まるでテーマパーク!太古の恐竜に会える群馬県立自然史博物館【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

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更新日: 2024年04月02日

「群馬県の魅力をぐんま観光県民ライター(ぐん記者)がお伝えします!」

恐竜大好きっ子だった筆者が、幼い頃から何度も訪れてきた自然史博物館。当たり前のようにそばにありましたが、よくよく考えてみたらこんなにスケールとロマンにあふれた空間はそう多くはないのでは?と思い、今回は取材という形で、あらためて訪問して、その魅力を皆さんにもご紹介します。

全国的にも珍しい実物大の動く恐竜と、発掘現場をのぞき見できるガラス張りの床は、大人から子どもまで夢中になることきっと間違いなしです。

自然史博物館のシンボル的存在の恐竜たち

大きなカブトムシが迎えてくれます

大きなカブトムシが迎えてくれるエントランスから博物館の奥に進んでいくと、最も目を奪うのはこの巨大な恐竜たちです。

前方右:ティランノサウルス、前方左:マメンキサウルス、後方左:ブラキオサウルス

「恐竜といえば!」で思い浮かべることの多いティランノサウルスをはじめ、マメンキサウルス、後ろにはカマラサウルス、そして通路を挟んだ反対側にはひときわ首の長いブラキオサウルスが並んでいます。

中でもカマラサウルスの全身骨格は右大腿骨以外はほぼ本物の化石です。

北アメリカに生息した、実物のカマラサウルスの化石

では右大腿骨はどこに行ってしまったのかというと…? 足元に展示してありました。

こちらのカマラサウルスの右大腿骨は、実際に触ってみることもできます。本物の恐竜の化石に触れられる機会はそうそうありません。

自然史博物館は1996年10月の開館。博物館開館の準備段階の「準備室」時代から、実際に触って見られるものを多めに、という考えで展示を準備してきたのだそうです。

しかし実際にガラスを隔てずに展示するのには、破損などのリスクもつきものです。それでも、実際に間近で見て、感じられることを魅力にしたかったのだとか。

ちなみに、こちらの右大腿骨には、なんと肉食の恐竜に噛まれた痕が残っています。見た目でも、横線が入っているのがよく分かりますよね。

私も幼い頃から何度も触れているこの化石でしたが、実際にお話を伺うまでこの噛まれた跡には気がつきませんでした。

実はこれも自然史博物館の魅力の1つで、来館者が自分で「感じ」「考える」ことを大切にするため、あえて情報をすべて掲示していないのだとか。

「もっと詳しく知りたい!」という方は、ぜひ展示解説員による「定時解説」を聞いてみてください。

常設展示室に3カ所、企画展示室に1カ所設置されています

各コーナーに集合場所があり、パネルには書かれていない、より詳しい解説をしてもらえます。質問にも答えてもらえるので、気になることはどんどん質問してみましょう。

それにしても、化石にまでしっかり噛んだ跡が残るとは、肉食動物のアゴって強力なんですね。

他にもたくさんの化石や標本が展示されていて、とにかくワクワクする空間です!

「コロンビアマンモス」も迫力大です

この「ヤベオオツノジカ」の立派なツノは群馬で発見されました!

発掘現場がのぞき見できる!ガラスの床

恐竜コーナーの手前にあるもう1つの注目スポットが、このおよそ48平米にも広がるガラス張りの床です。

足を踏み入れるのがちょっと怖いこのエリアですが、一度踏み込んでしまえば大丈夫。下に広がる発掘現場への好奇心に、最初に感じた恐怖も忘れてしまいます。

ここで再現されているのは、実際にアメリカ合衆国サウスダコタ州でトリケラトプスの化石が見つかった際の発掘現場です。

2人の発掘作業員の間に見える頭部の化石はレプリカですが、それ以外の化石はすべて本物とのこと。

床面の広さに合わせて多少調整はしたそうですが、骨の配置も忠実に再現されています。

発掘現場の骨の配置をそのまま再現

このガラスの展示は幼い頃から本当に大好きで、ガラスに乗るのが怖くてキャーキャー言いながらも毎回楽しみにしていました。ぜひもっと多くの方に楽しんでもらいたいです!

ダーウィンの進化論について教えてくれるロボット博士の「チャーリー」

2階の奥の部屋に進んでいくと、大きなヒグマが迎えてくれる部屋が!

