アーツ前橋や白井屋ホテルと併せて訪れたい!前橋の穴場アートスポット 【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

IMG_7422.jpg

更新日: 2024年03月29日

群馬県の魅力をぐんま観光県民ライター(ぐん記者)がお伝えします!

「前橋のアートが盛り上がっているらしいね」と、先日美術好きの友人に言われました。
そうなんです。今、前橋に次々と新しいアートスポットが誕生しています。
そんな中で今回は、最新の場所はもちろん、前橋在住の私が特におすすめしたい、歴史ある穴場の美術館をご紹介します。

まずはここを訪れたい!前橋のアートスポット4選

はじめに、今メディアでもよく取り上げられている、前橋の新しいアートスポットをご紹介しておきましょう。全て中心市街地にあり、歩いて巡ることができます。

①アーツ前橋

アーツ前橋外観。穴があいたアルミの壁が目を引く。

開館10周年を迎えた市立の美術館です。
地域に開かれた美術館として様々な取り組みを行っています。先日好評のうちに幕を閉じた10周年記念展では、館内だけでなく、商店街のお店や近隣の廃墟ビルなどにもアート作品を展示しました。常設展示の中で私のお気に入りは、《静のアリア》という作品の部屋です。ガラス越しに非常階段を見ながら、災害や芸術について思いを巡らせ、静かに過ごすことができる空間です。
地元の作家の作品も多く収蔵されています。

 

②白井屋ホテル

白井屋ホテル外観。丘の中に建っているように見える。©Shinya Kigure

反対側から見た白井屋ホテル。印象がガラッと変わる。©Shinya Kigure

創業300年の老舗旅館から生まれ変わり、2020年にオープンしたホテルです。さまざまなアート作品が、緑あふれる館内外に展示されています。
ファッション誌の撮影に使われたり、ホテルをテーマにした漫画に取り上げられたりと、注目度の高い場所。
私も泊まったことがあり、アートと一緒にくつろいだ時間を過ごせました。朝、ベッドの上から寝ぼけ眼で部屋を見渡すと、作品に囲まれている。美術館とは違った、贅沢な体験でした。
1階にあるハンバーガーが美味しいオールデイダイニング「白井屋 ザ・ラウンジ」や、敷地内のパン屋さん、タルト専門店は気軽に利用できます。

 

③まえばしガレリア

まえばしガレリア外観。小箱が積み重ねられたような建築。©Shinya Kigure

2023年5月に、アートと生活空間が共生する場所としてオープン。1階にはアートギャラリー5社とフランス料理のレストランがあり、2階から4階はマンションになっています。
建築も特徴的で、レトロなお店も多い前橋市街地の風景の中で存在感を放ちます。
自宅の下にギャラリーがあるなんて素敵。

 

④太陽の鐘

太陽の鐘。鐘の直径は約1.2m。

岡本太郎さんの作品「太陽の鐘」が、屋外に展示されています。
2018年に前橋市に寄贈され、広瀬川河畔に設置されました。
イベントの際には鐘つきが行われ、実際にその音色を聞くこともできます。
前橋の街中を流れる広瀬川は遊歩道が整備され、柳などの緑が美しく、前橋市民に愛されている場所です。
お散歩をしながら鑑賞してみてください。

趣のある建物でアート鑑賞。前橋の美術の歴史を感じられる「広瀬川美術館」

このように注目アートスポットがたくさんある前橋。その中で、まだまだ知られていない、でも是非行ってほしい場所が、こちら。「広瀬川美術館」です。
先ほどの「太陽の鐘」が設置されている、広瀬川のほとりにある美術館です。
(「太陽の鐘」からは歩いて10分ほどで着きます。)

1948年(昭和23年)に建てられた建物で、趣のある佇まい。
前橋市に生まれた洋画家、近藤嘉男が自宅兼アトリエとして建設し、彼の没後に美術館となりました。
近藤嘉男の作品の数々をここで見ることができます。

看板に書かれた「ラ・ボンヌ」というのは、この場所でかつて開かれていた子ども絵画教室の名前です。

戦後の建造物の中では、全国で初めて国の登録有形文化財になりました。
では、2階建ての美術館の中を見ていきましょう。
一歩入ると、住居の面影を残す玄関が出迎えてくれます。

1階には、絵画教室として使われていた部屋があります。

写真の右下にあるのは、1925年に作られた蓄音機。
SPレコードで来館者に音楽を楽しんでもらうこともあったそうです。

石膏像が見つめる先、窓の外に広瀬川が流れています。

生徒たちが絵を描く時のモチーフに使っていたというおもちゃも並びます。
どれを描こうかと人形を手に取る子どもたちの姿が想像できます。
こちらは居間だった部屋。

洋風でモダンな家だな、どんな暮らしをしていたのかな、と考えながら階段を上がると、常設展示室があります。
明るい陽の光に照らされた近藤嘉男の作品が目に飛び込んできます。

北側一面がガラスになっている、明るい展示室です。

近藤嘉男はここで前橋の景色を眺め、広瀬川の流れる音を感じながら、絵を描いていたのでしょう。
時を越え、作品の生まれた場所で、今その絵に出会うことができるというのは貴重な体験です。
またこの美術館には、他にもいくつかの展示室があります。
絵画以外のアートも鑑賞でき、この木彫のオルゴールや、飾り皿も近藤の作品です。


まとめ

広瀬川美術館には、近藤嘉男が生きた時代の空気がそのまま流れているようで、昭和にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
でもそれだけではありません。
展示室によって建てられた年代が違い、後に改装もされているので、いろんな時代の物が混在しています。また、美術館を管理されている方がセレクトした現代の作家の作品が置かれていたり、現代美術のアートフェスで会場のひとつになったりと、今の作品も展示されます。
そんな館内を歩いていると、歴史の中を行き来しているような気分にもなり、
近藤嘉男が今の前橋のアートの盛り上がりを見ていたら、どんなふうに感じるのだろうか、と思いを馳せてしまいました。

前橋の美術を長年見守ってきた広瀬川美術館の空気を体感してみてください。

インフォーメーション

アーツ前橋

住所:群馬県前橋市千代田町5-1-16

電話:027-230-1144

開館時間:10時~18時(入場は閉館時間の30分前まで)

休館日:水曜

 

白井屋ホテル

住所:群馬県前橋市本町2-2-15

電話:027-231-4618

※屋外、館内ロビーエリアの見学は自由。

 オールデイダイニング「ザ・ラウンジ」利用の方は空間内のアート見学自由。

 宿泊者には無料のアートツアーを提供。

 

まえばしガレリア

住所:群馬県前橋市千代田町5-9-1

ギャラリー営業時間:11:00-19:00

ギャラリー休廊日:月曜、火曜、祝日

※展覧会開催中のみ。

 展覧会スケジュールはあらかじめご確認ください。

 

太陽の鐘

住所:前橋市千代田町5-18

 

広瀬川美術館

住所:群馬県前橋市千代田町3-3-10

電話:027-231-7825

開館時間:午前11時~午後5時

開館日:土・日曜(企画展開催中は金、土、日曜)

    ※不定期休館のため、閉館していることがございます。

     来館の際はあらかじめご確認ください。

料金:500円

ぐん記者アイコン画像.jpg

木暮あかり

フリーアナウンサー。1993年生まれ。群馬県前橋市・赤城山の頂上で育つ。国際基督教大学卒業。元FM GUNMAアナウンサー。映画、美術、本、音楽にまつわるスポットが好き。 X:@akarikogure Instagram:@akarikogure