谷川の風に育まれた生ハムを楽しむ−育風堂− 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

はもんみなかみ

更新日: 2025年04月08日

みなかみ町にある育風堂では、群馬麦豚を熟成させた生ハム「はもんみなかみ」の製造や希少な増田和牛の精肉を取り扱っています。また、併設のレストランでこれらを楽しむこともできます。今回はそのこだわりを伺いました。 

60年続く老舗精肉店の3代目のこだわり

育風堂(外観)

<川と緑にかこまれた店舗> 

写真提供:育風堂 

 

みなかみ町の精肉店「育風堂」の3代目である須田 麻紀夫氏は、商品の品質にこだわり続けています。使用するのは、新鮮で安心・安全な群馬県産の豚肉や牛肉、フランス産の岩塩、ドイツ産のスパイス、山桜のスモークチップなどの厳選された素材。そして、それらのこだわりの材料には、自然豊かな水上の水が注がれています。一方で、グルテンや大豆タンパクなどの増量剤は使用せず、添加物は品質を保持するために加えなければならない必要最小限にとどめています。 

 

<こだわりを持つ店主である 須田 麻紀夫氏> 

 

<ソーセージや精肉が収められたショーケース> 

写真提供:育風堂 

3代目のこだわりの結晶「はもんみなかみ」

店主と「はもんみなかみ」

<温湿度を厳密に管理し、長期熟成される「はもんみなかみ」> 

写真提供:育風堂 

 

看板商品である「はもんみなかみ」は、群馬麦豚の後肢を丸ごと一本使用しています。12ヶ月の間、谷川岳から吹き下ろす風にあて乾燥熟成させたこだわりの逸品です。群馬麦豚は赤身にクセがある反面、昔ながらの味わいがあり、サシが入ることにより生ハムの素材として最適だそうです。乾燥熟成の過程で11kgあった後肢は7kgに重量を減らし、旨みが濃縮されます。カット前の骨付き生ハムは原木と呼ばれ、育風堂ではこの「はもんみなかみ」の原木も販売しています。カットしたての生ハムは別格だそうで、常温保存できる生ハムを自宅でカットして食べるのだそうです。そのカットしたての生ハムを試食しましたが、塩味と脂身が絶妙で「美味しいな、これ!」って思いました。 

 

<スライスされた「はもんみなかみ」> 

写真提供:育風堂 

本当に旨い、ハムソーセージを食べてもらいたい

こだわりのハムやソーセージ

<こだわりの製法で作られるハムやソーセージ> 

写真提供:育風堂 

 

昔ながらの製法をもとに肉そのものの味を大切にして、ハムソーセージを手作りしています。「谷川の雪サラミ」は、カマンベールチーズと同様な白カビをまとった、谷川岳を想い起こさせる白いサラミで、グリーンペッパーをアクセントとして入れています。群馬県産の豚肉を永井酒造の谷川岳の原酒に浸し、温度10℃、湿度70-75%、60-90日間乾燥熟成させています。このサラミを食べるとスパイスの香りと熟成された旨みが口に広がります。 

ジャーキーは、黒毛和種、もしくは群馬麦豚を、野菜、スパイスを塩で煮込んだブイヨンで一晩漬け込んだ後に低温乾燥させ、仕上げに山桜チップを用いて燻煙しています。その他、上州牛を用いたローストビーフなども好評です。 

 

<雪のように白い「谷川の雪サラミ」> 

写真提供:育風堂 

 

<理想を追い求めたビーフジャーキー> 

写真提供:育風堂 

増田牛・・・、食べてみたくなりました

増田和牛(A5サーロイン)

<増田牛のA5サーロインステーキ> 

写真提供:育風堂 

 

育風堂では、上州牛、さらに増田牛というこだわりの牛肉も扱っています。 

増田牛は群馬の榛名山の山麓で育てられている黒毛和種のメスで、出荷されるのは週に10頭に満たない希少種です。メスは小柄ですが、脂のキメが細かく柔らかな肉質となります。多くの肉牛は27ヶ月ほどの飼育期間に対して、増田牛は36ヶ月をかけてじっくり育てます。稲わらや麦等の良質な飼料をベースとして、出荷前の6ヶ月には炊き餌と呼ばれる2度蒸しした大麦を与え、あっさりとした脂に仕上げます。 

豚肉では、中国黒豚とデュロックの交配種であり、牛肉のようにサシが入る超力豚や、抗生剤・合成抗菌剤を無処置の江原ハーブ豚も扱っています。

併設のレストランで舌鼓を打つ

育風堂(併設レストラン)

<明るく居心地の良い室内> 

写真提供:育風堂 

 

育風堂では併設したレストランで、ハムソーセージや増田牛などを食べることができ、新緑や紅葉の時季には開放感のあるテラス席も利用できます。メニューには、上州牛や希少な増田牛などのステーキ、骨付きが人気なポークステーキ、肩ロースの塊を焼いたローストポーク、さらにはカツ丼などが並んでいます。人気No.1のカツ丼のトンカツは肉厚ですが、非常に柔らかくて食べやすいです。味付けは少し甘めですが、私は非常に美味しいと感じました。テイクアウトも可能なので時間がない時にはそちらもありです。

 

<やっぱり骨付き!リブボーンポークステーキ> 

写真提供:育風堂 

 

<人気No.1のカツ丼>

 

<テイクアウトでも旨いカツ丼>

 

ぐん記者となり、いつか育風堂の生ハムを紹介したいと考えていました。生ハムというと外国のものが思い浮かびますが、育風堂のこだわりを伺い、作り手が見えるという意味でも育風堂のそれは海外産に劣らない魅力を感じました。 

 

インフォメーション

有限会社 育風堂精肉店 

住所:群馬県利根郡みなかみ町大穴814-1 
電話:0278-72-3574 
FAX:0278-72-3637 
営業時間:10:00~18:00 
定休日:水曜

メールアドレス:info@ikufuudo.com

SNS:https://www.facebook.com/ikufuudo/ 

 

ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)

福田 靖

群馬県前橋市生まれの猫好きです。観光ぶどう園「福田ぶどうマルシェ」にいます。獣医大学の学生時代に養豚場でバイトをし、現在も獣医師として養豚にかかわっていることもあり、豚とその肉には思い入れがあります。