ここはロボット博士の「チャーリー」が待つ博物学者の部屋です。

よくよく見ると、部屋の表示は「naturalist」ではなく「naturalist”s”」。これは「あなたも博物学者」というメッセージで、ここにも自分で考えたり発見してほしいとの自然史博物館の願いが込められています。

ダーウィンの進化論を説明するチャーリー

部屋の中では、チャーリーがダーウィンの進化論について説明中。動くロボットに目が釘付けになった幼少期を思い出しました。

このチャーリーの部屋は、大航海時代の貴族のコレクションルームを再現しています。これは博物館の前身とも言われるものです。

ここでも「自分でワンダーを見つけてほしい」との思いから、展示の説明はあえて最小限にしているとのことです。わからないことは展示解説員に聞いてみましょう。

奥の部屋は「展示しきれないコレクションが倉庫に収められている」との設定になっています。

ずらりと並ぶ動物たちの剥製はインパクトがありますね!

さらに奥は「みなさんの実験室」になっていました。

ここでもコンセプトは「あなたも博物学者」。私たち来館者が実際に手で触れたり、観察したりできるようになっています。

環境の変化についての学びも

自然史博物館には、群馬の自然と環境を学ぶエリアもあります。特に圧巻なのは、本物の木の幹を使って再現されたブナ林です。

2階から見たブナ林

写真に写っている人と比べても、その大きさがお分かりいただけるのではないでしょうか。実際、見学順路の中から見ると、本物の自然林に迷い込んだようです。

こちらは実際に群馬県にある、武尊山系のブナ林を調査結果をもとに再現しました。

生物研究係の大森さんによれば、この展示では自然林の構成について知ってほしいとのこと。

実際私もこのブナ林を見て、私が幼い頃から森や林だと思っていたのは、実は人間が意図的に作ったスギやヒノキの「人工林」だったことに気がつきました。

本来の自然林は多様性に富み、高い木の下には低木が、低木の下にはさまざまな植物が生え、野生生物の生息に適した環境を作り出しているのだそう。

こちらの再現されたブナ林の中にも、ひっそりと野生動物たちが隠れていますよ。

ただ、このような自然は常に変化を続けるもの。人間の開発によって数を減らしたり姿を消したりした植物や動物が存在すれば、反対に空き家や放置された森林を好んで増えたものも存在するようです。

変化を続ける群馬の動植物

他にも尾瀬に代表されるオーバーツーリズムの問題など、自然と人間とのより良い付き合いを実現するにはどうしたら良いのかを考えさせられる場面が多々ありました。

尾瀬の自然と植物を豊富な写真で学べます

自分の体と比べてみよう!人間の進化の歴史

最後にご紹介したいのが、2階にある「自然界におけるヒト」のコーナーです。つまり私たち人間の進化の歴史をたどる展示ですね。

ここでのテーマは「自分の体と比べてみよう!」です。私も実際に比べてみましたが、長い時間をかけた進化の果てに自分の体が出来上がっていると思うと感慨深ささえあります。

骨盤の向きの変化がわかりますね

また、進化による人類の行動の変化を表現した展示は多くの人が立ち止まるスポットです。特に目を奪われる来館者が多かったのが「埋葬」の展示です。

本当に花を手向けていたとしたら…

こちらは約6億万年前のイラクの洞窟を再現したもの。洞窟の中からネアンデルタール人の人骨10体が一カ所にまとまって発見されました。

さらに植物の花粉が発見されたところから、埋葬の慣習があったのではないかと推測されています。

進化の過程でいろいろな感情を持てるようになったのかも…そう思うと人間の進化のロマンを感じますね!

まとめ

屋内にいながら地球と生物の進化の歴史を体感できる「群馬県立自然史博物館」。このような施設が身近にあったのは、私の幼少期の財産の一つです。

他にも、ここでは紹介しきれない興味深い展示がたくさんあります。続きは、ぜひ実際に来館してお楽しみください!

インフォーメーション

群馬県立自然史博物館

住所:群馬県富岡市上黒岩1674-1

電話:0274-60-1200

営業時間:9時30分~17時※最終入館16時30分

定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

料金:企画展開催中(3月16日〜5月12日)は一般800円(640円)、大学・高専・高校生450円(360円)、中学生以下無料。企画展を開催しいない期間は一般510円(410円)、大学・高専・高校生300円(240円)、中学生以下無料

https://www.gmnh.pref.gunma.jp/

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望月 優衣

生まれも育ちも渋川市のフリーライター。都内の大学まで4年間通学した経験あり。金融記事からYouTubeシナリオまで、文章を仕事に楽しく生活しています。趣味は街歩きや美術館めぐり、ノープランの旅行です。