高崎のシンボル白衣大観音の足元で 心身ほぐす癒しのひと時 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
いつ?どうして?観音様の建立は一人の願いから
<境内から見る高崎白衣大観音>
観音様の高さは41.8m。山の上に立つ姿は、遠くから見ても存在感があります。車やバスで山を上り、土産物店や飲食店が並ぶ参道から見ると、その大きさに圧倒されます。
建立は昭和11年で、当時は東洋一の高さを誇っていました。建立したのは、高崎の実業家、井上保三郎氏。社会の平和や高崎の発展を願い、私財を投じて建てたといいます。
慈眼院は昭和16年に高野山から別格本山として移転し、今日まで観音様を守ってきました。
間近で見る観音様の表情 胎内拝観も楽しんで
<観音様の肩の小窓からの眺め>
境内に入り、まず慈眼院本堂の千体観音堂をお参りしました。ここには、千人の施主から奉納された千体観音像が安置されています。ろうそくや線香をあげる参拝者が次々に訪れ、厳粛な気持ちになります。
次は太鼓橋を渡って、いよいよ観音様の足元へ。圧巻の大きさに迫力を感じますが、その表情は穏やかで慈愛に満ちています。観音様の周囲を回れるので、様々な角度から見上げるのもおすすめです。
背後に回ると胎内拝観の入り口があります。実は観音様の中に入ることができるのです。胎内は9階となっており、各階に安置された仏像を見ながら階段を上ります。
最上階の9階は観音様の肩の高さ。小窓を覗くと、参道や高崎の街並みが見渡せました。観音様の見ている風景かと思うと感慨深いです。
写経体験で心穏やかに
<書き終えた般若心経>
次は境内にある一路堂に向かいます。ここは高崎出身の馬場一路氏の書画を展示する場として昭和49年に建立され、現在は一路堂カフェとして営業しています。写経体験もできるので、事前に予約して初挑戦しました。
写経は15分、30分、1時間と、所要時間が異なる3種類から選べます。私が選んだ60分は般若心経。半紙に薄く印刷された文字を筆ペンでなぞります。
窓の外の自然と調和した和室で、机に向かい一文字一文字に集中する時間。初めのうちは「うまく書きたい」「あ、間違えた」と雑念が消えませんでしたが、淡々と書き進めるうちに気持ちも穏やかになります。書き終えると、なんだか気分はすっきり。写経は慈眼院にお供えされてから、お焚き上げしてもらえます。
精進料理風の人気のランチ
<ランチタイムの一路堂ごはんプレート>
写経体験を終え、そのままランチも楽しみました。ランチタイムには野菜をたっぷり使った精進料理風の2種類のメニューがあり、月ごとに内容が替わります。風情ある建物の中で体に優しい料理を味わうひと時は何とも贅沢です。女性を中心に大人気なのも納得。手作りのシフォンケーキや季節ごとのデザートもあるので、今度はティータイムに訪れてみたいです。
多彩な行事 気軽に参加を
<夏の終わりに行われる万灯会 写真提供:慈眼院>
慈眼院では様々な年中行事が行われています。2月14日から3月14日は「赤い糸祈願祭」を開催。観音様の小指に結ばれた赤い糸を自分の小指に結び、恋愛成就や縁結びを祈願します。春と秋には五色龍王襖絵を一般公開しており、色彩鮮やかな龍王を描いた41枚の襖絵を見ることができます。
夏の終わりは、ろうそく祭り「万灯会」。境内や石段に灯明が敷き詰められ、観音山周辺が 幻想的な雰囲気に包まれます。毎年たくさんの人が訪れる人気の行事です。
自然豊かな慈眼院の、四季それぞれの美しさも見どころです。 観音様の優しいまなざしと自然に包まれる、穏やかなひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。帰りには参道商店街の名物、みそおでんを味わうのもおすすめです。
インフォメーション
慈眼院 高崎白衣大観音
住所:群馬県高崎市石原町2710-1
電話:027-322-2269
拝観時間:9:00~17:00(11~2月は16:30まで)
料金:高校生以上300円、中学生以下100円
一路堂カフェ
電話:090-2475-4893(営業時間以外はショートメールで予約を受け付け)
定休日:月曜、木曜、金曜日
営業時間:10:30~16:30(12~3月中旬の平日は15:30まで)
写経体験:500円
※ランチ、写経体験は要予約
駐車場:近隣の有料駐車場(観音山頂駐車場、つけもの処旬彩)を利用
関口美智子