新緑の観音山で日本文化に触れる「観翠会(かんすいえ)−和文化ふぇす−」 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

1日でさまざまな和文化を体験できる「観翠会(かんすいえ)-和文化ふぇす−」
<快晴の空に新緑と観音さまの白が映えます>
「観翠会−和文化ふぇす−」は、高崎市内の和文化愛好家たちが有志で企画・運営しているイベントです。感染症流行時を除いて毎年開催され、2025年に7回目を迎えました。
会場は「高崎白衣観音 慈眼院」。境内にある高さ41.8mの巨大な観音像は、「高崎観音」「観音さま」などの通称で親しまれています。
観翠会では、以下の9種類の体験会が開催されます。
●茶会体験
●抹茶体験
●香道体験
●日舞体験
●写経体験
●三味線体験
●いけばな体験
●上毛かるた
●だるま絵付け体験
それぞれ15分〜1時間程度で、体験料も500円〜1,500円程度とリーズナブルです。「ちょっと試してみたい」という気軽な気持ちで参加できるのも、魅力の一つではないでしょうか。
創造性を解放!誰でも楽しめる「いけばな体験」
<半屋外で新緑を楽しみながら体験できます>
最初に挑戦したのは、本堂の半屋外で行われる「いけばな体験」です。「センスが必要そうだけど、自分にもできるだろうか…」と思いながら会場に向いましたが、実際に体験してみると手を動かすのに夢中で不安になる暇もありませんでした。
<体験者の席にはあらかじめ必要なものが揃えられています>
まず自分の好みの色の花を選び、先生の指導で順に生けていきます。先生が生けた見本もあり、茎を切る長さも具体的に示してもらえるので、1本1本生けるごとに完成形に近づいていくのがわかります。
<私はオレンジ色のカーネーションを選びました>
<向かいの席では小学生の女の子も奮闘していました>
体験時間は20分ほど。「どの角度が花が一番きれいに見えるかな?」と花と向き合う時間は、日常を忘れて無心になれる貴重なひとときでした。
完成した作品は持ち帰ることができるので、家に帰ってからも数日に渡って観翠会の思い出を楽しめます。
<完成!いけばながあるだけで空間が華やぎます>
「香道体験」で香木を聞き比べてリラックス
次に私が体験したのは、香木の香りを楽しむ「香道体験」です。こちらは本堂の奥の階段を下ったところにある「一路堂」で開催されます。
<この門をくぐって、石の階段を降りたところに「一路堂」があります>
普段は「一路堂CAFE」として営業している建物で、大きな窓からは観音山の自然を存分に楽しめます。
<窓一面に広がる観音山の緑に圧倒されます>
私は香道がどのようなものかもわからない状態での参加でしたが、他の参加者も初心者ばかりで、気負うことなく参加できました。
体験では、まず香道の基本的な作法を学びます。香炉の持ち方から香りの聞き方まで、一つひとつの動作に意味があることを知り、その奥深さに驚かされます。「香りを嗅ぐ」ではなく「香りを聞く」という表現にも、繊細な美意識を感じました。
<右手を筒状にし、香りを逃さないようにしながら聞き比べます>
その後は香木の香りを聞き比べる「組香(くみこう)」にも挑戦。私は3種類中1種類の正解にとどまりましたが、深く落ち着いた香りや上品で甘い香りなど、言葉では表現しきれない香道の豊かな世界に引き込まれました。
観音山の清らかな空気と相まって心静まる、まさに心身のリフレッシュタイムです。
<3種類すべてに正解すると「五月晴れ」、2種類正解で「五月雨」と表現します>
「茶会体験」で心豊かなひとときを
最後に体験したのは、同じく一路堂で行われる「茶会体験」です。
<気軽に質問できる、和やかな雰囲気です>
茶会体験は、一路堂の奥まった空間にある4.5畳の本格的な茶室で行われます。
茶道には本来さまざまな作法があり、「お茶が出されるまでにお菓子を食べきる」などの決まりもあるのですが、観翠会ではまずは楽しむことが優先です。「せっかくなので、お菓子と抹茶のペアリングも楽しんで」との先生の声かけに、場が和みます。
今回一緒に提供された季節のお菓子は、地元の和菓子屋さんによる、白衣観音の「白」と新緑の「緑」をイメージしたものだそう。この日の、燃えるような新緑にぴったりのお菓子です。
苦味の中にある抹茶の深い味わいと、和菓子の上品な甘さとの調和に、心まで満たされるのを感じました。
<一つ一つ異なる優美な茶碗も見どころです>
三味線の体験会や和太鼓演舞も
<県立高崎高校による和太鼓演舞>
すべてを紹介することはできませんが、ほかにも多くの体験が楽しめます。
タイミングよく見学できた「三味線体験」は、実際に三味線を手に取りながら、だんだんと演奏のコツを掴んでいく過程が醍醐味です。「すごい!こんなに上手に弾ける人、群馬で見たことないよ!」と励ましてくれる先生のキャラクターにも癒されます。
また、観音さまの足元では、県立高崎高校の「漢組(おとこぐみ)」による和太鼓演舞も披露され、多くの観覧者で賑わっていました。
境内にはキッチンカーも出店しているので、お腹が空いても心配は無用です。オムライスやパスタなどの食事系から、クレープやババロアなどのスイーツまで揃っていて、エネルギーチャージしながら一日中体験を楽しめます。
敷居が高いと思われがちな和文化も、実際に体験してみるとその魅力を身近に感じることができました。
観翠会では「もっとじっくり体験したい」という方のために、講師それぞれの拠点での「後日体験」も設定されています。当日来場できない方でも参加できるので、次回の開催日程と併せて、ぜひ公式HPをチェックしてみてください。
※この記事は2025年5月25日に開催された「観翠会」を取材したものです。今後の開催では、内容等が変わることがありますので、HP・SNSでご確認の上、お出かけください。
インフォメーション
観翠会(かんすいえ)−和文化ふぇす−
開催場所:高崎白衣観音慈眼院境内
住所:群馬県高崎市石原町2710-1
開催時期:毎年5月(詳細な日程はHP・SNSで告知)
参加費:各体験500円〜1,500円程度
SNS:https://www.instagram.com/wabunkafestibval/

望月優衣