旅行や災害時にも役に立つ! 愛犬のクレート・トレーニングとクレートの種類

更新日: 2025年03月31日
犬にとっての安心できる場所として使い慣れておくことで、旅行や日常的なお出かけや旅行はもちろん、災害時にも便利なクレート。旅先では愛犬にとってのくつろぎのスペースにもなり、旅行には欠かせないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。ここでは、そんなクレートの種類や、犬がクレートに慣れるためのトレーニング方法をご紹介します。
クレートとは? ケージやサークルとは違うの?
クレートとは、ペットを入れて持ち運びができる箱状のハウスのことを言います。
似たようなものにケージ、サークルがあります。それぞれ境は曖昧で、混同した呼び方がされることもしばしばですが、大きくは以下のような違いがあります。
クレート
全体が囲われた箱型で、持ち運びができる。
ケージ
床と天井があり、フェンス状のパーツで全体が囲われていて、持ち手がついているものもある。
サークル
天井と床はなく、フェンス状のパーツで周囲を囲むことを基本としている。
クレートを使用することのメリット
クレートを使用するメリットには、次のようなものがあります。
- ・犬の祖先は穴倉や岩の裂け目、木の洞など囲われた感のある場所を巣穴として出産したりしていたことから、犬も周りが囲まれたクレートのような場所は安心できるのだろうと考えられている。
- ・クレートが愛犬にとって安心できる場所となれば、何か不安なことがあった時、クレートに入ることで落ち着くことができる。
- ・移動に便利。
- ・車に乗せる際に安全性や安定感を保つことができる。
- ・旅行先でハウスとして使用でき、不慣れな場所でも犬が落ち着くことができる。
- ・災害時のケガ防止や逃走防止、避難場所でのストレス軽減などにつながる。
犬がクレートに慣れるためのトレーニング方法
ここからは実際のクレート・トレーニングの仕方をご紹介したいと思います。
愛犬にとってクレートが心地よい場所だと思ってくれるようにすることが大切なので、無理矢理クレートに押し込めるようなことは禁物です。犬が自らクレートに入って行くようトレーニングしていきましょう。
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- まず、クレートの扉を開け放して動かないように固定するか、扉を一旦外します。これは、扉が体にあたることを嫌がることで、クレートに入ることを躊躇するようになってしまうのを避けるためです。
- その後、犬が好むおやつやおもちゃをクレートの中に置き、犬が入って行くか待ちます。
- 犬がおやつやおもちゃに気づき、クレートに入ってそれを食べたり、遊んだりしたら十分に褒めてあげましょう。この時、全身がクレートに入っていなくてもかまいません。これを繰り返して練習します。
- 次に、犬が好むおやつやおもちゃを手に持ち、クレートまで犬を誘導します。犬がクレートの中に入ったらおやつを与えるなどして十分褒めてあげましょう。誘導する時に「ハウス」「お部屋」「入って」「イン」など一定の言葉を発することで、その言葉とともにクレートに入ることを覚えていくようになります。
犬がクレートの中に入るようになったら、次はクレートの中にいる時間を徐々に長くする練習です。クレートの中に、おやつを仕込んだ知育玩具やガム、おもちゃなどを入れて、少しでも長くクレートの中にいられる環境をつくります。 - 次に扉を閉める練習です。最初は数秒程度でもかまいません。扉を閉めてもおとなしくクレートの中にいるようなら十分褒めてあげましょう。徐々に扉を閉めている時間を長くして練習を重ねます。
この時、犬が外に出たがるかもしれません。その場合は、トレーニングを一段階前に戻し、犬が出たいと嫌がる手前で褒め、一旦扉を開けます。そこから再度、クレートの中にいられる時間を延ばす練習をし直します。
クレートから出たいがために吠える経験をさせてしまうと、クレートに対する印象が悪くなってしまうリスクがあり、それを避けるためにも根気と忍耐のいるトレーニングになりますが、ここは頑張りどころです。 - 最終的に扉を閉めることにも慣れたら、どんな状況でもクレートに入れるよう、違う部屋や廊下、玄関、庭などいろいろな場所で練習してみるといいでしょう。
- まず、クレートの扉を開け放して動かないように固定するか、扉を一旦外します。これは、扉が体にあたることを嫌がることで、クレートに入ることを躊躇するようになってしまうのを避けるためです。
クレートの種類
クレートは大きく「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」に分かれます。用途や目的、シチュエーションなどによって愛犬に合うものを選びましょう。
- ハードタイプ
素材はプラスチック製のものが多く、丈夫で、多少の振動には耐えうるつくりになっています。上下に分解でき、洗っても乾くのが早いのが利点である反面、通気性にやや欠けます。 - ソフトタイプ
金属や塩化ビニール樹脂などのフレームとポリエステルやナイロンなどの生地でつくられたものが多く、折り畳めるタイプが主流となっています。軽量で持ち運びに便利な反面、強度や安全性には欠けます。
その他、以下のような特色をもったクレートもあります。
- ・キャスター付きタイプ
クレートにキャスターが付いているもの、またはキャスターの取り外しができるもの。特に中型犬~大型犬を運ぶ時に便利。 - ・車のシートベルト対応タイプ
クレートを車に乗せる時に、シートベルトで止めやすいような工夫が施されているもの。 - ・機能拡張タイプ
キャスターが付いていたり、リュックやショルダーにもできたり、また拡張できるソフトクレートが装備されているもの。
愛犬に合ったクレートの選び方
では、愛犬のクレートを選ぶ時のポイントとは?
- 基本的には大き過ぎず、小さ過ぎずが理想的
- 愛犬がクレートの中で楽に方向転換ができること
- 愛犬(成犬)が立った時の「床から頭頂部までの高さ」、フセをした時の「鼻先または前足の先端からお尻までの長さ」を測り、それに5~6cm程度をプラスした高さと長さのクレートがちょうど良い。体の一部がはみ出してしまうものは不可
- 子犬の場合は成犬になった時に想定される高さと長さのクレートを購入するか、もしくは成長に合わせて1~2回買い替える。ただし、あまり大きなサイズのクレートだと中で排泄してしまう可能性もある
以上を考慮してクレートを選んでみてください。主に自宅でハウスとして使用するのか、車に乗せる際に使用するのか、歩いて移動する時に使用することが多いのかなど、使用目的によって好みのものを選ぶといいでしょう。
愛犬の安心と安全のために
近年では犬連れで旅行に行く飼い主さんも多いですし、度々の災害によって被災ペットにも配慮が寄せられる時代となりました。
クレートは犬の安心や安全につながり得るツールでもあります。クレート・トレーニングは成犬でも可能なので、愛犬の安心や安全のために、今からでもトレーニングしてみてはいかがでしょうか。
クレートに慣れることで普段の生活はもちろん、犬との旅行もより安心になるかもしれません。

犬もの文筆家&ドッグライター 大塚良重