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ELで行く温泉記号発祥の地「磯部温泉」の街歩き【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

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更新日: 2024年04月11日

群馬県の魅力をぐんま観光県民ライター(ぐん記者)がお伝えします!

新幹線が停まる群馬県の玄関口・JR高崎駅から電車で1本、思い立ったときに気軽に足が向くのが「磯部温泉」です。車社会の群馬県で「車なし生活」を楽しむ筆者としては、ぜひとも紹介したい温泉地でした。今回タイミング良く「温泉マーク発祥まつり」なるものが開催されるとのことで、お祭り当日の磯部温泉に潜入します!

JR高崎駅から「EL湯けむり碓氷横川」に乗り、温泉マーク発祥の地・磯部温泉へ

快晴の空の下、まず向かったのはJR高崎駅!時間は午前9:30、すでにカメラを構えた多くの鉄道ファンがホームに集まっています。

そこに入線してきたのが、本日磯部駅までお世話になる「EL湯けむり碓氷横川」です。

ELとは、電気で動く機関車のこと。まだ電車が今のように走る前、高度経済成長期に活躍しました。たしかに、フォルムもカラーリングもどこか懐かしい感じがしますね。

そして本日の注目は、先頭についているこのヘッドマークです。

こちらは花をモチーフにしたアートを手がける古川太一さんの作品で、1997年まで群馬の地も走っていた「特急あさま号」へのリスペクトを込めたデザインなのだとか。
筆者は鉄道には詳しくないのですが、こういった細やかなこだわりは鉄道ファンにはたまらないんでしょうね。

そしてこの「EL湯けむり碓氷横川」、実は後ろ側がSLになっています!

横川で折り返す際にはこちらが先頭になり、「SL湯らりーといそべ」として高崎駅に向けて出発する仕掛けなんです。
もちろんSL側のヘッドマークも古川さんの作品で、こちらは古川さんが得意とする花のモチーフを、磯部温泉で開催される夏の花火のイメージに仕上げたものなのだとか。黒い車体に鮮やかな赤が映えていますね!

レトロな車内ではお祭り当日ならではの「おもてなし」も

車内に一歩足を踏み入れると、そこはまるで別空間。これから目的地に向かう活気はありつつも、旧型客車の品のある佇まいに何だか気が引き締まる思いがしました。

そんな車内では、磯部温泉のキャラクター「いそせん君」が乗客1人ひとりにご挨拶。磯部温泉名物の磯部煎餅を手渡していきます。

乗客1人ひとりにご挨拶

途中の安中駅で5分間停車した際には、記念撮影に引っ張りだこになっていました。

列車の連結部分でちょっと休憩…

いそせん君のオフショットもゲット!乗客約400人へのお煎餅配りとご挨拶、お疲れさまでした。

「磯部煎餅サクサクウォーク」で名物・磯部煎餅を食べ歩き

いそせん君とのグリーティングを楽しむこと約20分、JR信越線・磯部駅に到着しました!

駅舎も温泉地らしい出で立ちです

ここからは温泉マーク発祥まつりの催し物の1つである「磯部煎餅サクサクウォーク」に参加します。これは磯部温泉にある磯部煎餅8店舗のお煎餅を食べ比べるというもの。
ちなみに磯部煎餅とは「お煎餅」と言われて思い描くような塩気のあるものではなく、ほのかな甘味が特徴の、小麦を焼いたもののことなんです。

サクサクと軽い生地は口の中で溶けてなくなります

改札を抜けると、すでに多くの参加者が集まっていました。

続々と参加者が集まってきています

私は磯部温泉組合の櫻井さんが案内するA班に参加させていただくことに。

案内役はぐんまちゃん!?

