リトリート×産業観光で過ごしたい!東毛エリア・3日間で体験したい9のこと
更新日: 2024年12月06日
群馬県・東部エリアは土地の歴史と文化に触れられる施設がいっぱいです。実際に出かけてみると、静かでのんびりした時間が流れていて、リトリートにピッタリ!どんな楽しみ方ができるのか、実際に巡ってみた3日間の行程と、お店や施設の詳細をご紹介します。
目次: “リトリート”ってなに? |
“リトリート”ってなに?
「リトリート」とは、ストレスフルな日常生活や喧噪から離れて、いつもと違う場所に身を置き、自分自身と向き合う時間を持つことで、心と身体をリフレッシュする、新しい旅のスタイルのこと。リトリートといえば静かな海や山で…というイメージもありますが、非日常を感じられる体験ができる街でのリトリートもおすすめです。時間を気にせず、のんびりと穏やかな旅を楽しみましょう。
“産業観光”ってどんなもの?
「産業観光」とは、その土地に古くから伝わる産業に触れることで、土地に息づく文化や歴史、ものづくりにかける思いを体感する旅のスタイル。例えば群馬県東部エリア(東毛エリア)は、小麦の生産が盛んだったことに由来するご当地グルメや博物館もあり、生糸の生産が盛んだったことから、染色や機織などを体験できる施設も多数。産業遺構も残っているので街を散策しながら産業観光を楽しめます。
1894年創業の老舗うどん店。幅の広い「鬼ひも川」という麺が人気で、大正時代から昭和30年代頃まで販売していたものを50年の時を経て五代目・橋田高明さんが復活させた一品です。特に鬼ひも川と群馬県産麦豚を使用した「鬼釜」は「うどん天下一決定戦」で3年連続1位になった看板メニュー。温・冷を選ぶことができ、冷たい鬼釜には半熟卵がトッピング。つるつるの幅広麺はとても喉越しがよく、館林に来たら外せない名物です。
東京などにも支店がありますが、本店でしか食べることができない限定メニューが「分福茶釜の釜玉うどん」。館林に伝わる昔話『福茶釜』にちなんだ「たぬき」の器に入れた本店限定メニューです。麺は群馬県産小麦を100%使用したもちもちの釜玉うどん専用麺。茹でたてのうどんを色とりどりの具材とともに味わえます。
花山うどんは行列ができる人気店のため、時間に余裕を持って訪れましょう。
・写真左上:「上州舞茸の天ぷら」や「たぬきでポン」などサイドメニューも
・写真右上:本店に隣接している直売所では、お土産が購入可能
・写真下:お土産で一番人気の「鬼ひも川」。自分用、贈答用から選べる
花山うどんの詳細 |
1426年に開院し、館林に伝わる「分福茶釜」で有名な茂林寺。分福茶釜とはむじな(たぬき)の化身である僧侶「守鶴」がもたらした茶釜にまつわる昔話です。その茶釜が湯をいくら汲んでも尽きることがなかったことから福を分け与える「紫金銅分福茶釜」と名付けられたと伝わっています。
1468年に建立された総門をくぐり境内に入ると、参道の両脇に並んでいるのは21体ものたぬき像。ずらりと並ぶ姿は見応えがあります。
最も多くのたぬきの置物が供えられているのが「守鶴堂」です。たぬきたちはどこか憎めない、愛らしい表情で見守ってくれます。
茅葺き屋根の見事な本堂を中心とした茂林寺は自然を感じられる癒しの空間でもあります。境内は四季折々の木々や植物であふれ、樹齢約600年・樹高約14mもある群馬県指定天然記念物の「ラカンマキ」や樹齢約300年の「サワラ」の巨木も。手を合わせるだけで、心が安らぎます。
・写真左上:茂林寺ならではの、茶釜に化けたたぬきの置物
・写真右上:群馬県最大級の大きさを誇るラカンマキ。花言葉は「慈愛」
・写真下:一体一体個性があるたぬき像。参拝者を出迎えてくれます
茂林寺の詳細 住所:群馬県館林市堀工町1570 電話番号:0276-72-1514 拝観時間:9:00〜16:00 アクセス:館林ICより車で約10分 公式サイト:https://morinji.com/ |
江戸時代から綿花栽培が盛んで、農家の副収入として綿織物が作られていた館林。木綿から作られている「館林紬」は唐桟(とうざん)という縦縞模様が特徴となっており、昭和初期には全国に名が知れ渡るほどの人気ぶりでした。絹よりも江戸時代の庶民になじみがあった木綿は袖を通すと肌なじみが良く、どこか温かみを感じる風合い。現在は後継者不足から館林紬を織る人がいないため、現存する生地や着物はとても貴重です。
