沼田のとんかつ街道を行く 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

とんかつ金重

更新日: 2025年04月24日

群馬県は全国屈指の養豚県であり、沼田市の国道120号沿いにはトンカツ店が集まり「とんかつ街道」と呼ばれています。この記事では、とんかつ街道の参加8店舗を紹介します。また、群馬県は枝豆の生産においても全国有数です。地元の利根実業高校の生徒が考案・開発した、枝豆を入れたメンチカツ「えだまメンチ」も、このとんかつ街道で味わうことができます。

とんかつ トミタ

店内

<日本有数の河岸段丘が望める店内>

写真提供:とんかつ トミタ

 

この店から見える河岸段丘は一見の価値ありです。初代店主がこの絶景に惚れ込み、この地に店舗を移転したそうです。ここで提供させるトンカツは老舗ならではの伝統のレシピで忠実に作られています。使う豚肉は群馬県産の麦豚と下仁田ポークです。パン粉は、パンを冷蔵庫で寝かせた後に手で削って作っています。油は、豚肉の甘味とコクが出るようにラードをブレンドしたサラダ油を使い、低温でじっくり揚げています。トンカツに合わせるソースや味噌汁に使われている味噌も自家製です。手作りの細かいパン粉を使っているため、衣が薄くなり、食べやすいトンカツに仕上がるそうです。人気のメニューは、「上ロースカツ定食」、「真田とんかつ定食」、「天狗とんかつ定食」だそうです。「真田とんかつ定食」と「天狗とんかつ定食」では沼田の名物である「えだまメンチ」やヒレカツなどいろいろなカツを楽しめます。

 

<「えだまメンチ」(右下)も楽しめる「真田とんかつ」>

写真提供:とんかつ トミタ

 

とんかつトミタ

住所:群馬県沼田市久屋原町767-7
電話:0278-23-3664
営業時間:11:00~20:30
定休日:水曜日

https://tonkatsutomita.com/ 

SNS:https://www.instagram.com/tonkatsu_tomita/

 

食事処 あづま

外観

<駐車場にある船が目印です>

 

駐車場の脇に船が置かれている個性的店舗ですが、妙に居心地がよく、長居してしまいそうです。この店では、トンカツに使う肉は銘柄にこだわらず、その時に最も良い肉を仕入れているそうです。さらに柔らかさと火の通りのバランスを考えた上で限界まで厚くスライスして、硬い筋の部分を丁寧に取り除いて使っているとのことです。パン粉は、サクッと仕上がるように油切れの良い粗めのモノを使い、定評のあるサラダ油でカラッと仕上げています。また、店自慢の味噌ダレは、八丁味噌や赤だしをブレンドし、香りづけに柚子の果汁を、隠し味にすり胡麻を加えたオリジナルです。この味噌ダレを使った「特選みそかつ定食」がおすすめです。蕎麦付きを選べば田舎蕎麦も楽しめます。蕎麦つゆには、良質のサバを使用した厚削りの鯖節で出汁をとっています。その他にも、ご飯の代わりに蕎麦が付いたヒレカツセット「姫御膳」や卵3個を使った「かつ丼」など、お客様の要望を積極的に取り入れたメニューも用意されています。

 

<柚子の香りが自慢の「特選みそかつ」>

写真提供:食事処 あづま

 

食事処 あづま

住所:群馬県沼田市久屋原町53-1
電話:0278-23-8898
営業時間:平日11:30~14:00、17:00~20:00(ラストオーダー19:30)
     土日祝11:00~14:30、16:30~20:00(ラストオーダー19:30)
定休日:木・金曜日

 

cafe kitchen guu

外観

<グリーンの建物に豚のイラストが印象的>

 

グリーンを基調とした店舗には手作りの調度品がならび、アットホームな雰囲気です。本来はカフェなのですが、プラスαで始めたトンカツがあまりにも好評で、今ではすっかりトンカツのイメージが定着してしまったそうです。使用する豚肉はやまと豚です。当初は、他の銘柄豚を使う予定でしたが、試食したやまと豚に惚れ込でしまい、やまと豚を使うために、既に決めていた調理方法を再検討したそうです。パン粉はボリューム感が出る粗めの生パン粉を使っています。キャノーラ油で低温の二度揚げを行い、油っぽくなくカラッと仕上げています。トンカツには手作りでブレンドしたソースを合わせていますが、最初の一口目は、岩塩のピンクソルトで肉本来の味を感じてもらいたいそうです。味変のために、トッピング用としてチーズ、おろしポン酢、トマトガーリックも用意されています。女性の支持が高い「ロースカツセット」の他に、ハンバーグ、カキフライ、鶏の香草焼きから選べる「限定ランチ」や「生姜焼きセット」が人気です。5名以上のお客様は、事前に予約いただけるとありがたいそうです。

