子犬から老犬まで楽しく宝物探しゲーム、心身を健康にする「ノーズワーク」とは?

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更新日: 2025年03月31日

愛犬との旅をもっと安心で楽しいものにするために、日頃からできる準備のひとつが「ノーズワーク」です。嗅覚を使った遊びであるノーズワークは、犬の自信を育て、環境の変化にも落ち着いて対応できる力を養う効果があります。旅先では、知らない場所や新しい匂いに戸惑うこともありますが、ノーズワークで培った探究心や集中力があれば、愛犬も安心して旅を楽しめるはず。旅のストレスを減らし、愛犬との特別な時間をより充実させるために、ノーズワークを日々の習慣に取り入れてみませんか?

「ノーズワーク」って何?

「ノーズワーク」とは、宝物探しの一種で、食べ物や特定の香りなどを探し出すゲームのことです。

探し出すものに決まりはなく、愛犬が好むおもちゃや飼い主さん自身(かくれんぼ)であっても構いません。
また、これを使わなければいけないといった厳密な決まりもないので、おやつを箱や袋に隠すなど身近なもので代用でき、気軽にできるゲームでもあります。

近年では特定の香りを探すようにゲーム化したノーズワークもありますが、一般の飼い主さんが愛犬と毎日でも楽しめるコミュニケーションの一つと言えます。

 

ノーズワークのメリット

では、ノーズワークがすすめられるメリットはどこにあるのでしょうか? それには以下のようなものがあります。

  1. 嗅覚を使うことで脳を刺激し、アンチエイジングや脳の活性化に期待できる
    匂いを嗅ぐことで嗅覚が刺激されると、その信号は大脳に伝わり、脳の活動が活発になると言われます。

  2. ストレスの発散・解消に役立つ
    同じく、脳に届いた嗅覚からの刺激(好きな匂い)はストレスの抑制にも関係すると言われています。また、軽く体を動かすこと自体がストレスの発散や解消につながります。

  3. 犬の本能的欲求を満たせる
    匂いを嗅ぐという行為は犬の本能的なものであり、このゲームをすることでその欲求を満たすことができます。

  4. 犬なりの達成感を味わえる
    食べ物を自分で探して「見つけた!」という犬なりの達成感も味わえるはずです。

  5. 散歩に出られない時の軽い運動になる
    天気が悪く散歩に出られない時など、おやつや好きな匂いを探して歩くことで軽い運動になります。

  6. 老犬の体力・意欲づくりになる
    老犬は寝ている時間が多くなり、運動量が減って筋力も落ちてきますが、匂い探索によって無理なく体を動かすことができ、筋力維持につながります。
    同時に、意欲も低下しがちな老犬にとっては、消えつつある意欲を呼び起こすきっかけにもなるでしょう。

  7. 飼い主さんと犬とのコミュニケーションづくりやしつけの場にもなる
    一緒に遊ぶことで愛犬とのコミュニケーションになり、また、シーンによっては「マテ」「スワレ」などのしつけを教えたり、強化したりする機会にもなります。

ノーズワークのやり方

ここからはノーズワークのやり方についてお話したいと思います。

用意する物

  • ・愛犬が好むおやつやフード

  • ・市販されているノーズワーク用のマット、またはおやつが入れられる犬用知育玩具、空き箱などのいずれか

食べ物はドライフードや小魚、チーズ、レバーのような一口で食べられる小さめのものを。最初は探しやすいように愛犬が大好きな食べ物で、やや匂いの強いものがおすすめです。

慣れてきたら食べ物を特定の匂いがするもの(犬用アロマやシャンプーなど)に替えて楽しむこともできますが、ここでは初級編ということで食べ物を使用します。

食べ物を入れる容器は、犬が口にしても安全なものを用意してください。

食べ物やよだれで汚れることもあるため、洗濯できたり、洗えたりするもの、または使い捨てのできるものがベストです。

ノーズワーク用のマットや知育玩具は子犬用~老犬向き、初級~上級向きなどいろいろなタイプのものが市販されているので、愛犬の大きさや年齢などに合わせてお好みのものをお選びください。