櫻井さん、温泉マークのアロハにぐんまちゃんの被り物と、気合が入っています。

磯部の街を歩きながらまずレクチャーしていただくのは、温泉マーク発祥の地・磯部温泉の歴史についてです。

磯部駅前の温泉マーク

温泉記号の始まりは1661年のこと。付近の農民の土地争いの決着をつける際の評決文を幕府が出した際、磯部温泉を表す記号として使われていたのが、現在の温泉マークの原形となったこの逆さクラゲのような2つのマークでした。なんだか躍動感がありますね。
そんなお話を聞きながら到着したのは、明治18年に初めて磯部煎餅を開発した、大手萬平氏を初代とする大手製菓。なんと1日2万枚の磯部煎餅を製造しているそう。

お煎餅の型は全部で25種類もあるそうで、紅葉の模様が可愛らしいものもありました。

こちらの「シルクパウダーホワイトチョコ」をいただきましたが、サクサクと軽い生地になめらかなホワイトチョコがとても良く合って美味しかったです。

次に訪れたのは昭和40年創業の松風堂。

ガラス越しに職人さんがお煎餅を焼く様子を見学できます

こちらの松風堂はお煎餅屋さんには珍しく、おまんじゅうも製造しています。

「温泉に来たら温泉まんじゅうが食べたい!」という方の気持ちに応えるためなんだとか。
そしてお隣の栄泉堂で「話のネタに」とご主人が手渡してくださったのは、なんと焼きたての磯部煎餅!実は焼きたての磯部煎餅は油揚げのようにふにゃふにゃ。

こちらの鉄道具は戦前から使っているものだそう

焼きたての磯部煎餅をゲット

空気に触れた途端にみるみる固くなっていきます。よく見ると、お煎餅の表面には小さな穴が空いています。これは生地に鉱泉が含まれている証拠で、鉱泉に含まれているガス系物質が生地に空気を含ませ、磯部煎餅独特のサクサク感を生み出しているのだそう。
その後自由に残りの店舗を巡って、約1時間のサクサクウォークは終了です。ただその前に忘れてはいけないのが、こちらの大きなガラガラ!

サクサクウォーク参加者限定で参加できるこの福引は、温泉マークにちなんだ商品が当たります。温泉マークのTシャツ、おしゃれですね!

この日の参加者約100人全員に何かしらの品が当たるようになっているそうで、お祭りを楽しんでもらいたいという心意気が伝わってきました。

昔ながらの温泉街をぶらぶら街歩き

サクサクウォークが終了したのはちょうどお昼どき。お煎餅をたくさんいただいたものの、朝から活動していたせいかお腹が空いてきました。
温泉街をぶらぶら歩きながら私が選んだのが、お煎餅屋さんの通りからほど近い西洋亭の「温泉マークカレー」です。

まさかカレーまで温泉マークにしてしまうとは、磯部温泉の情熱恐るべしです。他にも、温泉マークプリンなるものまで。

お腹いっぱいでお店を出ると、すぐ近くには足湯も。

ゆったり入れる足湯です

ここまで磯部煎餅屋さんからランチ、足湯と紹介してきましたが、実はこれら全部徒歩5、6分もあれば回れてしまう距離感なんです。このコンパクトさが、忙しない日常から離れてゆっくり温泉を楽しみたい方に喜ばれているのかもしれません。

「昔ながら」だけじゃない!「新しい」も詰まった磯部温泉

観光地化されすぎていない、落ち着いた雰囲気が印象的な磯部温泉ですが、最近は新しい風も吹き込んできています。
まずご紹介するのが、100年以上の歴史を持つ高野酒店に併設された
TARTANS CAKE STANDです。

明るい印象で立ち寄りやすい店舗

その特徴は、何といっても日本酒を使った洋菓子や、日本酒との相性を考えた商品が揃っていることでしょう。洋菓子に使われる日本酒も時期によって変わります。

来店日はこちらの日本酒が使用されていました

洋菓子の種類によっては酔ってしまうほどの量のお酒が使われているそうで、お客様への注意喚起を徹底しているそうです。
酔ってしまうとこの後の取材に影響が出ると判断した私は、今回は「栗のモンブラン」と「酒粕と黒胡椒とチーズのクッキー」をいただくことに決めました。