 

<ガチなトンカツ「ロースカツセット」>

写真提供:cafe kitchen guu

 

cafe kitchen guu

住所:群馬県沼田市久屋原町333-4
電話:0278-25-3393
営業時間:11:00~21:00
定休日:月曜日、第3火曜日

https://www.instagram.com/cafekitchenguu/ 

 

白沢高原温泉 望郷の湯

望郷の湯

<利根沼田観光の疲れを癒す温泉施設>

写真提供:白沢高原温泉 望郷の湯

 

望郷の湯は、片品川がつくる河岸段丘や赤城山、子持山を望む日帰り温泉施設です。冬にはスキーやスノーボードなどのウインタースポーツ、春から秋にかけては尾瀬や吹割の滝などを訪れる観光客で賑わいます。また、敷地内の農産物直売所「座・白沢」では、トマト、トウモロコシ、リンゴなど、採れたての新鮮な農産物を購入できます。併設された食事処「レストラン 望郷」では、上質な豚のロース肉やヒレ肉に粗めのパン粉を丁寧にまぶし、サラダ油でじっくりと揚げたトンカツ定食を、リーズナブルな価格で提供しています。人気のトンカツの他に「天ざるそば/うどん」も好評です。また、屋外にあるソフトクリーム売店では、「えだまメンチ」が食べられます(4月上旬〜11月上旬)。

 

<ロースカツ定食>

写真提供:白沢高原温泉 望郷の湯

 

<ソフトクリーム売店で食べられる「えだまメンチ」>

写真提供:白沢高原温泉 望郷の湯

 

白沢高原温泉 望郷の湯 レストラン 望郷

住所:群馬県沼田市白沢町平出1297
電話:0278-53-3939
営業時間:11:00~15:00(ラストオーダー14:30)、16:30~21:00(ラストオーダー20:00)
定休日:4・6・9・12月第2火曜日、毎年12月31日

http://www.boukyou.com/ 

 

Restaurant ふらいぱん

外観

<トリコロールの看板が目立ちます>

写真提供:Restaurant ふらいぱん

 

この店舗は、片品村で20年以上にわたり、地元に愛されている名店「イタリアンレストラン ふらいぱん」の2号店です。店主の父が営む本店で修行した後に、本店の味を広めたいと沼田市内で開店し、5年が経ちます。気軽に楽しんでもらいたいという店主の思いから、リーズナブルな価格で提供できるように工夫されています。そんな洋食屋で出すトンカツは、トンカツのルーツとされている「ポークカツレツ」です。上質なロース肉に細かいパン粉を薄くまとわせ、チーズをのせてオリーブオイルでパネソテー(揚げ焼き)しています。以前はカツレツを皿に移し替えていましたが、現在では調理に使った鉄板のまま提供されています。これにより、保温性が高まった上に香り、音などでも楽しんでもらえるようになったそうです。カツレツに合わせるデミグラスソースは、店主の父直伝で、1週間かけて準備し、仕上げに上新粉であっさりとしたとろみをつけています。「ポークカツレツ」は夜のみの提供になっていますが、人気のビーフシチューやハンバーグは終日OK!だそうです。

 

<香りや音でも楽しめる「ポークカツレツ」>

写真提供:Restaurant ふらいぱん

 

Reataurant ふらいぱん

住所:群馬県沼田市久屋原町767-7
電話:0278-23-3664
営業時間:11:00~20:30
定休日:火・水曜日

https://www.instagram.com/huraipan841/

 

とんかつ 金重

外観

<赤い看板が目印です>

 

