NINJAになれる!忍者体験ができる穴場スポット【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】
「吾妻忍者」とは?真田氏に仕え戦国時代に活躍
群馬県の北西部に位置する東吾妻町。戦国時代に真田氏の拠点の一つとなった岩櫃(いわびつ)城跡(国指定史跡)があり、その真田氏に仕えた「吾妻忍者」が活躍したとされる。2016年に放送されたNHK大河ドラマ「真田丸」に登場したことで注目が集まり、町内では忍者をテーマにした町おこしが進んでいる。
その中心となる「にんぱく」は、合同会社「岩櫃城忍びの乱」(斉藤貴史代表)が2021年5月、JR群馬原町駅前の倉庫を活用してオープン。草津や四万などの温泉地や八ツ場ダムなどにも近く、新たな観光スポットとして訪日外国人にも人気だという。
戦国時代に真田氏の拠点の一つとなった岩櫃山(提供:岩櫃城忍びの乱)
忍者に変身して「武器庫」へ潜入だ
青い忍者装束に着替えた樹君と、真田氏の家紋、六文銭を掲げた入り口から忍び足で侵入を試みる。まるで武器庫のような展示室に驚いていると、忍び姿の斉藤さんに「曲者っ」といきなり捕獲されてしまう。
「まだまだ修行不足だな。にんぱくでしっかり勉強しよう」と斉藤さん。まずは展示室の手裏剣や鎖鎌(くさりがま)を見学しながら、吾妻忍者の歴史や武器の説明を受けた。
鎖鎌の持ち方を学んで構えてみる。本物の忍者のようなりりしい雰囲気に
館内には、日本を代表する忍者道具の収集家、故山岸賢司氏が収集した約300点を展示。手裏剣一つをとっても十字や六方、棒状など、用途に応じてさまざまな形があることが分かる。
暗殺者の一面も持つ忍者らしい「隠し武器」も多い。横笛やつえ、巻物、煙管(きせる)など生活道具の中に刃が仕込まれ、相手が油断したすきにグサリと刺す、というから恐ろしい。専門家による解説パネルや吾妻忍者に関する文献もあり、これまで架空の存在だと思っていた忍者をより深く、リアルに感じることができた。
斉藤さんに棒手裏剣の使い方を習う。敵に投げるほか、刃先に毒をぬって刺すこともあったという
忍者と言えば手裏剣、的当てゲームで対決しよう
忍者の武器や歴史を学び、いよいよ実戦の修行へ。丸太に向かって手裏剣投げをするのかと思いきや、「にんぱく」では「レーザー手裏剣」で楽しく練習できる。手裏剣型コントローラーを光る的に当て、合計得点を競う対戦型のゲーム。普段からゲーム好きな樹君はコツをつかみ、すぐに斉藤さんの得点を上回るまで上達した。
手裏剣型のコントローラーを光る的に当てて合計得点を競う「レーザー手裏剣」
手裏剣投げを体験できるコーナーもあり、体を動かして的当てを楽しむこともできる。
ゴムや鉄でできた手裏剣を投げられるコーナーも
迫力の映像体験、VRチャンバラで真田幸村と対決
デジタル技術を使った展示も「にんぱく」の見どころ。忍者の世界観を体験できるプロジェクションマッピングでは、疾走(しっそう)する忍者や真田武者、炎とともに崩れる城壁などの迫力ある映像を楽しむことができる。
展示室の壁一面に投影されるプロジェクションマッピング
一番人気のアトラクションは、人気の戦国武将、真田幸村と戦うVRチャンバラだ(小学生以上対象)。ゴーグルを着けると、目の前に戦場が広がり、やりを持った騎馬武者が次々と襲いかかってくる。
コントローラーを動かして敵を倒し、降り注ぐ矢や大砲を避けて、ついにラスボスの真田幸村と対決。幸村は360度どこから攻撃してくるか分からないため、攻撃を避けるのも、ダメージを避けるのも難しい。樹君は2度の挑戦で幸村に一太刀を浴びせるも、攻撃を避けきれず無念の敗北。勝利すると記念写真が飾られると聞き「今度来た時は絶対に勝ちたい」と悔しさをにじませた。
真田幸村と戦うVRチャンバラを体験する
スパイ気分で、レーザーをくぐり抜けろ
忍者となるには、あらゆる罠をくぐり抜けるためにすばやい身のこなしが大切。最後は張り巡らされたレーザーを避けて任務をこなす体験アトラクションに挑戦した。
2階エリアに張り巡らされたレーザーをくぐり抜けるアトラクション。スモークの演出がスパイ気分を盛り上げる
レーザーに触れないように、制限時間内にエリア内の六つのボタンを押せば「ミッション成功」。レーザーが6本の「イージーモード」を難なくクリアした樹君は、18本の「ハードモード」にも挑み、しゃがんだり転がったりしながら全てのボタンを押し切った。
すっかり忍者体験を満喫した樹君。「忍者って武器も動きもすごい存在だと分かった。自分も修行してもっと強くなりたい」と笑顔で語った。
レーザーに触れないよう赤いボタンを押すことでミッションクリア
ここだけの「NINJA」カルチャーに世界が注目
入り口付近のお土産コーナーでは忍者グッズも取り扱う。一番人気は、岩櫃城のオリジナル御城印(500円)。続日本百名城に認定された岩櫃城跡は「にんぱく」から近く、車なら10分程度で行くことができる。4月から11月までは、平沢登山口に観光案内所もオープンするので、ハイキングがてら訪れてみてはいかが。
お土産として人気の岩櫃城のオリジナル御城印
「にんぱく」や岩櫃城跡のほか、2024年度には「道の駅あがつま峡(あがつまふれあい公園)」(東吾妻町三島)が吾妻忍者をテーマとした観光スポットとしてリニューアル予定だ。
忍者がテーマの観光地として盛り上がる中、2024年9月14日、15日には国内外の忍者の研究者や愛好家が集う「国際忍者学会」の第7回大会が東吾妻、中之条の両町で開かれる。学会の開催を機に、謎の多い吾妻忍者の研究が進み、忍者の里としての知名度アップも期待される。
斉藤さんは「今後は忍者カルチャーを楽しむイベントや周遊観光を企画し、さらに吾妻忍者の研究拠点としても充実させたい」と意気込む。「ここにしかない、ここでしか体験できない“本物”の歴史をぜひ味わってほしい」
「にんぱくから本当の忍者文化を発信したい」と語る斉藤さん
まとめ
子供が楽しめるアトラクション満載の「にんぱく」。家族で楽しめるレジャー施設であり、岩櫃城と真田氏の歴史を知り、実際の武器や史料に触れられる博物館でもある。漫画やアニメのイメージが強い忍者の「本当の姿」を知ることができて大人も大満足。忍者好きなら、絶対遊びに来てほしい。
インフォメーション
岩櫃真田忍者ミュージアム(にんぱく)
住所:群馬県吾妻郡東吾妻町大字原町624-4
電話:080-6708-5431
営業時間:10:00〜16:00
定休日:火、水、木(祝日の場合は営業)
入館料:550円(小学生以上) 未就学児無料
※VRチャンバラは1回300円
※2024年4月からは入場料が小学生1200円、大人1500円(VRチャンバラ2回分の料金込)。未就学児無料
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