ツリー型のフォルムが美しいモンブランです

3月中旬頃からは桜、夏はパッションフルーツに変わります

モンブランは甘さ控えめで、たしかに日本酒との相性も良さそうです。ワンカップに入った「酒粕と黒胡椒とチーズのクッキー」は、濃厚なチーズと胡椒が利いた満足度の高いおつまみクッキーでした。

店内には日本酒のサーバーもあり、グラス1杯から楽しめます。
ちなみに、お店のロゴなどのデザインは奥に続く高野酒店の店主が行っているそう。

店内奥は高野酒店へ続いています

お酒とともに店主デザインのグッズが並んでいました

他にも、磯部温泉にはアートを楽しめるスポットもあります。
それが磯部駅徒歩1分のところにあるHOMEBASE DRINK STATIONです。

こちらはクラフトビールやハードサイダーを楽しめるお店で、店内にはEL・SLのヘッドマークをデザインした古川さんのアートが飾られています。

さらにこの日は、古川さんご本人も来店されていました。

ヘッドマークのデザインと同じ文字が出現!

街の中の、ふらっと立ち寄れるアートスポットです。

そして最後にご紹介するのが、2024年2月16日にオープンしたばかりの「やどパン」です。

老舗旅館の看板と可愛いロゴが並びます

創業明治12年の小島旅館に併設するやどパンは、女将による焼きたてパンが提供されています。結婚前にパン作りの仕事をしていたので、自分の旅館の中にパン工房を開くのが夢だったのだそうです。

どれも美味しそう!

今回私が選んだのは「めんたいチーズ」「おやきパン(あんこ)」「クロワッサン」です。
※右から反時計回り

ふかふかの生地がとても優しい味でした。具材もたっぷり入っています。翌日まで食べられるそうなので、旅行から帰った翌日の朝食にもいいかもしれませんね。

まとめ

JR高崎駅からのアクセス良好な「磯部温泉」はいかがでしたでしょうか?伝統的な温泉地ながら、新店舗やアートなど、新たな発見にも富んでいます。温泉の癒しが恋しくなったら、パパッと荷物をまとめて新幹線に乗り込みましょう。磯部温泉が待ってますよ!

 

インフォーメーション

大手製菓

住所:群馬県安中市磯部1-6-9

電話:027-385-6224

営業時間:9:00〜17:00

定休日:不定休

 

松風堂

住所:群馬県安中市磯部1-13-5

電話:027-385-7023

営業時間:8:00〜18:00

定休日:火曜日

 

栄泉堂

住所:群馬県安中市磯部1-13-8

電話:027-385-6122

営業時間:8:30〜18:00

定休日:木曜日

 

西洋亭

住所:群馬県安中市磯部1丁目6−5

電話:027-385-066

営業時間:11:30~14:00

定休日:日曜日

 

HOMEBASE DRINK STATION

住所:群馬県安中市磯部1-17-7

営業時間:月・水・木・金:17:00〜23:00、土日・祝日:15:00〜23:00

定休日:火曜日

 

TARTANS CAKE STAND

住所:群馬県安中市磯部1-14-23

電話:027-385-6404

営業時間:10:30〜19:00

定休日:月曜日、火曜日、水曜日(月曜日が祝日の場合は営業、木曜日に振替休)

 

高野酒店

住所:群馬県安中市磯部1-14-23

電話:027-385-6404

営業時間:10:30〜19:00

定休日:毎週水曜日・第3火曜日

 

やどパン

住所:群馬県安中市磯部1-13-22

電話:027-385-6534

営業時間:10:00〜売り切れまで

定休日:土曜日

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望月優衣

生まれも育ちも渋川市のフリーライター。都内の大学まで4年間通学した経験あり。金融記事からYouTubeシナリオまで、文章を仕事に楽しく生活しています。趣味は街歩きや美術館めぐり、ノープランの旅行です。