館林邑楽で水辺の歴史散策

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更新日: 2023年03月28日

群馬県民にはお馴染みの上毛かるたでは「鶴舞う形」といわれる群馬県。

ちょうど鶴の頭の部分にあたる、群馬県南東に突き出した部分にある館林市、そして邑楽郡の千代田町が今回の舞台。関東地方のほぼ中央に位置し、周囲には大きな河川が流れるこの地域では、河川を交通に利用してきた歴史や沼辺文化があります。そんな、館林邑楽で水辺だからこその歴史と文化を取材してきました。

 

 

満開のつつじが鮮やか!館林市「つつじが岡公園」

まずは館林市のつつじが岡公園を訪ねました。

つつじが岡公園の正門から入るとすぐ、鮮やかなつつじが目に入ります。

案内してくださったのは、館林市役所の中村さん。2021年は比較的暖かく、例年より1週間から10日ほどは早く咲き始めたとのことですが、旧公園と新公園、またつつじの種類のよって咲く時期が違うため、毎年5月中旬まではお花が楽しめます。

 

観覧順路は迷路のようになっていて、つつじでできた回廊を歩くような感覚です。「ビロードの絨毯みたい」「燃えるような紅って、こういう色のことだね」とあちらこちらから声が聞こえてきました。写真では、鮮やかさが伝えきれず残念です。

ぜひぜひ、ツツジの時期に現地で見ていただくことをお勧めします。もったいないくらい、鮮やかなつつじです。

「おすすめは、雨が降った後の晴れた日です」と、中村さんが教えてくれました。雨つゆを受けたつつじが艶めいて、とても美しく見えるのだとか。

 

 

 

映像で歴史を学ぼう

つつじが岡公園内のつつじ映像学習館に入ります。入口では、館林市の観光マスコットキャラクター「ぽんちゃん」が出迎えてくれました。こちらのぽんちゃん、季節ごとにお色直しがあるそうで、取材当日は5月の節句仕様でした。

入口右側壁面には絵画が飾られていて、つつじが岡公園の成り立ちが紹介されています。

おすすめは4Dシアター。日本遺産に認定された「里沼」の映像が楽しめるのですが、実際に水しぶきが飛んだり、風が吹いたり、地面が揺れたりと、ただ観るだけでなく映像を体感しながら、館林市の歴史が学べます。

 

ところで、「里沼」って何?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

人が自然と適度に関わることで環境が保たれている「里山」という概念や言葉は聞いたことがある方が多いかと思います。この概念をヒントにすると、沼のまわりで自然と共調しながら人が暮らし、歴史文化が育まれてきた沼も「里沼」ということができます。その価値が評価され、2019年5月、「里沼」は日本遺産に認定されました。

沼はさまざまな動植物が生息する自然の源であり、その水を求めて人々が集い、水が人々の暮らしを支えるとともに、人が水を利用して大地を切り開き、まちや村が生まれ、そこに沼辺特有の文化が築かれてきました。そんな「里沼」のことを立体的に学べるのが、つつじ映像学習館なのです。

 

上の写真は映像学習館の内部。つつじをイメージした傘が天井から吊るされていて、幻想的な雰囲気です。そして足元にハートの影が。こちらの床はつつじのプロジェクションマッピングになっていて、ハートが出ると寄り添いながら足元を撮影するカップルも多いのだとか。

 

 

SUGAR HILL CAFEでつつじのソフトクリームも

公園内にある「SUGAR HILL CAFE」はアメリカのブルックリンをイメージしたカフェ。パンの表面がパリパリした食感のハンバーガーは、上にピクルスが載っていて見た目にもボリュームがあります。また、こちらでは「つつじのソフトクリーム」をいただくことができます。ふんわりとした優しい甘さのつつじソフトクリームは、メーカーさんにお願いして特別に作ってもらったもの。つつじの時期に、こちらのお店でしか味わうことができません。

開放感あふれるテラス席で食べると、おいしさ3倍増しです。

 

 

県道の一部が船!?千代田町の赤岩渡船場

千代田町の赤岩渡船場にやってきました。赤岩渡船は戦国時代から利用され、現在でも利根川を挟んで埼玉県熊谷市をつなぐ公道の1つとして年間2万人が利用しているそうです。

片道約4分間の乗船。公道のため、なんと無料で乗船できます。

渡船場の小屋で待機している船頭さんに声をかけ、いざ乗船。

 

 

開放感と景色が最高

ライフジャケットを着用して、出発。「渡船のお勧めポイントは、開放感と景色です」と教えてくれたのは、船頭の栗原さん。特に冬場は空気が澄んで山がきれいに見えるそうです。望遠鏡持参で船の上から富士山やスカイツリーを眺めている人もいるのだとか。確かに、ものすごい開放感があります。しかも、河川中央からの景色なんて、なかなか眺められるものではありません。下を覗き込んだら、意外と川底が浅い場所もあって驚きました。

強風や増水など、天候の悪い日は欠航になるそうなので、天気のいい日にお出かけください。

 

 