遊び方

以下は初級編ですが、慣れてきたらいろいろ工夫してバリエーションを増やしてみるといいでしょう。

【パターン1:ノーズワーク用マットを使用】

    1. 犬に「スワレ」や「フセ」をさせて待機させます。または、クレートやケージに入れて待たせます。
    2. 犬が見ていないところで、ノーズワーク用マットのいろいろな場所に食べ物をいくつか隠します。
    3. 犬をノーズワーク用マットのところに連れて行き、「探せ」「サーチ」などの言葉をかけて食べ物を探すよう誘導します。
    4. 犬が食べ物を見つけ出して食べたら、十分に褒めてあげましょう。

【パターン2:知育玩具や空き箱を使用】

    1. 犬に「スワレ」や「フセ」をさせて待機させます。または、クレートやケージに入れて待たせます。
    2. 知育玩具または空き箱を5~6個用意し、その中の一つだけに食べ物を入れます。
    3. その知育玩具または空き箱を部屋の中のあちこちに置きます。最初のうちは犬が見つけやすい場所に置くといいでしょう。箱の場合、初めは匂いに気づきやすいようにフタを開けておきます。
    4. 犬を部屋に連れてきて知育玩具・箱を探すよう促します。
    5. 犬が食べ物を見つけて食べたら十分褒めてあげましょう。
    6. うまく探せるようになったら箱のフタを閉める、知育玩具や箱を入れ替える、見つけるのが少し難しい家具の陰や高い場所に置くなど、少しずつ難易度を上げて楽しんでみてください。

 

ノーズワークの注意点

気軽に楽しめるノーズワークですが、いくつか注意点があります。

  1. 犬が食べ物を探す間は飼い主さんが手助けをしないこと
    ノーズワークは犬が自分で考えて行動し、そこから報酬を得るまでの一連の作業によって脳や心身への刺激を期待するゲームなので、犬が食べ物を探している間はできるだけ手助けをするのは控えましょう。

  2. ノーズワークは3~4回を1セットとし、1セットは5~10分、1日2~3セット程度に
    犬の集中力は15分程度と言われます。あまり長い時間をかけ過ぎると犬の集中力が途切れ、また疲れもするので、上記の回数・時間を目安に行ってください。

  3. 犬の限界を見極める
    手助けをしないことが基本ではありますが、犬が食べ物を見つけられない場合もあります。すると、混乱したりやる気をなくしたりして、犬にとってノーズワークは楽しいゲームではなくなってしまいます。

    そのような時は食べ物の匂いが弱い、隠し方のレベルが高過ぎるといったことが原因として考えられるので、食べ物の匂いをもっと強くする、隠し方をより簡単にするなどして再トライしてみてください。

犬の心身の健康に毎日でもおすすめのノーズワーク

ノーズワークを行うことで犬が落ち着くようになった、よく寝るようになった、分離不安の予防になる、などの話があります。このような効果にかかわらず、飼い主さんと愛犬が一緒に楽しむゲームとしては手軽にできるものなので、毎日のルーティンに取り入れてみてもいいのではないでしょうか。

中には旅行の際に持ち歩けるくらいの小型ノーズワーク用マットも市販されているので、自宅で遊ぶのはもちろん、旅先の宿で愛犬を部屋で待たせる時などに使えるかもしれませんね。

ノーズワークを習慣にすることで、愛犬との旅がもっと安心で楽しいものに。日々の遊びの積み重ねが、最高の旅時間をつくります。まずは愛犬とノーズワークにトライしてみてはいかがでしょうか。

犬もの文筆家&ドッグライター 大塚良重

犬と人との関係を探求し続ける犬もの文筆家&ドッグライター。犬専門ライター歴30年。1頭の犬との出会いが人生を変える。愛犬への愛と感謝を胸に、文筆家&ライターへと転身した後、犬専門月刊誌や新聞での連載、取材記事、書籍、一般雑誌、web等で執筆。特に犬の介護、シニア犬、ペットロスはライフワークテーマで、「犬と人との関係」に最もアンテナが動く。信条は、"犬こそソウルメイト"。