞が繰り広げられ、タブラという打楽器は涅槃像のある建物の中で体験できたそうです。
想像以上に奥深かったというタブラ体験に参加した友人は「リズムや指の使い方ひとつで音色が大きく変わることに驚いた」と。講師の方が丁寧に教えてくれたそうで「簡単なリズムを叩くだけでも楽しくて、音楽との一体感を感じられた。もっとタブラについて学びたい」とインド音楽に触れて心躍った様子。
カレーというみんな大好きなパワーフードで「鼻」と「舌」を満たし、音楽や演舞で「目」と「耳」を潤す。みどりに囲まれた空間に身をおき、秋の風を「肌」で感じる。
千代田町にいながらして、これはまさに五感全てを使ってインドを感じる体験かもしれない。そうしみじみ感じることになりました。そして、はっと思い出しました。
「そうだ、なんで千代田町のお寺でインドフェス?」
この当初の疑問を胸に、主催者のおひとり光恩寺の副住職長柄さんと運営責任者の坂本さんがにぎわう場内でお忙しい中、話を聞かせてくれました。
インドとの深いご縁、そしてカレーも巻き込んで
<ご挨拶されるご住職、長柄行光さん>
赤岩山光恩寺は、千代田町にある関東屈指の歴史ある真言宗のお寺で、敷地内には多くの文化財も有しています。その84代目にあたるご住職、長柄行光さんは、インドの言葉であるサンスクリット語の専門家でもあり、約20年前からインド政府が派遣する古典舞踊団の宿泊先としてお寺を開放してきたそうです。以降、毎年秋の大祭にはインド舞踊家も招いてきました。
そんな光恩寺の歴史的、文化的な魅力に魅せられたのが、今回のイベントの実行委員長である坂本久幸さん。数年来、光恩寺の清掃ボランティアの活動などを通して関係を紡いできた中で、副住職の長柄行範さんとともに“もっとお寺の敷居を下げて老若男女みんなに楽しんでもらう仕掛けができないか?”との思いから、2023年秋にはじめて「インドフェスタ」を企画しました。
さらに、せっかくイベントを行うなら多くの人に来場してほしいと、「インド」というお寺とゆえんの深いコンセプトに加えて「カレー」というみんな大好きなコンテンツを追加。
そこで白羽の矢がたったのが「群馬カレー部」の活動で知られる高崎市在住の齊藤孝さんでした。カレーに関する著書やイベントプロデュースで活躍する群馬カレー部部長齊藤さんの声掛けにより、県内のみならず、関東各地の名店が赤岩に集結することになったのです。
<左が長柄行範副住職、右が実行委員長の坂本久幸さん>
地元千代田町とインドの魅力をさらに発信していきたい
<右が東京カリー番長リーダーの伊藤さん、左はサリー姿が素敵な副住職の妻、友貴さん>
カレーフェスの熱気を生み出したのは美味しいカレーという食べ物と、それを生み出す個性豊かな店主のみなさん。
出店者のひとつ「東京カリー番長」の伊藤さんにイベントへ参加した感想を伺うと、「想像以上の盛り上がり。群馬のカレー、熱いですね!」と。お呼びがかかれば、ぜひまたフェスに出店したいと話してくれました。
<カレー参道で踊るマサラワーラーのお二人/写真提供:群馬カレー部部長>
カレーが完売すると、カレー参道でインド舞踊を披露して会場を盛り上げたのは出店したマサラワーラーのお二人。お話を聞くと、
「大盛況で、やはりインドが流行ってると再確認しました。お客さんや出演者とも色々話せてとても楽しかった!また参加したいと思える北関東のビックイベントだと実感しました!」と心底楽しかった様子で教えてくれました。
今回のカレーフェスの仕掛け人群馬カレー部の部長齊藤さんからも「引き続き、県内のカレーライスシーンを盛り上げたいと思っております!」と今後への意気込みも十分。
来場者の楽し気な様子はもちろん、個性豊かな出店者のみなさんの声からも今後のインドフェスに対する期待感が伝わってくるようです。
最後に、今後はどんな展開をイメージしていますか?と長柄副住職に尋ねたところ、「インド文化の発信はもちろんですが、ここ光恩寺、そして千代田町にはもっとたくさんの魅力があります。そうした地元の魅力をもっと発信し、巻き込みながらイベントを発展させていきたいです」と力強く語ってくれました。
今回会場に足を運び、いろいろな方にお話を伺いながら感じました。お寺に対する思い、インドに対する思い、そしてカレーに対する思い。そんな幾重にも重なる愛情と熱意が多くの来場者を呼び、当日の賑わいと温かい空気感を作り上げていたのだと感じました。
また来年秋に開催予定のインドフェスタ。ぜひ千代田町の光恩寺のすがすがしい空気の中で五感をフルに使ってインドを楽しむ体験をしてみてはいかがでしょうか。
2024年10月27日開催の告知フライヤー(表)
2024年10月27日開催の告知フライヤー(裏)
インフォメーション
赤岩山光恩寺
住所:群馬県邑楽郡千代田町大字赤岩1041
電話:0276-86-2157
https://www.akaiwasan-kouonji.or.jp/
群馬カレー部
https://www.instagram.com/gunmacurry/
https://www.facebook.com/gunmacurryclub/
群馬カレー部とは、喫茶店のカレーから本格スパイスカレーまで、群馬のカレーを
こよなく愛する齊藤孝(タカシ)部長が2006年に立ち上げた自由参加型の部活
。SNSタグで「#群馬カレー部」を入れてカレーをアップすれば、今日からアナタ
も群馬カレー部(笑)。部長は県内のカレー論評の第一人者であり、飲食店のカレー
監修、書籍、カレーフェス監修、ラジオ、テレビ出演等で活躍中。県内のカレー情
報を発信するInstagramとFacebookの群馬カレー部は、約4000人が参加している。
カレーに関するお手伝い、イベントのサポートなど、お気軽にご相談ください!
柏崎祐子