不思議な言い伝えをもつ光恩寺の阿弥陀三尊像

赤岩渡船から徒歩約8分のところに、関東屈指の古刹・光恩寺があります。赤岩渡船場を訪れた際には立ち寄っていただきたいスポットです。

案内をしてくださったのは、住職である長柄さん。

言い伝えによると、光恩寺は推古天皇の時代に作られたお寺であり、県指定重要文化財である阿弥陀三尊像、また国指定重要文化財である銅五種鈴を有する、長い歴史と格式のあるお寺です。

こちらの阿弥陀三尊像は、残念ながら撮影禁止だったので写真を載せることができませんが、「焼けだしの弥陀と呼ばれている」という不思議なお話を聞かせてくださいました。大規模な火災が起きた際に、座っている阿弥陀様が立ち上がり、自力でお寺から逃げ出したというもの。背中にはその時に負った火傷の跡があり「焼けだしの弥陀」と呼ばれるようになったそうです。

「今にも動きだしそうなほど生き生きとしていて、話しかけると阿弥陀様の頬が緩むように見える時がある」と言う長柄さん。阿弥陀様には長柄さんの思いが伝わっているのかもしれません。皆さんも御参拝の際には、ぜひ話しかけてみてくださいね。

 

 

小説家 田山花袋ゆかりのうなぎを愉しむ

光恩寺から徒歩で7分ほどのところに、割烹「新田家」があります。名物はうなぎです。

その昔は、旅館を営んでいた新田屋さん。田山花袋の定宿だったそうで入り口には田山花袋の書が飾ってありました(写真下)。

ちなみに田山花袋は、上毛かるたで「誇る文豪 田山花袋」と読まれており、群馬県民だったら小学生でも名前を知っている小説家です。

ちょっと敷居の高いお店かなと思ったら「お一人でご利用される方も結構いらっしゃいます」とのこと。一人でも個室でいただけるとは、贅沢な話です。

 

こちらがうな重。蓋を開けた途端、タレの甘くて香ばしい香りが部屋じゅうに広がりました。150年もの間、継ぎ足し継ぎ足し使い続けている秘伝のタレ。うなぎは一回蒸してから焼くことでふっくら仕上がるそうです。

秘伝のタレについて、ずっと疑問に思っていたことを聞いてみました。「うなぎのタレは、150年も使い続けていて、腐ったりしないんですか?」と。「水分がないので腐らないんです」また「毎日使っているので腐りにくくなります」と丁寧に教えてくださいました。

150年の重みを感じるうなぎ、おいしゅうございました。

 

館林市と千代田町の歴史を感じるおすすめスポットをご紹介してきました。

ぜひ、おでかけください。

 

 

【インフォメーション】

つつじが岡公園

〒374-0005群馬県館林市花山町3181

TEL:0276-74-5233(つつじが岡公園総合管理事務所)

入園料:無料開放中

アクセス:東武伊勢崎線館林駅からバスまたはタクシーで約10分

東北自動車道館林ICから約10分

https://www.city.tatebayashi.gunma.jp/tsutsuji/

 

つつじ映像学習館

〒374-0005群馬県館林市花山町3181

TEL:0276-74-5355

営業時間:9:00~17:00(最終入館16:00)

休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、臨時休館日、年末年始

入館料:大人 500円、小・中学生250円

※入館料には4Dシアター鑑賞券が含まれています。

 

SUGAR HILL CAFE

〒374-0005 群馬県館林市花山町3181

営業時間:10:00~17:00

TEL:0276-52-8306

facebook

https://m.facebook.com/tutuji.sugarhillcafe

Instagram

https://www.instagram.com/sugar_hill_cafe/

 

赤岩渡船

〒370-0503 群馬県邑楽郡千代田町赤岩

電話:0276-86-7003(千代田町 建設環境課)

運航時間4月1日~9月30日       8:30-17:00

10月1日~3月31日       8:30-16:30

※年末年始は運行時間が異なります。

※増水や強風等により運航が危険な場合は運休となります。

運休になると群馬県側に赤旗が上がります。

アクセス:東武伊勢崎線館林駅からバスで約50分

東北自動車道館林ICから約30分

https://www.town.chiyoda.gunma.jp/kankyo/doboku/doboku002.html

 

赤岩山光恩寺

〒370-0503 群馬県邑楽郡千代田町大字赤岩1041

TEL:0276-86-2157

拝観時間:9:00〜16:30

※堂内の見学をご希望の方は事前にお電話にてお申し込みください。

アクセス:東武伊勢崎線館林駅からタクシーで約20分

東北自動車道館林ICから約30分

 

割烹 新田家

〒370-0504群馬県邑楽郡千代田町大字舞木70-1

TEL:0276-86-2008

営業時間 (予約がない場合は)11:00~14:00 16:30〜20:00

定休日:月曜日

アクセス:東武伊勢崎線館林駅からタクシーで約20分

東北自動車道館林ICから約30分

 

 

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。お越しの際は事前にご確認いただくことをおすすめします。

 

 

※2023年1月時点の情報です。