沼田のとんかつ街道の代表的なお店の一つで、店内は落ち着いた雰囲気です。使用する豚肉は、6週間以上熟成させた超熟尾瀬ドリームポークや上州麦豚などの銘柄豚。金重のトンカツといえば、その“白さ”が特徴です。使っている粗めのパン粉は、低糖質パンの耳の部分を切り落とし、削ったものです。これを銘柄豚の肉にまとわせ、キャノーラ油に綿実油をブレンドした油を使い、低温で二度揚げすることで、金重の特徴である白いトンカツができあがります。そんな金重の一推しは、「上ロースカツ定食」です。これは「超熟尾瀬ドリームポークのロースカツをもっと食べたい!」というリクエストに応えたメニューです。仕上がり300gにするために大きくカットしたロース肉を4時間かけて低温調理した後に、さらに追熟させるなど手間を惜しまず、こだわりまくった逸品です。

 

<こだわりが詰まった「上ロースカツ定食」>

 

とんかつ 金重

住所:群馬県沼田市白沢町高原26-8
電話:0278-20-9116
営業時間:11:00~売り切れ仕舞い
定休日:金曜日(祝日営業)

https://kanejyukintarou.com/

 

和食とんかつ まるきち

大きな看板

<ひときわ目を惹く大きな看板>

 

国道120号沿いの創業29年目のトンカツの繁盛店です。店内は明るく、座敷とテーブル席からなっています。壁にはレトロなポスターが貼ってあったり、農産物を売っていたりして、居心地が良い空間です。トンカツに使っているのは脂身の甘みが特徴的な奥利根もち豚のロースと、味がよく、しっかりとした食べ応えがある上州豚のヒレです。これらに、剣先が立ち、食感が良くなる粗いものと肉の旨みが引き立つ細かいものをブレンドしたパン粉をまとわせて、綿実油を用い低温でじっくりと揚げています。これらのカツにかけるソースと味噌ダレは店のオリジナルで、特に味噌ダレは八丁味噌をベースに食べやすいように工夫した自慢の味だそうです。人気の「秘伝特製みそだれロースかつ定食」などの定食には、新潟県産のコシヒカリのご飯、味噌汁、サラダ、香の物などがついてきて、満足感でいっぱいです。

 

<地元、奥利根もち豚の「秘伝特製みそだれロースかつ定食」>

写真提供:和食とんかつ まるきち

 

和食とんかつ まるきち

住所:群馬県沼田市白沢町高原48-2
電話:0278-53-4810
営業時間:11:00~15:00、17:00~20:00
定休日:火曜日

https://www.instagram.com/tonkatsu_marukichi/

 

南郷温泉 しゃくなげの湯

外観(夕方)

<根利川に沿った温泉施設>

写真提供:南郷温泉 しゃくなげの湯

 

しゃくなげの湯は、根利川のほとりにある杉と檜による木造施設で、源泉100%掛け流しの日帰り温泉です。農林産物直売所「南郷市場」では生産者が丹精込めて育てた新鮮な朝一野菜が並んでいます。併設の食事処「つつじ亭」では、上質な豚肉に粗めのパン粉をつけ、サラダ油で丁寧に調理されたトンカツがリーズナブルに提供されています。人気のトンカツの他に、そばと天ぷらが楽しめる「しゃくなげ定食」が好評です。沼田名物の「えだまメンチ」も定食で味わうことができます。

 

<ロースカツ定食>

写真提供:南郷温泉 しゃくなげの湯

 

<沼田名物「えだまメンチ」も食べられます>

写真提供:南郷温泉 しゃくなげの湯

 

南郷温泉 しゃくなげの湯 つつじ亭

住所:群馬県沼田市利根町日陰南郷100
電話:0278-20-0011
営業時間:平日10:00~15:00(ラストオーダー14:00)、土日祝10:00~21:00(ラストオーダー20:00)、
定休日:木曜日(祝日の場合には前日が休館)

https://syakunage.jp

 

 

とんかつ街道を行くにあたりトンカツについて少し調べてみました。豚肉のこと、パン粉のこと、油のこと・・・等々、トンカツの要素はあげればキリがありません。各店舗ではこれらの多くの要素からなるパズルを解き、それぞれの店にとっての最適解を導き出しています。どうぞ、多くの店舗で食べてみてください。そして、ご自身にとって最適なトンカツを見つけてください。

 

ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)

福田 靖

ぶどう園「福田ぶどうマルシェ」にいます。学生時代に養豚場でアルバイトをし、現在も獣医師として養豚に関わっていることもあり、豚には思い入れがあります。カツ丼というとソースカツ丼と卵とじカツ丼がありますが、ソースカツ丼は群馬のソウルフードの一つのようです。でも、私は卵とじ派です。