貴重な館林紬の着物をレンタルして着ることができるのが「和結(わむすび)」。「館林紬を広めていきたい」という想いで代表の小堀美津子さんが立ち上げた着物イベント団体です。花の季節に合わせて開催する着付け体験のイベント「きものであそぶ日」では、着物を着て旧秋元別邸周辺を散策できます。InstagramアカウントのDMから個別に日程相談することも可能。館林市内の歴史を感じるスポットで写真を撮れば、非日常感を感じられます。
・写真左:蝶の絵柄が可愛らしい、館林を代表する「山岸織物」の館林紬
・写真右:柔らかな風合い。和結では男性用・女性用のレンタルが可能
和結の詳細 住所:群馬県館林市下三林 問い合わせ:Instagram @tatebayashi_wamusubi 料金:3,000円〜(着物レンタル、着付け含む) 公式サイト:https://www.instagram.com/tatebayashi_wamusubi/ |
写真撮影を楽しみながら近代産業遺産を見学
4.製粉ミュージアム
小麦粉「フラワー」でおなじみの日清製粉グループは、1900年に群馬県館林市で生まれた企業。2012年、日清製粉グループが創業の地・館林に開設したのが「製粉ミュージアム」です。施設内は製粉技術について学べる「新館」から見学スタート。新館では小麦を細かく粉砕する新・旧「ロール機」の実物を見学できたり、映像やクイズ形式で小麦粉について深く理解したりと、楽しみながら学ぶことができます。古くから小麦栽培が盛んだった群馬の象徴的な施設といえるでしょう。
続いて「本館」では、創業者の正田貞一郎さんが立ち上げた創業期からの歩みを知ることができます。正田貞一郎さんは上皇后陛下の祖父であり、先見の明をもって製粉事業に注力した第一人者です。また、1910年に建てられた本館は創業期から事務所として使われていた貴重な近代産業遺産。製粉ミュージアムは製粉をテーマにした文化施設ですが、西洋風の本館や美しく手入れされた日本庭園で写真撮影が楽しめることも魅力です。
・写真左上:今なお残る100年以上前のレリーフ。縁起の良い鶴と亀
・写真右上:「フラワー」や「マ・マー」など日清製粉グループの商品も展示
・写真下:春は桜やつつじも咲く日本庭園。池には錦鯉が泳いでいます
製粉ミュージアムの詳細 住所:群馬県館林市栄町6-1 電話番号:0276-71-2000 営業時間:10:00~16:30(入館は16:00まで) アクセス:館林ICより車で約15分 入館料:大人 200円、小人(小・中学生)100円 公式サイト:https://www.nisshin.com/museum/ |
瞑想でリトリート。お寺に泊まるという“非日常”
5.Temple Hotel Kannon-in
提供元:Temple Hotel Kannon-in
1644年に開山し、約380年もの歴史を持つ真言宗豊山派の「観音院」。関東八十八ヵ所霊場第十番霊場及び上州観音霊場三十三カ所第五番霊場となっており、県外からも多くの人が参拝に訪れます。2019年には「Temple Hotel Kannon-in」として宿坊を開業し、1日1組限定で宿泊が可能。最新のバス・トイレ・キッチン・露天風呂で快適に過ごしながら、和の趣きあふれる空間を独占できます。
宿泊者はもちろん、それ以外の人も予約できる「お寺体験」。毎朝6時からの「勤行」、書道師範の住職とともに取り組む「写経」、仏様の絵をなぞる「写仏」などさまざまな体験から選ぶことができ、リトリートが目的の旅なら「瞑想」がおすすめです。江戸末期に建てられた本堂で観音院が大切にしている大日如来と向き合い、自分の心に問いかける体験となっています。日常から離れ、心静かに自分と向き合うだけで心身をリラックスできます。
・写真左上:ししおどしや石灯篭が置かれ、和の空気感が漂う美しい中庭
・写真右上:厄除けなどのご利益がある日限地蔵尊が祀られています
・写真下:京都の陶芸家・滝口和男さんが本堂の襖に描いた象のアート
Temple Hotel Kannon-inの詳細 |
産業遺産“のこぎり屋根”のパン屋さんでカフェタイム
6.ベーカリー&カフェ「レンガ」
「のこぎり屋根のパン屋さん」として知られる、ベーカリー&カフェ「レンガ」。大正時代に織物工場として使われていたレンガ造りの建物を活用した、地元で人気のパン屋さんです。桐生の街を代表するギザギザしたのこぎり屋根は織物作りに適した形で「複数の屋根から採光することで室内を明るく保つ」、「北向きの柔らかな光で織物の色が見やすくする」、「織機の音を乱反射させて小さくする」といった利点がありました。
店主の武田俊雄さんは桐生で織物業を営む企業の三代目として織物を作っていましたが、35歳の時にパン屋さんへと転身。2010年には「レンガ」をオープンし、40年以上パンを作り続けています。
パンのこだわりは厳選した材料。特に桐生市「田中牛乳」のコク深い牛乳が味の決め手です。人気No.1はレンガの形をした「のこぎり屋根のフレンチトースト」!黒蒸しパンに水羊羹を挟んだパン「レンガ」もユニークです。
・写真左上:豊富なパンのラインナップ。焼き立てがずらりと並びます
・写真右上:田中牛乳と、桐生名物の「みそパン」&「ビスロール」
・写真下:レンガに囲まれたカフェエリアで飲食が可能
ベーカリー&カフェ「レンガ」の詳細 |
織物の町「桐生」を肌で感じる、機織り体験
7.織物参考館“紫”
江戸時代から「西の西陣、東の桐生」と呼ばれ、高級な絹織物の産地として有名な桐生。その歴史は約1300年前から始まり、関ヶ原の戦いでは軍旗に使われるなど、安土桃山時代には高い技術で織物を生産していたことがわかっています。
「織物参考館“紫”」は本物の織機を見て、触って、学べる体験型織物博物館。特に模様を描く時に白い布を染めるのではなく、糸を染めてから布に織り上げる桐生ならではの技術を深く学べます。
入館者が実際に触ることができるのが、1733年にイギリスで発明された「半高機飛び杼(はんたかはたとびひ)装置付き」。織るスピードが格段に上がり、産業革命の一端を担った織機です。実際に半高機飛び杼で織ってみると、いかに1枚の生地を作ることが大変だったかを実感できます。体験だけでなく、自分が作った織物を持ち帰れる事前予約コースもおすすめ。所要時間はコースターやちびマットが約1時間です。
・写真左上:3人がかりで織る「ジャンボ高機」。現存する日本最大の手織機
・写真右上:桐生の織物をお土産に。ぐんまちゃんのポーチが人気
・写真下:ハンカチの藍染体験も可能。染める衣類は持ち込みOK
織物参考館“紫”の詳細 |
レンガ造りの蔵や木造建築など古き良き街並みが残る桐生で、ひときわおしゃれなお店が「usine(ユージーン)」。有名ブランドの帽子制作を手がける「com+position(コンポジション)」の直営店です。展示販売のほか、オーダーメイドで帽子を作ることができます。サンプル帽子の一部を変更するセミオーダーから、素材や形を一から決めるフルオーダーまで対応。中折れハット、麦わら帽子、ベレー帽……どんな帽子も相談できます。中には桐生産の糸を仕様しているものも。
usineのめずらしいサービスが「帽子の型入れ体験」。オーダーメイドの帽子を作る工程の一部を体験できます。体験の流れは来店する10日前までには予約し、帽子のイメージを伝えてから来店。お店の工房で、まだ未完成の帽子を自分の手でアイロンを使って整えていきます。型入れが完了したら、最後の仕上げをプロの手で行い、2〜3日後には自宅に発送。自分で作った世界にひとつだけの帽子は、より一層愛着が湧きます。
・写真左上:桐生新町重要伝統的建造物群保存地区の一角にあるusine
・写真右上:イメージする写真を見せて、帽子をオーダーすることも可能です
・写真下:帽子の素材はフェルト、シルク、アクリル、和紙、麦わらなど
usineの詳細 |
光の差し込む美しい図書館で、感性を磨く
9.太田市美術館・図書館
提供元:©Daichi Ano
街の賑わいの創出を目指して2017年に誕生した「太田市美術館・図書館」。美術館や図書館のほかカフェもあり、市民の憩いの場となっています。建物の設計は建築家の平田晃久さんが担当。周辺の古墳や赤城山をイメージした小高い丘になっており、各階のテラスで過ごす時間も癒されます。市民だけではなく、観光客ももちろん入館OK。太田駅の目の前にあるので、電車に乗るまでの待ち時間にふらっと訪れることもできます。
白を基調としたガラス張りの図書館は明るい光が差し込み、とても開放的です。本の並べ方、配置、案内板など細部までデザインが宿っています。本のラインナップは太田市にあるほかの図書館と差別化し、アートと絵本・児童書に関連した本が中心。厳選された約46,000冊が並び、なかなか手に入らない貴重な画集もあります。デザイン性あふれる館内で本を読むだけで、感性が磨かれていくような気分にさせれくれます。
・写真左上:2階〜3階に建築・デザイン、音楽などのアートブックが配置
・写真右上:椅子が用意されたテラス。青空の下、読書を楽しむのもおすすめ
・写真下:2階の絵本・児童書コーナー。60カ国以上の本が読めます
太田市美術館・図書館の詳細 |
日々の喧騒から離れ、自分自身と向き合いながらのんびりリトリートできる群馬県東部・東毛エリア。歴史・文化を身近に感じられる産業観光も楽しみながら、心身ともにリフレッシュする旅へと出発しましょう!